事実:スマホだけを使い、限りなくコストゼロで特撮映画が作れる時代
映画制作のコストがどんどん下がる時代
私は、8mmフィルムでの映画制作をギリギリ知っている世代です。
自分の親が使っていたカメラや映写機を借りて、コマ撮りの真似事をしていたのが、映画作りの趣味の始まりです。
今でも交流を続けている映像仲間のS君は、高校時代から、レベルの高い8mm映画を作っていました。
最近でも、フィルム特有の画質に魅力がある、ということで、わざわざ8mmフィルムで映像を作る人がいますが、フィルムを使って作品を作る最大のネックは、とにかくお金が掛かる、ということです。
本格的な趣味として自主映画を作ろうとした場合は、16mmフィルムというものを使って撮影するのが一般的でしたが、ある程度の長さの作品を作ろうとすれば、フィルム代と現像代だけで、数十万~数百万円掛かりました。
大学生のサークルなどでは、仲間みんなで一定期間アルバイトをして、フィルム代を捻出していたそうです。
「映画を作りたいけどお金が無い」という人は、映画作りに全く手が出せない時代だったんです。
私は大学生のころ、迷った末に、新しく登場してきた「ビデオカメラ」を使った映画制作に移行しました。
画質もイマイチ、細かな編集も出来ない、というデメリットもありましたが、最大のメリットである、コストの安さが魅力でした。
3分間の映像を作るのに2000円近く掛かる8mmフィルムに比べ、ビデオテープの値段ははるかに安かったからです。
現在は、ビデオ映像もアナログからデジタルに変わり、パソコンを使うことで、思い通りの細かさで編集も出来る時代です。
トータルのコストを考えても、昔の大学生の映画より、はるかに手軽に、はるかに高精度の映画が作れる環境にあるわけです。
私たちは、親世代より貧しい世代と言われますが、こと創作活動に限って言えば、貧しくなった以上にコストが下がってくれているのは、ありがたい点です。
スマホは信じがたい万能ツール
2022年現在、大手メーカーを含めて、ハンディカムタイプのビデオカメラは新機種の製造をしていません。
撮影機器として、デジカメ、ビデオカメラの需要は、完全にスマホに置き換わりました。
私は仕事では、機能的にビデオカメラでないと出来ない撮影も多いので、相変わらずビデオカメラを使っていますが、そんな使い方は一般的には例外です。
趣味の映画撮影を含めて、「撮影機器」はスマホでほぼ十分と言えます。
実は私はスマホユーザーではなくて、通話も出来るタイプのタブレットを使っているため、自分自身でスマホ撮影はしません。
しかし、映像制作の仕事をしていて、素材として送られてくるスマホ映像の品質が年々向上しているのを実感しています。
例えば、会社案内の動画などは、全編スマホで撮影した映像を使っても、業務用のビデオカメラで撮影した映像と比べて、全く遜色がないレベルです。
もちろん、映像的な特性が、ビデオカメラ、一眼レフ、スマホカメラで違いますが、「映画撮影」を考えた場合、スマホカメラは有利な点が多いと言えます。
しかも、他のカメラと違って、スマホは、編集機器にも再生機器にもなるという特徴があります。
昔、ドラえもんに同様の機械が出てきて、出木杉君が監督をして映画を作る話がありました。
当時「そんな機械が出来る訳ないだろう」と呆れつつ「あったらいいなあ」と思ったことを憶えています。
特にスマホの再生機器としての需要は凄まじく、私は、今後の自主映画は、100%スマホの小さな画面で視聴されることを前提に作るべきだと思っています。
ただ、「動画編集」についてだけは「スマホで十分」とは言い難いのが実情です。
フライパンがあれば何でも出来る?
料理に例えると分かりやすいかもしれません。
食材を焼く、煮る、炒める、蒸す、炊く、など、料理には様々な調理法があります。
そして、それぞれに適した道具があります。
仮にあなたが、フライパンしか持っていないとします。
フライパンは、肉や野菜を炒めるのに適した道具です。
じゃあ、炒め物しか作れないかと言えば、そうでもありません。
煮ものを作ったり、米を炊くことも、やってやれない事はないでしょう。
私は、「スマホだけで映画が作れる」というのは、これに近い意味だと感じています。
確かに、アプリを使って様々な特殊効果を入れたり、映像の編集、音声の編集も可能です。
でもそれは、「フライパンでも、慣れれば米を炊く事が可能です」という事と同じです。
「フライパンだけでも、やってやれない事はない。でも、米を炊くのは炊飯器の方がはるかに楽だよ」ということです。
結論:撮影はスマホで十分・編集はパソコンで
ゲーム感覚で、あえてスマホだけで作品を完成させる、という楽しみ方をするので無い限りは、ごく標準的なスペックのもので良いので、パソコンを使って、サクサクと編集作業を進める事をお勧めします。
明らかに早くて楽ですし、出来る事も多いでしょう。
私が普段提唱している、「特撮の知識と技術を駆使して、映画の低コスト化を狙う」という施策も、編集作業はパソコンを使う、ということが大前提になります。
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