テレビ会議を映画撮影に活用する・遠隔地の役者にリアルタイムで指示を出しながら撮影するアイデア

 

撮影機器としてのパソコン活用

今回提案するのは、あくまでもアイデアで、実際に採用している手法ではありません。

ただ、実験してみる価値はあると思っています。

 

新型コロナウィルスの影響はさまざまなところに及んでいます。

同じ創作活動でも、小説や絵画と違って、人が集まる必要がある「映画作り」では、特に「撮影」の工程で制約が発生します。

多くの撮影が中止になったり、非常に手間が増えたりしたという話を聞きます。

 

一方で、ZOOMなどの「テレビ会議システム」を活用して、「リモート演劇」を試みる人たちもいました。

状況が以前と同じように戻ることを、ただ待つだけでなく、全く新しいやり方を模索する姿勢は、見習いたいところです。

 

テレビ会議システム、特にZOOMは、使い勝手が良いツールです。

本来の用途である「打ち合わせ」に重宝することはもちろん、画面の録画機能を活用して、一人で

  • セミナー動画
  • 動画教材

を作って販売することにも利用されています。

 

この、テレビ会議機能と会議の録画機能を使って、映画のリモート撮影ができないか、というのが、今回の提案です。

 

簡単に思いつくのは、まさに、「テレビ会議のシーン」の映像です。

私の作る映画は、特に特撮映画のジャンルでなくても、画面合成をふんだんに活用するのが特徴ですから、室内のミニチュアセットを作って、グリーンバック撮影した人物を合成したりします。

そのセットで、テレビ会議シーンを入れるとしたら、あらかじめ大型モニター部分を作っておきます。

そして、実際にテレビ会議形式で録画した映像を、その大型モニター部分に合成して、タイミングを合わせて編集することで、セット内の人物の会話のシーンを成り立たせることが出来ます。

 

この手法のメリットは、テレビ会議で登場する人物をリモートで撮影できることです。

遠方に住んでいて、普通の生活の中では、会えない相手と共演できるのが、最大の特徴です。

これは、技術的に何の問題もなく実現できることだと思います。

 

ここからは、一歩進んだ撮影アイデアです。

言わば、テレビ会議システムを「リモートカメラマン」として活用する方法です。

 

通常、テレビ会議では、ノートパソコンに内蔵されているカメラを使うのが一般的だと思いますが、この撮影では、パソコンにUSBで外付けするタイプのWEBカメラを用意します。

 

この環境では、実際の撮影場所は限られます。

WiFi環境が整った自宅が主になると思います。

そこで色々なカットの撮影をしようとすれば、やはり、グリーンバック撮影が実用的だと思います。

 

私が普段行なっている簡易グリーンバック撮影では、カメラの正面に高さ2メートル程度になるようにグリーンシートを張って、カメラは定位置に固定します。

通常の撮影では、カメラの位置を移動して、人物を色々な角度から撮影するのに対し、グリーンバック撮影では、カメラを固定して、人物の角度の方を変えるわけです。

 

厳密には照明の位置も、人物が角度を変えるたびに移動させる必要がありますが、できるだけ手間を減らすために、元々フラットな照明の設定にしています。

つまり、「こちらから光が当たっている」という事を、わざとはっきりさせない照明にしておくという事です。

天候で言えば、曇り空のシーンなどは、光が当たる向きがはっきりしないので、都合が良いわけです。

 

ここでは、あなたがリモートカメラマンになって、グリーンバックをセットした自宅で出演する人を、遠隔で録画すると想定します。

 

出演する側の準備)

  • グリーンバックシートを設置する
  • パソコンに接続したWEBカメラを三脚に取り付け、グリーンバックの正面に向けて固定する
  • ICレコーダーやスマホなどを使って、出来るだけ近くでセリフを録音できるようにする
  • テレビ会議をスタートさせ、グリーンバック前で演技の準備をする

 

リモートカメラマンの作業)

