長老のダミーヘッド制作・出演者の幅を広げる工夫の一環として実物大の人形を使う

(下記は動画テロップからの書き出しを元にしています。内容は動画でお楽しみください)

今回紹介するのはダミーヘッド(偽物の頭)です。

これは探検映画「水曜スペシャル the movie 水晶髑髏伝説」の中で、主人公たちが原住民の長老と会見する場面に使うために作りました。

 

そういう場面で使う特撮としては、特殊メイクをして人が演じると言うことも考えられるんですけれども、この時は実物大で頭部の模型を作ると言うやり方を選択しました。

 

ジャングルの中の「小屋の中」と言う設定で撮影をするために横たわっている長老の模型も作りました。

これはアップにはならないので、ダミーヘッドと同じ石膏の型を使って、ラテックスゴムで複製しています。

 

それとは別に、動く顔を作って喋っている場面を撮ろうということで、構造を考えました。

まずは、しゃべるわけですから口は動かしたい。それから目も動かないとリアルじゃないだろうと、加えてまぶたも動けば表情が変化させられるだろうという事で設計しました。

いろいろと昔の特撮映画の資料写真などを観察しながら作り込んでいます。

 

いざ、可動式の人形を作ろうとすると、人の体の構造は非常に複雑な動きの組み合わせで成り立っていることが分かります。

 

基本的には全ての動きは、ワイヤーを引っ張ったり戻したりということで表現するという発想で、工作をしました。

特にこだわったのは目の動き。

眼球がが上下左右に動いて、さらにまぶたも動くことで表情が表現できると考えたからです。

 

当時の創作ノートを見ると、口の動きの構造についていろいろと試行錯誤している跡がわかります。

実際に作ったダミーヘッドの内部構造が分かる写真が残っていました。

これはもう撮影が終わって随分経ってから参考資料として保存してあったものを撮影した写真です。

 

中央に通っている黒いワイヤー線、自転車のブレーキワイヤーを引くことによってまぶたが上下したり、眼球が上下左右に動いたりというような構造になっています。

最終的には顎の動きだけは、ワイヤーで表現すると柔らかい感じが出なくて、全てワイヤーを外して、手で直にあごの骨を動かしてセリフに合わせて口を動かすというシンプルな撮影方法をとりました。

 

皮膚の材料はラテックスゴムです。粘土で原型を作って石膏で型を取り、その石膏の内側にラテックスゴムを塗って後から抜くという形で皮膚を使っています。

そして、日本人形用の毛を後から縫い付けて、毛が生えたような状態に見せています。

塗装は油絵具で行っています。

 

完成映像は、横たわっているという設定ですけれども、横向きにすると操作がやりにくいので、実際の撮影は床を垂直に立てた状態で撮影しています。

カメラを横に倒して撮影することで出来上がり映像では長老が横たわっているように見えます。

撮影時の写真を見ると、右下にテレビモニターが映っています。ダミーヘッドの裏で操作をしながら、モニターで動きを確認して撮影しているという状態です。

 

操作をしている私自身がセリフを口に出しながら、それに合わせて口を動かしています。

(文章は動画テロップからの書き出しを元にしています。内容は動画でお楽しみください)

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