「万能ボンド」は実は全然万能ではない!接着剤は適材適所で使い分けろ

工作の必需品・接着剤

私の作る映画は、自分で「工作系映画」と呼んでいる通り、作業の半分近くは、何らかの工作です。
それは、特撮用のミニチュアセットだったり、衣装だったり、大道具・小道具だったりします。

 

なぜ、それほど工作物が多いかと言えば、自分で作ってしまえば、イメージに近いものが画面に登場させられることと、多くの場合はコストが安く済むからです。
もちろん、工作自体が楽しいことも大きな理由です。

 

工作の種類にもいろいろありますが、私は金属加工のような難しい作業は出来ないので、主に紙や木、プラスチックや粘土などを組み合わせた、いわゆる「図工」の範疇の工作によって、必要なものを作ります。

 

大抵の工作は、いくつかの部品を組み合わせる必要があります。
その時に使用するのが、接着剤(ボンド)です。
今回は、簡単に接着剤の解説をします。

◆接着剤の種類と用途

実はこの接着剤、ホームセンターなどに行くと分かる通り、膨大な種類があって、様々な違った特徴を持っています。
この違いは、作り手のこだわりの問題とかではなくて、知らないと大失敗する元なので、とても大切です。

 

大事なことは、くっ付けるものの材質によって、それに適した接着剤が違う、ということです。
つまり、「この材質だから、ここはこのボンドを使う」という、使い分けが必要になってくる、という訳です。

 

早速、いくつかの接着剤の種類を紹介していきましょう。

『プラモデル用接着剤』


最近は、接着剤を使わずに組み立てるタイプのプラモデルも増えてきましたが、ここで紹介するのはオーソドックスな、昔ながらのプラモデル用接着剤です。

 

特徴は、シンナーが含まれている事。
プラモデルの材料は、ポリスチレンというプラスチックの一種ですが、この接着剤は、塗った面のプラスチックをシンナーで溶かして、くっ付けるという特徴があります。
部品の接着面が一旦溶けてから固まるので、しっかりと固定されます。

 

逆に言うと、シンナーで溶けない材料に対しては、接着力は無いという事です。
例えば、紙と木を接着しようとしても、全く使えません。

 

また、極端にシンナーに弱い材料に付けると、溶けすぎて接着どころではありません。
例えば、発泡スチロール。
発泡スチロールは、プラモデルと同じ、ポリスチレンをスカスカの状態に発泡させたものです。
シンナー系の接着剤や塗料を間違って付けてしまうと、原型を留めないくらい溶けてしまうので注意が必要です。

『木工用ボンド』


発泡スチロールの接着に適しているのが、木工用ボンドです。
発泡スチロール専用のボンドもありますが、私はほとんど使いません。

 

木工用ボンドの成分は、酢酸ビニル樹脂というもので、水溶性です。
シンナーを含んでいないので、発泡スチロールも安心して接着できます。

 

木工用ボンドというくらいですから、木の接着に向いています。
紙の接着にも向いています。
とても安価な上、木以外の色々な材料の接着が出来ます。

 

ただ、難点があるとすれば、他のボンドに比べて粘性が低いので、固まるまでは動かないように固定する必要がある事と、硬化後、水に濡れると溶けてしまう事が挙げられます。

『ゴム系ボンド』


このタイプのボンドには、シンナーが含まれています。
相手がポリスチレンなどの場合は、やはり表面を溶かして接着します。
プラモデル用の接着剤と違うのは、とても粘性が強くて、ガムのように相手に食いついて接着するところです。
硬化後、やや弾力性があります。
硬化が早く、色々な部品を接着できますが、粘性が強いこともあって、細かな部品を綺麗に仕上げるのにはあまり向いていません。

『瞬間接着剤』


文字通り、数秒から数十秒で接着するタイプの接着剤です。
ただ、実感としては、圧倒的に硬化が早いだけで、接着力が強いわけではないと思います。
工作性を重視して、仮止めが必要な場合に向いているのではないかと思いますが、私はほとんど使いません。

『エポキシ接着剤』


これは、主剤と硬化剤を混ぜ合わせて使うタイプの接着剤で、使い勝手が悪いものの、強力な接着力が必要な場合に最適です。
割れた瀬戸物や、ガラス、金属なども強力に接着します。
私は、用途を絞って使用しています。

『ポリプロピレン用ボンド』


ポリプロピレンというのはプラスチックの一種で、日用品などにもとても多く使われています。
日用品として多く使われる理由の一つは、汚れが付きにくいということです。
廃品を利用して工作をしようとすると、かなりの確率でこの材質に当たるんですが、実はこのポリプロピレン、塗装も出来ず、接着も出来ない材質なんです。
前述の瞬間接着剤でも、エポキシ接着剤でも付きません。

 

ただ、最近、「ポリプロピレンも接着できるプラスチック用ボンド」というのが出てきて、とても重宝しています。
もちろん、ポリプロピレン以外のプラスチックなどにも使えるので、汎用性のある接着剤だと思います。

『液状のり』


成分はポリビニルアルコールという合成樹脂の一種で、紙やセロハンが接着できます。
私は、撮影用の恐竜模型など、動く模型を作ることが多くて、その皮膚の下地として、不織布を使うことが多いのですが、その不織布をハリボテの和紙のように貼り付ける際、この液状のりが重宝しています。
スティックタイプなので、使いやすいんです。

 

乾燥が遅いのは難点ですが、乾燥後、不織布を揉んでゴワツキを無くすと、良い感じの柔らかい皮膚の感じになります。

工作のポイントは適材適所

「木工が趣味」「プラモデルが趣味」という場合は、素材が限られますが、私のように素材集めから始める場合は、接着剤に対する、用途別の知識はあった方が良いと思います。
商品名が「万能接着剤」となっていても、大抵は万能ではありません。使ってみた個人的な感想としては、どの用途にも中途半端で使えないものもあります。
接着剤を購入するときは、説明書きを見て「接着できないもの」を確認する習慣を付けましょう。

参考になったら記事をシェアしていただけると幸いです。

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