観客は作品だけでなく制作過程も楽しみたいので「メイキングがメイン」のつもりで創作する
「完成させて終わり」の創作から脱却しよう
今回の記事は、提案であることと同時に、自分に対する戒めでもあります。
私自身、日頃から心掛けつつ、必ずしも上手く実践できているわけではないからです。
そのつもりでお読みください。
創作の趣味は、スタートさせた時点で楽しさが始まります。
そして、小説や漫画、映画などのように、ある程度の時間を掛けないと完成しない種類の創作については、「最後まで完成させる」というのが、大きな壁になります。
特に、高望みをしてしまいがちな性格の人は、「未完成癖」が付いてしまいがちです。
実を言えば、私自身が強烈に高望みをしてしまう性格なので、これまでいくつも未完成作品を眠らせてきました。
最近になるまでは、自分で創作していながら、「この作品は完成させられるのだろうか?」と半信半疑なことがありました。
最後の最後は、数か所のこだわるところはこだわり、数か所は妥協することで調整をし、完成品として仕上げるコツのようなものが、ここ数年でようやく分かってきた感覚があります。
もしかしたら、完成させるのが困難な創作ほど、「高望みしてしまう人」がハマる趣味なのかもしれません。
それくらい、「完成させること」は実は困難なんです。
ですから、ほとんどの創作者は、完成させることが精いっぱいで、そこで力尽きます。
完成させたからには、多くの人に見てもらったり、あわよくば購入してもらったりしたいところですが、完成させただけでは、何も起きないのが現実です。
日頃の発信力を意識しよう
昔であれば、マニアックな雑誌など、何らかの媒体を使って「上映会」を開催するなどしか、情報発信の方法はありませんでした。
でも、マニアックな活動をしている人も少なく、情報源も限られていたため、そんな上映会でも楽しい出会いもあり、仲間を作る機会にもなり得ました。
現在では、インターネットが普及し、HPはもちろん、SNSを使って発信することが出来ます。
しかし、発信する人の数が信じられないくらい増えたため、あなたの発信は埋もれてしまって、伝えたい人に伝わらないのが実情です。
そもそも情報量が多いので、映像コンテンツに限っても
- 観たいドラマ
- 観たい映画
が山積みになっていて、それを観る「時間が足りない」という人が大半ではないでしょうか?
そんな人に対して、無名の映像作家が作った映画を、普通の映画と同じように「完成しました」と告知しても、なかなか観てもらえるものではありません。
まして、コンテンツを購入してもらうのはかなり難しいでしょう。
まずこれを自覚しましょう。
「それでも作りたいから作る」ということなんですが、その繰り返しで本当に良いのでしょうか?
人を楽しませる発信をしよう
「仕事ではないのだから、自分の作りたいものを作るだけ」という考えには賛成します。
私も基本的にはそうです。
でも、映画作りにはエネルギーが必要です。
使うエネルギーに見合う「喜び」がないと、創作活動は続けられません。
これは、プロデューサーや監督であるあなたはもちろん、貴重な余暇の時間をあなたに提供してくれる仲間にとっては、さらに重要な要素です。
多くの場合は、活動を続けるうちに疲弊して、だんだんと疎遠になってしまいます。
それを防ぐには、本来、創作活動が持っている「楽しさ」を増幅させるような「発信」がとても有効になります。
ポイントは、
- 小出し
- 多面性
だと思います。
情報の小出しは、発信頻度のアップにも繋がります。
例えば「XXニュース」というような形で、見栄えのする体裁に整えた動画を、月に1回しか公開しないよりは、ラフに編集した動画を3日おきにSNSに発信した方が、効果は高いでしょう。
視聴する方も、10分も20分もある動画は、余程の事が無い限り気軽には見ません。
それよりも、30秒や1分くらいの「何か面白そうなことやってるみたいだな」という、短い動画の方が見やすく、また、見る頻度が高いことで、興味を持続させ、親近感を持たせる可能性が高いのです。
多面性は、特に映画作りにおいては有効です。
作業の種類が多岐にわたるので、さまざまな作業について、短い情報を発信すればいいんです。
「こんな情報、面白くないだろう」という判断は禁物です。
作り手本人は、何が面白いのか面白くないのかの判断は全く出来ないと思ってください。
私も、「これは受けるだろう」と思った発信が全く受けず、発信する情報が無くて、穴埋めのつもりで出した、模型工作の作業が思いのほか好評で驚くことがあります。
製作途中の情報発信の意味は、作品完成までの期間、ずっと宣伝できることと、「その情報で楽しんでもらえている」ということ自体が、作り手に「喜び」として還ってくることです。
最強の作戦はメイキングを前面に出す事
そうやって考えると、最も現実的で実践的なのは、「メイキング」の情報を常に記録しておいて、それを小出しで発信することです。
撮影現場などでは、即席で良いのでメイキング映像の専属カメラマンを確保したいところです。
あなたがプロデューサーや監督の場合、作業のほとんどは一人で黙々とやることになりますから、メイキングのコンテンツは意識して残さないと存在しないことになります。
「こんな作業風景面白いのかなあ?」という判断はしようとせず、
- 準備中の作業風景
- 作品構想についてのコメント
- 協力者のコメント
などを、一手間かけて記録してください。
クリエイターとしては不本意かもしれませんが、そんなメイキングコンテンツは、完成した作品と同様か、場合によったら本編以上の魅力を感じさせる力を持っています。
「自分はあくまでも完成した作品で評価して欲しいんだ」というクリエイター気質が災いして、一部の天才以外の人は、活動がままならなくなっていきます。
結果的に、長期間にわたってメイキングコンテンツを楽しんだ人は、完成作品を観たり購入したりする可能性が高くなります。
「メイキングは本編のオマケ」「余裕があったら作るプラスアルファ」と考えずに、もう一つの作品と思って、メイキングコンテンツを作成・発信してみてください。
作品が完成する前に、ファンを生み出しておくことはとても重要です。
参考になったら記事をシェアしていただけると幸いです。
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