映画作りで無視できないコストパフォーマンス:小道具・ストック映像等の流用活用法

 

流用前提だとコスパが良くなる

一つの作品のために用意するものがあります。

それは、小道具だったり、衣装だったり、私の場合は背景となるミニチュアセットなどもこれに当たります。

 

特に、工作によって物を作る場合、例えば小道具ですが、「どれだけ画面に登場するのか」と「どれだけ準備にコストを掛けられるか」が比例します。

 

作品の中で何度も登場したり、見せ場で長く映るような小道具は、比較的コストを掛けても「元が取れる」と言えます。

逆に、魅力的な小道具を出したいと思っても、それが、作品の中で一瞬しか登場しないのであれば、コストを掛けてしまうと「割に合わない」という事になります。

 

理想としては、一瞬しか映らないものにもコストを掛けることで、魅力も増しますが、そのしわ寄せがどこに行くかは無視できません。

 

そのため、私などは、登場時間が短い小道具はできるだけ手を抜いて、コストを掛けずに作ったり、実物大で作らずに、ミニチュアで作って映像合成して登場させることで、小道具の製作コストを下げたりしています。

 

また、以前は、本末転倒なのですが、「せっかく手間をかけて作ったから、登場時間を増やす」ということもやっていました。

 

この「コスト問題」を解決させるのが「流用」です。

 

例えば、実物大の電子顕微鏡の模型を作ったことがあります。

作品の中では、一方向からしか撮らないので反対の面を作り込む意味はありません。

でも、どの方向からでも撮影できるように作り込んでおくことで、別角度から写す、別の作品に流用できることになります。

作り込んだ事が無駄にならないわけです。

 

オリジナル作品だから、何もかも新規で準備しなければならない、ということはありません。

流用できる「資産」をたくさん持っていることが有効になってきます。

 

私が実践している升田式スーパープリヴィズ法では、室内シーンのセットを全てミニチュアで作っていますが、これなどは最も流用が有効に働く要素です。

 

例えば一つの作品の中に登場する別の部屋、という設定でも、壁の一部を入れ替えたり、家具を全て入れ替えることで、一つのミニチュアセットを流用して使えます。

 

同様に、別の作品でもそのミニチュアセットを使い回すことが出来ます。

しかも、工夫をすることで、使い回していることを感じさせないことが出来るはずです。

流用しながら改良を加える事で、そのミニチュアセットの魅力は増していくでしょう。

撮影済みの映像の流用

さらに妄想は膨らみます。

 

例えば、升田式スーパープリヴィズ法のように、人物をすべてグリーンバック撮影して合成する手法で、オムニバス映画を作ったとします。

その完成品を見て、当然ながら色々と反省点や修正点が思いつくわけですが、もっと大胆に構成を変えて、より骨太の長編作品のアイデアが湧くかもしれません。

 

物語をゼロから作り上げる事は、とても骨の折れる作業ですが、出来上がった作品のアラを指摘したり、改善案を出すことははるかに楽です。

これは、自分で作った作品に対しても当てはまります。

 

それを利用して、「似た場面で構成された別作品」を考えてみようという訳です。

スーパープリヴィズ法では、そもそも登場人物を入れ替えられるので、同じセットの背景映像を流用しながら、新しい物語に作り替えることが出来る訳です。

 

人物を全て入れ替える前提なら、複数のオムニバス作品の要素をシャッフルして、長編作品への作り替えが出来る可能性も出てきます。

 

映画制作を「芸術活動」と捉える人にとっては、言語道断のアイデアかもしれません。

しかし映画には明らかに「工業製品」的な特徴があります。

それを利用して楽しんでも良いと思うのです。

 

参考になったら記事をシェアしていただけると幸いです。

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The Essential Cost-Performance Strategy for Filmmaking: How to Reuse Props, Stock Footage, and More

How Reusability Improves Cost-Performance

Creating a film involves preparing various items like props, costumes, and in my case, miniature sets for backgrounds. When crafting something like a prop, its cost-effectiveness is proportional to how prominently it appears on screen and how much preparation budget it justifies.

Props that appear multiple times or are part of key scenes can reasonably have higher costs. However, if a dazzling prop is only on screen for a brief moment, its high cost becomes unjustifiable.

Ideally, investing in brief visual moments would boost appeal, but the ripple effects on other areas of the budget can’t be ignored.

For this reason, I often cut costs for less prominent props by simplifying their creation, making them as miniatures instead of full-scale models, and incorporating them through visual effects.

Addressing Cost Challenges Through Reuse

The solution to cost issues is reuse.

For instance, I once crafted a full-scale model of an electron microscope. While the film only needed a single angle, creating it fully realized multiple shooting angles and ensured reuse in future projects. This way, effort spent on intricate work doesn’t go to waste.

Contrary to the assumption that original works must involve entirely new preparations, building up reusable “assets” is highly beneficial.

Maximizing Miniature Set Reusability

In my Masuda Super Previsualization Method, I create all indoor sets as miniatures. This opens countless opportunities for reuse.

For example, by switching out a wall or replacing furniture, a single miniature set can represent multiple rooms within the same film. Similarly, these sets can be cleverly repurposed across different films. Smart modifications ensure they don’t look recycled. With each reuse, their appeal grows.

Leveraging Stock Footage and Scenes

The concept of reuse doesn’t stop at physical props. It can apply to footage too.

Imagine using green screen techniques like the Super Previz Method to create an omnibus film. Upon completion, you might have fresh ideas for a stronger narrative or longer feature film. While creating a story from scratch is labor-intensive, refining or reimagining existing works is far easier—even when applied to your own creations.

Super Previz’s flexibility allows characters to be swapped out and sets to be reused, enabling entirely new stories to emerge. Elements from multiple omnibus works could even be rearranged into a cohesive full-length feature.

For those who view filmmaking purely as an “artistic pursuit,” this may seem sacrilegious. But cinema undeniably shares qualities with “industrial products.” Why not embrace these characteristics and enjoy the process?

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