大人もはまる「小学生向け特撮ワークショップ」の報告

スマホで作れる特撮映像

去る2022年8月21日、東京・池袋で開催された「特撮ワークショップ」に協力させていただきました。

対象は小学生。

保護者の方と一緒に参加していただく形式です。

 

内容については事前に何度か打ち合わせしたものの、小学生の興味の対象と、集中力の持続時間が読めず、「途中で飽きられた場合の対応」ばかりを心配していました。

最終的には「飽きたらレゴで遊んでもらうなり、画用紙に絵を描いてもらうなりして時間をつぶすしかないな

ということで準備をして当日を迎えました。

 

今回の特撮のメインは「グリーンバック合成の体験」です。

会場に3mのグリーンバックを2枚設置しました。

 

撮影、編集に使用するのはスマホのみ。

スマホに、iPhone、Android兼用のアプリ「CapCut」をインストールしてもらい、使い方を解説しながら、自由に撮影・編集をしてもらう形式です。

初めのうちこそ、使い方が良く分からずに親子で戸惑う場面もありましたが、あっという間にその段階をクリアすると、次々に色んなポーズで撮影をはじめ、会場に用意したミニチュアセットとの合成作業を次々と始めてくれました。

 

「飽きたときのために」と思って用意したものには全く興味を示さず、ひたすら撮影と合成作業を楽しんでもらえたようでした。

 

驚いたのは、恐竜のマペットを合成して、人をガブリと食べてしまうショットを作っていた小学生の映像です。

映像を作りながら、「音を加えたい」と言って、やり方を質問してきていたのは知っていましたが、完成動画を見せてもらったところ、かみつく瞬間に効果音が入っていて、格段に迫力が出ていたのでした。

色々と試行錯誤した結果、空になった水のペットボトルを潰す音を使ったそうです。

ワークショップの最後に、みんなで発表会を行なったのですが、その迫力に歓声が上がっていました。

特撮の原体験として重要なウルトラマン

参加者のほぼ全員が「ウルトラマンが好き」と言っていたので、改めてウルトラマン人気の凄さを思い知りました。

ウルトラマンはテレビに登場してから、ほぼ50年以上、小学生からの人気を保っているわけですから、すごいコンテンツです。

 

ウルトラマンの特撮の特徴は、スケール感を狂わせるミニチュアと言えます。

「巨大な登場人物がミニチュアの建物の前に立っている」というだけで、特撮の醍醐味を表現できます。

円谷プロのウルトラマンの存在が、「ミニチュアワーク」という、特撮の1ジャンルの人気を支えていたのかもしれません。

 

例えばアメリカの特撮映画でも、巨大な主人公が登場する物は多くありません。

ヒーローも皆、等身大です。

巨大な主人公は「キング・コング」くらいではないでしょうか?

「ゴジラ」はもちろん、「パシフィックリム」なども、円谷作品が大好きなハリウッドの作家が作った作品です。

 

本家のウルトラマンは、巨大なスタジオいっぱいに、たくさんのミニチュアセットを使って撮影する種類の特撮です。

私たちは、なかなかそういう撮影を体験することは出来ません。

 

しかし、スマホでも簡単に、精巧な合成が出来るようになった今、グリーンバックさえあれば、よく似た映像を作ることが出来ます。

ミニチュアセットを作るのではなく、高台から撮影した街並みに、グリーンバックで撮影したウルトラマン(になりきった主人公)を合成すればいいんです。

上手く行くと、皮肉なことに、ミニチュアセットを使った映像より、リアルな映像になることがあります。

予算に換算すると、はるかに安く済むにも関わらずです。

 

こういう風に、撮影不可能な場面を特撮によって実現できるだけでなく、特撮の種類によっては手間やコストにも大きな差が出てきます。

 

「ウルトラマンみたいな映像を作りたい」という動機が、最も効率よく特撮のアイデアに結びつくという点でも、ウルトラマンの偉大さを実感しました。

映画作りは何の役に立つか

あくまでも趣味として捉える限り、必ずしも役に立つ必要は無いのですが、私の感覚では、映像制作や特撮映像づくりでは特に、「問題解決能力」が養われると思います。

 

映画鑑賞やゲームのような、「受け身の遊び」ではないからです。

 

そもそも「こんな映像が作りたい」という難しい問題を自分で生み出して、知識と技術を応用して解決策を探す作業です。

選択した解決策はゲームで用意されているような「正解」ではありません。

今回、それを正解として終えるか、もっと良い手を模索するか、という判断も自分ですることになります。

 

もしかしたら「問題解決能力」が重要視されるようになる時代に、創作活動、特撮映像づくりは、良いトレーニングになるのかもしれない、ということを感じさせてくれた特撮ワークショップでした。

 

もし、またワークショップの機会があれば、「グリーンバック体験会」に特化して、ウルトラマンの光線とか、爆発の炎とか、面白い映像合成素材を用意しておくのも手だなあと感じました。

参考になったら記事をシェアしていただけると幸いです。

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