映画製作を頓挫させるスケジュール長期化:撮影ストップを防ぐ特撮的解決法

軽視される「時間短縮」

映画など、映像製作には、結構な時間が掛かってしまうものです。

 

制作過程は

  • 撮影前の計画、準備
  • 撮影
  • 編集

の3つに大きく分けられますが今回の話は主に、撮影の段階で有効な知識になるはずです。

 

常々お伝えしている事のうちの一つが、「時間短縮の重要性」です。

 

もちろん、撮影自体は楽しい作業です。

それまで楽しく妄想を膨らませてきた場面を、一つ一つ現実のものにしていく作業ですから、じっくりと時間を掛けて進めたいと思うかもしれません。

 

ただ、特に初心者の方は、実際にどれだけ撮影に時間が掛かるものか、イメージ出来ていません。

「ちょい役だからすぐに解放されるだろう」

と思って参加したら、思いのほか準備などの待ち時間が長くて驚くことになるでしょう。

 

かなりヘトヘトになって動き回って撮影しても、その日1日かかって撮りためた映像で作れるのが、本編のたった2分間分しかない、という現実を知って、気が遠くなって離れてしまうスタッフもいます。

 

ですから、撮影の手助けになる絵コンテを用意したり、撮影効率を良くするための計画を立てたりして、出来る限りスムーズに、短時間でたくさんの映像を撮影することが、関係者全体のモチベーション維持に繋がります。

外部要因で撮影がストップする要素

ただし、絵コンテを用意したり、効率的な撮影計画を立てたり、あらかじめ十分なセリフの練習をしていても、実際の現場で撮影がストップすることが良くあります。

その一つが、「背景に余計なものが映ってしまう」という状況です。

 

決して勘違いしてはいけないのは、撮影しているあなたにとっては「邪魔なもの」と感じても、あなたは被害者でもなければ、「邪魔なもの」が「迷惑なもの」では無いという事です。

客観的に見れば、あなたや私のように、「撮影している側」が「邪魔なもの」なんです。

 

ここは、プロの映像業者なども勘違いしやすいところで、平気で交通整理をしたり、「原状復帰すれば文句ないだろう」と、人のものを勝手に移動する人がいます。

他人の生活圏に入って撮影させてもらっている、という意識を忘れてしまうのでしょうか。

あなたは常に、関係のない人に迷惑を掛けないように、謙虚に行動してください。

 

撮影時に邪魔になるからと言って、対象を勝手に動かすなどというのは言語道断です。

 

古い神社の映像を撮影しようとしたときに、痛んだ鳥居の土台のところに、注意喚起のための赤いパイロンが立っていたりすると、「撮影の時だけちょっとどかしたいな」という誘惑にかられますが、やってはダメです。

そういう小さな迷惑行為が積み重なって、創作活動全体に規制が掛かっていくことを認識してください。

 

他にも、主人公を写す時に、「ずっと離れたところを歩いている人が入ってしまう」ということも良くあります。

 

従来の映画制作法では、

  • 映像に邪魔なものはどかす
  • 邪魔なものが映らなくなるまで待つ

というのが基本です。

 

鳥居の下にパイロンがある場合は、構図を変更してパイロンが映り込まないようにすることが一般的ですし、通行人が居なくなるのをひたすら待つ光景は良く見かけます。

 

でも、

  • パイロンが映り込んでしまう構図の方が明らかに魅力がある
  • 通行人が途切れない
  • ロケハンの時にはなかった、工事用の重機が置かれている

こんな場合はどうでしょう?

撮影の時間短縮に役立つ特撮

撮影をスムーズに進められるかどうかは、臨機応変に対処できるような「選択肢」を多く持っていて、素早く決断できるかどうかに掛かっています。

特撮的対処法は、その選択肢の一つです。

 

私は下記の条件が揃った場合、特撮的手法を使うことにしています。

  • 三脚を使った固定カメラで撮影する場合
  • 邪魔なものを避ける構図が魅力的でない場合
  • 被写体と邪魔なものが重ならない場合

原理は簡単で、編集時に「邪魔なもの」を塗りつぶした状態の画像を作って、「邪魔なもの」を隠してしまうというものです。

要は、フォトショップなどの画像加工ソフトを使って、絵や合成写真を組み合わせるわけです。

 

これが使えないケースもあります。

  • 撮影時カメラを固定しない場合
  • 邪魔なものの背景が水面など、動くものの場合
  • 邪魔なものと被写体が少しでも重なる場合

こんな場合は、構図を変更する必要があります。

 

このように特撮的手法は、いかにも特撮的シーンのためでなく、ちょっとした場面の撮影をやり易くするために活用すると、大きな武器になります。

私が「低予算映画全般には特撮が必要だ」と言う理由がこれです。

 

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