  • 絵コンテを元に、出演者の立ち位置、体の向きなどをテレビ会議で指示する
  • 演技そのものを指示しつつ、その様子をテレビ会議システムの録画機能を使って録画する

 

基本的にはこれを繰り返すだけです。

セリフを録音した音源は、編集時に映像と同期させます。

 

この手法がある程度使えるかもしれないと、私が考える根拠は、普段、グリーンバックで人物の撮影をする場合、カメラの位置をほとんど変えずに済んでいることです。

カメラマンとしては、ほとんど録画スイッチを押しているだけなんです。

つまり、仮にリモート撮影をする場合でも、初めのセッティングさえ済んでしまえば、演技をする側は「撮影」の手間を実感せずに、テレビ会議の相手の指示に従って体の向きを変えたり、演技をするだけで済む可能性が高いと思われます。

 

環境によって、映像の画質が大きく異なりそうなので、これは考慮と実験が必要です。

 

私は、そもそも、撮影期間を大幅に短縮させ、超低コストで映画を作るために、グリーンバック主体の撮影を採用しています。

複数の登場人物も、バラバラに撮影することで、スケジュール調整が楽になり、撮影が捗ることが大きなメリットの一つです。

 

もし、このリモート・グリーンバック撮影が実用化できると、新型コロナが流行しようが、メンバーが遠隔地に住んでいようが、滞りなく、映画制作が継続できるようになります。

もしかすると、かなり画期的なアイデアではないかと思っているのです。

 

機会があって、協力者が確保できたら、実験してみたいと思います。

参考になったら記事をシェアしていただけると幸いです。

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Using Video Conferencing for Filmmaking: A Remote Shooting Idea with Real-Time Directions for Actors in Distant Locations

Utilizing Computers as Filming Equipment

This concept is merely an idea at this stage, yet worth experimenting with. The pandemic has introduced significant constraints to filmmaking, especially during the “shooting” phase, which requires in-person collaboration—unlike writing or painting. Many productions were delayed or made more cumbersome.

On the other hand, some creators have adapted video conferencing systems like Zoom for remote theater productions. Such innovation, rather than waiting for the old ways to return, is inspiring.

Zoom, a highly user-friendly tool, is not only valuable for meetings but also for creating and selling seminar or instructional videos through its recording functionality. This raises the question: can we leverage these tools to enable remote filmmaking?

Concept: Remote Filming via Video Conferencing

One application that comes to mind is shooting a “video conference scene.” My films often utilize extensive compositing, regardless of genre, combining green screen footage with miniature set pieces. A video conference scene could involve pre-built monitor spaces within the set, where Zoom-recorded visuals of participants are composited during editing.

This method allows actors from distant locations to appear in the same scene, enabling collaborations that would otherwise be impossible. Technically, this is entirely feasible.

Advanced Idea: Using Video Conferencing as a “Remote Cameraman”

Beyond basic video conference scenes, we could utilize video conferencing as a tool for remote cinematography. With a setup involving an external USB webcam, actors in their homes (with WiFi access) could shoot multiple cuts using green screens.

In my simplified green screen shoots, a 2-meter-tall green backdrop is fixed while the camera remains stationary. Instead of moving the camera for different angles, actors adjust their positions relative to the camera. While lighting adjustments may be necessary as actors shift angles, flat, diffused lighting—mimicking overcast skies—minimizes this effort.

Actors prepare by setting up the green screen, fixing a webcam on a tripod, and arranging a microphone or recording device close by to capture dialogue. Meanwhile, the remote filmmaker guides positions and actions via video call, recording scenes directly with the platform’s recording feature. Dialogue recordings are synchronized with visuals during editing.

Benefits and Challenges

This method draws on my experience with green screen setups, where camera adjustments are minimal. Actors might find remote filming seamless, as they follow directions while focusing on performance. However, video quality will depend heavily on connection stability, necessitating trials and adjustments.

By decentralizing shooting schedules, this approach enables filming continuity despite geographic or pandemic-related constraints. If proven viable, this could be a groundbreaking method for budget-conscious creators.

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