洞窟出口のミニチュアメイキングの解説・撮影用のジオラマは耐久性時間は30分で良いと割り切る
背景映像はミニチュアを合成するという手法を多用する
(下記は動画テロップからの書き出しを元にしています。内容は動画でお楽しみください)
今回は、探検映画「ツングースの楽園」から洞窟出口のミニチュアセットの工作を紹介します。
洞窟の出口なんですが、実際にそんな絵コンテで描いたような風景の場所がないので、当初から映像合成を使って表現しようとは考えていました。
やはり「引きの映像」は画面映えとして欲しかったので1カット分はミニチュアセットを使うことにしました。
ミニチュアで作るといっても、登場するのはほんの数秒。ですから、費用対効果の観点から、あまり時間をかけて丁寧な工作はしていられません。せいぜい1時間くらいでミニチュアセットを作ってさっと撮影してしまおうということにしました。
費用対効果と言いましたが、実際に味わいたくないのは「こんなに手間をかけて作ったのに、この程度しか登場しないのか。あの努力を別の部分に向ければよかった」という感情です。
実は、私が映像を作り始めたころから、その課題は感じていたんです。
一方で、明らかに手を抜いて「それらしく見せるための工夫」だけで作った映像の方が出来が良かったりして、そのギャップに痛快さを感じることも多かったんです。
そんなわけで、今回は徹底した手抜き工作で「それらしく見せる」ことに徹しています。
段ボールの空き箱にセットを作るわけですが、塗装もしないで仕上げようということで、実際の石を使います。
洞窟の出口の向こう側から光が差し込んでいるのを表現するために箱に穴をあけています。
雪が吹き込んだ斜面は粘土を詰めて成形しますが、発泡スチロールを隙間にはめて使う粘土の量を節約しています。
粘土はいつもの石粉粘土というやつです。
これを発泡スチロールと石の間に詰め込んで、ちょうど「洞窟の出口から雪が吹き込んでいる」という形を表現しようとしています。石は段ボール箱に固定してませんから、本当に撮影して使い捨てるという状態です。
石粉粘土の上から石膏の粉をまぶして雪を表現しています。本当のジオラマであれば、固定させるために粉を接着する必要があるんですが、今回はすぐに撮影して出番はおしまいという形なので、筆で粉をなじませるだけです。
洞窟の天井も、石をはめて表現します。石の間にアルミホイルを詰め込んでいます。これは向こう側からの光が漏れないようにしているんです。
そして、箱の上面に蓋をしてしまうと、暗い洞窟のセットが一通り完成です。
穴が空いていると、向こう側(部屋の中)が見えてしまいますから、ティッシュペーパーを被せて、その外側からライトで照らすという形で撮影をしています。
光を調整して、岩肌の感じと雪の感じがちょうどいいところを使おうというわけです。
出来上がりの映像では、このミニチュア映像に人物の画像を切り抜いて、画面にはめ込むことでスケール感を出しています。
実際の雪が積もっている中で撮影した人物映像と組み合わせて、この洞窟の出口の場面を本編の中では表現しています。
イメージ優先で想定した場面を、できるだけそのままの形で映像として再現するためには、このようなミニチュアとの合成が有効と考えています。
いかがでしょうか。参考になれば幸いです。
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