その撮影、実は違法です・日本は権利関係の意識が低いことを自覚して注意を
実際には制約だらけの映画撮影
家庭用のビデオカメラが一般的になり、その後、スマホの驚異的な進化と普及によって、本当に「動画撮影」というものが手軽になりました。
大げさではなく、誰でも映画が作れる環境を既に持っているんです。
ところが、あまり知られていませんが、ほとんどの撮影行為は違法か違法スレスレのものなんです。
ご存じでしたか?
例えば、自分で購入した書籍の表紙を、自宅で撮影したとします。
それをSNSで公開すると、著作権の侵害になり、立派な違法行為です。
- 自分のものを撮って何が悪い
- 本の宣伝になって良いじゃないか
と言っても仕方ありません。法律なんです。
テレビなどでは個別に許可を取っている筈です。
個人でも本ごとに許可を取る必要がありますが、現実的では無いでしょう。
そこで、著作権を意識する人は、わざと本を手に取ったりして、
- これは本を撮っているものではありませんよ。人物が持っている小道具です
- これは、テーブルの映像です。たまたま本が映り込んでいるだけです
という形にして、何とかグレーな状態にしているそうです。
ただ、「これによって合法になる」という訳ではありません。
あくまでグレーに持ち込んで、解釈によっては違法とは言えない、という形にしてごまかしているだけです。
これは書籍に限ったことではありませんので注意してください。
以前であれば、
- 個人で使用するならOK
- 商用利用は禁止
という線引きが容易でした。
ところが、誰もがインターネットで発信できるようになると、実質的に発信は全て「商用利用」に繋がります。
これも解釈は色々でしょうが、あなたがSNSやYouTubeなど、無料で利用できる媒体で情報を発信すると、そこでは必ず広告がセットになります。
媒体という場を提供している会社は、慈善事業であなたに発表の場を与えているわけではありません。
「お金を取って広告を出してあげる場を運営する」というビジネスなんです。
つまり、あなたが広告料を受け取るかどうかは別にして、その情報は「商用利用」されているということです。
次に、撮影場所について考えてみましょう。
撮影禁止の場所では撮れないのは当たり前として、特に撮影が禁止されていない場所だったとしても、そこで映画の撮影を行なっていいかどうかとなると、ほとんどの場合はグレーになります。
安心して使っていいのは、オーナーに許可を貰っている私有地の場合だけです。
一般の人が入れる砂浜や公園でちょっとした写真や動画を撮影できるのは、他の人に迷惑をかけていない限り「大目に見てもらっている」状態だと認識してください。
本来は、私有地での撮影と同様、許可が必要なものなんです。
「ここへきて自由に撮影してください」と宣伝している場所は、例外中の例外だと思ってください。
私が人から「何でそんな面倒なことをするの?」と言われながら、全編グリーンバック合成の映画作りの手法を使っているのは、ここにも理由があります。
観光地で綺麗な景色を前に映画の撮影をするには許可がいりますし、許可を取ったとしても他の人にとっては迷惑以外の何者でもありません。
でも、記念写真と同様に、さっと背景映像だけ撮影すれば、ほとんど迷惑は掛けずに済みます。
その映像を加工して映画の中に取り込むと、堂々と合法とはいえないまでも、完全な違法とも言い切れない、グレーな状況に出来るんです。
例えば、公共の博物館内は、一部の例外を除いて撮影できます。
SNSなどで公開することも禁止されてはいません。(映り込む人物の肖像権は別問題)
であれば、その映像に登場人物を合成すれば、特別な許可を取って貸し切り状態にしたり、周囲に迷惑をかけてゲリラ撮影したり、ということ無しに、「博物館のシーン」が作れます。
これも、あくまでも現状ではグレーというだけで、今後は許可が必要になるかもしれません。
映像合成が綺麗に出来るようになっていくと、施設が映画撮影の許可を出したと誤解されて、具合が悪い場合も出てくるからです。
そうなると、残された方法として、「撮りたいシーンのセットをミニチュアで作って合成する」という手法が考えられます。
ある意味乱暴ですが、違法か合法かという心配は皆無の上、イメージ通りの場所のシーンを自由に作れる可能性があります。
ミニチュアセットを主役にしない
ミニチュアセットを実写映画の背景として使用する場合、2つの問題があります。
- 自然に合成できるのか?
- リアルなセットが作れるのか?
合成については、ソフトウェアの進歩が著しいことや、そのソフトを使いこなしていく中で、技術レベルが上がっていけば、及第点には達すると思っています。
リアルなセットが作れるか、という問題については、模型の工作力が直結します。
もちろん、出来る限り本物に見えるくらい精巧なミニチュアを作るに越したことはありません。
しかし、実は、単なる模型工作より、人物を合成する映像作りの方が、工作は容易です。
何故だか分かりますか?
よく出来たミニチュアセットも、それ単体で本物と見間違える出来のものは、そうはできません。
どうしても「よく出来た模型」という印象になるはずです。
これはこれで楽しいんですが、ここに人物がしれっと合成されると、模型は一瞬で脇役になります。
脇役に回ったときの模型は、途端に本物感が出て、強いんです。
日本の怪獣映画の多くで、とてつもなくよく出来ている筈のミニチュアセットが、どうしても本物に見えず「よく出来たミニチュア」という印象になるのは、模型を画面の主役にしているからです。
怪獣も模型の1つです。
もしかしたら、
- 特撮撮影
- ドラマ撮影
を別々に作る伝統が原因なのかもしれませんが、効果的に人物とミニチュアを一つの画面に合成する効果を活かしきれていないと思うんです。
例えば、怪獣がビルの上の方を壊している映像で、すぐ下の階のオフィスでは人々が慌てふためいている、という合成映像はあまり見かけません。
自主映画がパソコンで合成するレベルの映像だとしても、その「絵面」はかなりリアルに見えるはずです。
本物の人物が映り込むと、観客は必ず、人物を基準に状況を判断します。
これを利用しない手はないんです。
ある程度の品質のミニチュアセットが作れて、自然な人物合成さえ実現できれば、錯覚が手伝ってくれるので、ミニチュアセットでも十分、シーンを成り立たせることが出来ると考えます。
ドールハウスレベルでも、小物の工夫をすれば、室内シーンの背景として十分通用するのではないでしょうか?
参考になったら記事をシェアしていただけると幸いです。
(参考書籍)
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