超低予算のスマホ向け映画が世界を制す?手作りDIY映画の世界戦略構想
私は80年代半ばから、映画好きな同級生の影響で、「映画鑑賞」ではなく「映画制作」という楽しみ方を知りました。
映画制作の趣味を始める前から「水曜スペシャル愛好会」というものを主宰していて、洞窟探検をして学級新聞の記事にしたりしていましたが、そのメンバー中心で制作した、第1回作品「水曜スペシャル THE MOVIE 水晶髑髏伝説」の完成に合わせて、ほぼ同じメンバーで「M’s Video Group」を結成し、以降、このグループの作品として制作を続けています。
第3回作品までは、完成作品は仲間内で楽しむことだけを考えていて、好きな映画BGMを使用してしまっているため、著作権の問題から公開できません。
第4回作品以降は、オリジナルで作ってもらったBGMや、著作権フリーのBGMを使用し、公開や販売が出来るようにしています。
最近になり、人によって色々な関わり方が出来る「DIY映画倶楽部」を立ち上げました。
これは、単なるサークルというのではなく、「メンバーに作品の関係者になってもらう」ことを目的の一つとしています。
スタッフ・出演者になってもらう場合はもちろん、衣装や小道具を提供してもらったり、登場人物の役名を考えたり、場面案を提供してもらったりという、負担の少ない関わり方でもいいので、関係者を増やしたいのです。
なぜ、関係者を増やしたいか、というと、自分たちの活動の「発信者」を増やしたいからです。
創作者は、作品が完成すると力尽きることが多いんです。
商業作品であれば、作品の完成後は、別の担当者がプロモーションをして拡散を出来ますが、大抵の創作者はそんな「マーケティングの感覚」を持ち合わせていません。
作ったら作りっぱなし。
完成するころには、興味は次回作に移っていることが多いのではないでしょうか?
これが非常に勿体無いと思うんです。
せっかく作った作品ですから、コンテンツとして拡散しないと作った甲斐もありません。
例えば、完成後、販売等を行って生み出した利益を仲間同士で分け合える体制を実現させたいと思っているのです。
「趣味なのだから販売するのはおかしい」という人もいるでしょう。
私もかつてはそう発言していました。
しかし、正直に言えば、それは価値観の問題ではありませんでした。
「お金を取るわけではないのだから、内容の批判はしないで欲しい」という思いと、「売れない言い訳を先にしている」に過ぎなかったんです。
実際の映画制作には費用が掛かります。
私は超低予算での制作を提唱しているので、普通の人のタバコ代、酒代くらいで作品を完成させることは出来るのですが、協力してくれる人が提供してくれる「時間」の価値は無視できません。
本来ならば、人件費として料金を払わなければいけないところを、厚意に甘えて食事代・交通費だけで手伝ってもらっているのが現状です。
でも、趣味とは言っても、観客を意識してしっかり作ったものであれば、何らかの価値を感じさせることは出来るはずです。
価値があれば、販売も出来るはず、というのは、私がサラリーマンを辞めてフリーランスになったから強く持つようになった意識かもしれません。
とは言っても、多くのクリエイターが考えるように「良いものを作ればそのうち誰かが買ってくれる」というような、甘い考えは持っていません。
売れないんです。
観客としての私たちは、プロが作った映画やドラマを無料で鑑賞しながらも、平気で批判することに慣れています。
仮に「プロ並み」のクオリティで作品を完成させても、「まあよく出来てるんじゃない?」という以上の評価は得られないのです。
ましてや、作品を購入するということはまず考えられません。
そこで、私は発想を変えることにしました。
いくつかのポイントがあるのですが、一つには「人がその作品を無視できない状況を作り出す」ということが考えられます。
どうすれば無視できない存在になるか。
それは、その人自身を「当事者」にしてしまうという事です。
スタッフや出演者として少しでも関わってもらった場合、作品に名前を載せれば、その人は当事者になります。
完成したら当然、確認しようと思いますし、自分の知り合いにも作品を宣伝する「動機」が生まれます。
「自分の知り合いが作った映画なんだけど、観てみない?」
と言われても、見ず知らずの人が作った、程度も分からない映画を見る人はいません。
でも
「自分もちょい役で出演してるんだけど、DVDを買ってくれない?」
と言われたら、話のタネに2000円くらいで買ってくれてもおかしくありません。
友人がエンターテイメント作品の中に、別人の役柄として登場しているんです。
それを見るのは、実際、楽しいものです。
