工作に使える粘土の種類はさまざま:用途別おススメ粘土と特徴の紹介
粘土という素材の万能性
今回は、私が映画の小道具を制作するときに使っている、粘土について簡単に解説します。
あなたは「粘土」というと、どういうイメージを持たれるでしょうか?
普段、造形をし慣れていない方の場合は、子供の遊び道具のイメージが強いのではないでしょうか。
実際には、美術の世界だけでなく、工業デザインの世界においても、粘土は基本素材として使用されています。
今は、パソコンを使った3Dデータ作成が広く使われるようになりましたが、自動車のような工業製品の実物大デザイン模型を作る際にも、粘土が使われるのが普通でした。
何度でも形状変更が出来るタイプの粘土は、デザイン検討のために使われますが、乾燥すると硬化するタイプの粘土は、そのまま作品になったり部品になったりします。
陶器や磁器なども粘土で作られるものです。
工作などで手軽に使用する「石粉粘土」などは、加工の仕方で実に様々な表現が可能で、塗装と組み合わせて
- 自然の草木、岩石
- コンクリートなどの建造物
- 金属
- 動物の表皮
などを、リアルに再現することが出来ます。
手芸専門店に行くと、性質の異なる色々な造形用粘土が並んでいますが、比較的高価なので、今回は、私が普段使っている、100円均一ショップで手に入る粘土について、種類別に特徴や用途を解説していきます。(紹介画像は、100円均一ショップの商品ではありません)
粘土の種類による特徴の違い
100円均一ショップにもいくつかのチェーンがあって、微妙に品ぞろえが違います。
それでも、かなりの種類の粘土があることが分かります。
用途によって、使用すべき粘土が変わってきますので、注意してください。
【油粘土】
誰でも一度は使ったことがあると思いますが、特徴は硬化しない事です。
時間が経つとやや硬くなることはありますが、乾燥させて一つの作品にする、という使い方はしません。
油粘土は、硬化しない性質を利用した使い方をします。
一つは、検討用の造形。
時間を掛けて形状などを変更しながら造形する場合などは、硬化しない油粘土が適しています。
また、石膏型を作る際も、原型を油粘土で作るのが一般的です。
身近なようですが、実際の工作で油粘土を使う場面はあまり多くはありません。
【紙粘土】
特徴は、乾燥すると硬くなることと、絵の具で色が塗れる事です。
やや、特徴にばらつきがあって、硬化後、ずっしりと重い感じになるものと、いかにも紙という感じで軽くなるものがあります。
もう一つの特徴は、紙の繊維が絡み合う事で、完成後、比較的壊れにくい事が挙げられます。
ただ、この繊維質によって、後に紹介する「石粉粘土」などに比べて、細かな造型がやりにくい、という性質もあります。
私は、工作で紙粘土を使うことはほとんどありません。
【石粉粘土】
石の粉を原料にした粘土で、使用の用途が広く、色々な場面で使える粘土です。
ここでは100円均一ショップで手に入る「フォルモ粘土」を紹介します。
紙粘土と同じような感覚で使うことができ、絵の具で着色も出来ます。
紙粘土と違って粒子が細かいので、細かな造型や彫刻も出来ます。
表面の処理の工夫によって、金属の人工物から岩などの天然素材や動物の体など、さまざまなものをリアルに表現できます。
ミニチュアの造形には必須の粘土です。
乾燥すると硬化するので、柔らかいうちに形を整えます。
硬化後も水には弱いので、水性の絵の具で塗装する場合などは、表面が溶けて崩れないように注意が必要です。
乾燥後、細かな部分、薄い部分は破損しやすいので、扱いには注意します。
私の使用頻度が最も高い種類の粘土です。
【木粉粘土】
文字通り、木の粉が原料の粘土です。
やや、パサパサした感じで癖があり、使いやすくはないかもしれません。
乾燥するとやや縮んで体積が減るので、それを見越して造形する必要があります。
私は、木工用ボンドを練り込みながら使うことが多いです。
ボンドで十分に固めると、木ねじを打ち込むことができるので、、造形物の芯材として使うことがあります。
ただ、それほど使用頻度は高くありません。
【軽量粘土】
「中空微粉体」でできた粘土です。
フワフワとしていて、文字通り、非常に軽い粘土です。
乾燥後は、発泡スチロールにやや似た感じの質感になり、多少の柔軟性があるので、割れたりしにくいのもメリットです。
芯材にも表面造型にも使えますが、あまり細かい造形には向いていません。
用途によっては使い勝手がよく、私は最近、この粘土をよく使います。
【樹脂粘土】
一口に樹脂粘土と言っても様々なタイプがあります。
大きく分けて、
- 自然乾燥させるもの
- オーブンで熱を加えて硬化させるもの
がありますが、ここでは、私が最近重宝している、自然乾燥させるタイプの樹脂粘土を紹介します。
私が良く使うのは、原材料が「酢酸ビニル樹脂」の樹脂粘土です。
この成分は、水性の木工用ボンドと全く同じです。
粘り気は少なく、扱いやすいのですが、他の粘土と違って造形時にも弾力性があるので、きっちりした形状のものを作るのには向いていませんが、滑らかな表面を作るのが得意な粘土です。
自然硬化後も多少の弾力性を保つ特徴があります。
そのため、恐竜などの動物模型を作る際、歯や爪などをこの樹脂粘土で作ると、破損しにくくてとても使い勝手が良いことが分かりました。
粘土も適材適所
私は以前、あらゆる造型にフォルモ粘土しか使っていない時期がありました。
それほど万能な粘土ではあるのですが、最近、色々な種類の粘土を使ってみると、それぞれに特徴があって、その特徴を活かした使い方があることを痛感しています。
「この粘土は使いにくい」と感じたら、「その用途には適していない」ということかもしれません。
道具もそうですが、材料も、用途に合っていないものを使うと、不具合も出ますしストレスが溜まります。
粘土を使う造形の場合も、同じものを違う粘土で作ってみると、特徴の違いが実感できるでしょう。
あなたの特撮映画の小道具やミニチュアセットなども、適材適所を心掛けて作ると楽しさが倍増するでしょう。
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