そうやって、「当事者」になって、作品の販売にも協力してくれた場合は、利益の半額を本人に還元しようと思っています。
そうすることで、制作者は制作費を少しずつ回収できますし、協力者は余暇に趣味として楽しんで作品に関わった上、小遣い稼ぎが出来る。
買った人は、自分の知り合いが出ている作品を見て楽しめる、という状況を作れると考えているのです。
さらに、私が提唱している「升田式スーパープリヴィズ法」で作品を作れば、完成後、「この役でこの作品の中に出演したい」というオーダーに応えられます。
例えば、飲み屋のママに出演してもらった作品を完成させれば、その店の常連客に買ってもらえるだけでなく、「後から」個別に追加撮影することで、DVDの中でママと共演できることになります。
そうすると、無数の別バージョンが出来て、当事者も増えていくということです。
- シャレで自分も出演したい
- 知り合いに売って観てもらいたい
という動機が十分に生まれると考えられます。
「映画は芸術だ」と考える人には、不謹慎に感じられることかもしれません。
でも、私にとって、映画とは「楽しみの道具」、エンタメです。
あらゆる方法で楽しむ工夫をする対象と捉えています。
もちろん、作品によっては、各種コンテストにも出品するつもりです。
完成作品をアマゾンビデオで公開して、収入を得れば、大げさに言えば世界も市場にできます。
変わったところでは、低予算の作品を量産している映像制作会社などに作品を送り、「リメイク権」を販売するという選択肢もあり得ます。
「自主映画は商売にはならないから」
と当たり前のように言われることが多いのですが、それは、昔の職人のように「作品は完成させた。さあ買ってくれ」という姿勢だからでしょう。
「良いものさえ作れば売れるはず」という幻想は捨てなければいけません。
昔とは世の中の情報量が全然違うんです。
あまり販売の事ばかり話していると、「金で創作の魂を売るのか?」という批判をする人がいますが、それは的外れです。
「お金になることを優先して、作りたくもないものを作る」というわけではないからです。
作りたいものを作り続けるために、作品が収入を生む仕組みを構築しようとしているだけです。
これまで創作者は、「販売」の勉強をしたり、努力をせずに、ただ作品を生み出すことが良いとされてきました。
その結果、例えば、美術大学を出て画家になっても、1枚も売れずに絵をやめる人が大多数だといいます。
これは悲劇です。
ピカソですら、自分の作品を高く販売するために、顧客の前で作品の解説をするなど、営業努力をしたそうです。
ピカソほどの才能が無いとしたら、もっと販売の工夫にも知恵を絞らなければいけないのは当然ではありませんか?
大それたことだとは承知の上で、私は「自主映画、DIY映画も商売になる」ということを証明したいと思っています。
ですから、DIY映画倶楽部では、単に創作活動として自分たちの作品を完成させておしまいではなく、
- 完成作品で売り上げを上げる
- 販売に貢献した人には収入が発生する
- 完成作品を累積して「販売コンテンツ」として常に活用していく
という、ビジネスマインドの訓練・実験の場にすることも目指したいと思っているのです。
参考になったら記事をシェアしていただけると幸いです。
DIY映画倶楽部のご案内
創作活動としての映画製作は最高に楽しいものです。
昔はネックだった撮影・編集環境も、現代では簡単に手に入ります。スマホをお持ちの時点で最低限の環境はすでに揃っているとも言えます。
- 趣味がない人。新しい趣味で楽しみたい人
- 自分の創作がしたい人
- 映像作品に出演して目立ちたい人、目立つ必要がある人
にとっては最適の趣味であることに間違いありません。
ただ、実際の映画製作には多くの工程があり、全てのノウハウを一人で身に付けて実践しようとすると大きな労力と長い時間が必要になります。
DIY映画倶楽部は入会費無料の映画作り同好会です。
広い意味でのストーリー映像を作るためのノウハウを共有し、必要であれば技術的な支援もしながら、あなたの創作活動をお手伝いします。
詳しくは以下の案内ページをご確認ください。
Can Ultra-Low-Budget Smartphone Films Take Over the World? A DIY Film’s Global Strategy
From Film Enthusiast to Filmmaker
My journey into filmmaking began in the mid-1980s, inspired not by mere film appreciation, but by a classmate who introduced me to the joy of creating films.
Before filmmaking, I led an activity group called the Wednesday Special Appreciation Society, where we explored caves and wrote articles for our school newsletter. This same group eventually created our first film, Wednesday Special: The Movie – The Legend of the Crystal Skull. Following its completion, we officially formed the M’s Video Group and have continued making films under this name ever since.
Our first three films were just for fun, made for an audience of close friends. However, since we used copyrighted music in these works, they can’t be shared publicly. From the fourth film onward, we began using original or royalty-free music to ensure these works could be publicly distributed and even sold.
The Birth of the DIY Film Club
Recently, I launched a DIY Film Club. Unlike a casual film circle, one of the core purposes of the club is to make members part of the film’s creation process.
This involvement could range from taking on acting or staff roles to more accessible contributions like designing character names, suggesting scenes, or donating props and costumes. The aim is to involve as many people as possible.
Why gather contributors? Because every contributor becomes a messenger of the film’s message.
For many creators, the process ends when their work is finished. Commercial productions have dedicated teams for marketing, but independent creators rarely possess those skills. As a result, finished projects often sit idle, overshadowed by the excitement of starting the next one.
This is a missed opportunity. Once completed, a film should spread far and wide. In fact, I hope to create a structure where profits from selling finished works can be shared among contributors.
Monetizing Hobbies Isn’t Inherently Wrong
Some may argue that monetizing a hobby is inappropriate. I used to believe this myself, but in hindsight, that mindset stemmed from a fear of criticism and a subconscious preemptive excuse for potential failure.
Making films—even on a shoestring budget—requires funding. While I advocate for ultra-low-budget filmmaking, the value of the time donated by collaborators shouldn’t be ignored. Ideally, they should receive compensation beyond meals and travel expenses.
Films crafted with an audience in mind inherently possess value. If they have value, they can be sold.
A Shift in Thinking
I understand that simply creating quality work isn’t enough to ensure sales. Consumers are accustomed to watching professionally made films and TV shows for free and freely criticizing them. Even with “professional-level” quality, independent films are unlikely to elicit more than a polite “Not bad!”
So, I shifted my focus to creating conditions that make it impossible for people to ignore the work—by making them stakeholders.
Anyone who contributes, even in a small way, becomes a stakeholder when their name appears in the credits. This involvement naturally motivates them to check out the finished film and even promote it to their network.
Expanding the DIY Film Ecosystem
Here’s the concept: involve people, allow them to participate as actors, collaborators, or supporters, and then share any profits with them.
For example, by using my Masuda Super Previz Method (a unique previsualization technique), I can meet personalized requests for participation even after a film’s completion.
Imagine a film that features a bar owner. After its initial release, custom scenes can be added where regular patrons “appear” alongside the owner. This creates endless variations and expands the network of contributors.
Some may find this approach unorthodox, but for me, film is a tool for enjoyment and entertainment. It’s worth exploring any method that enhances that fun.
Proving That DIY Films Can Be Viable Businesses
I aim to show that DIY films can succeed commercially. The DIY Film Club isn’t just about completing creative works; it’s about fostering a business mindset:
- Generating sales with completed films
- Rewarding contributors with profits
- Continuously utilizing completed works as marketable content
This approach could even extend to licensing ultra-low-budget films for remakes or showcasing them on platforms like Amazon Video for a global market.
Critics may argue that monetizing creativity “sells the soul,” but that’s misplaced. This isn’t about creating for money; it’s about ensuring sustainability by building revenue-generating mechanisms.
Even Picasso famously engaged in promotional efforts to sell his work. If someone with his talent saw the value in marketing, shouldn’t we—mere mortals—invest effort in it too?