遺跡のマット画・写真に絵を描き足して架空の景色を作る楽しさを味わう

(下記は動画テロップからの書き出しを元にしています。内容は動画でお楽しみください)

今回は、特撮の手法の一つ。マット画、マットペインティングの応用例を紹介します。例に出しているのは、1980年代に作った作品の資料ですから、だいぶ古いんですけれども、考え方としては現代でも応用できると思っています。

 

ご覧いただいているのは、実際の遺跡の写真を見ながら模写したスケッチです。

遺跡のデザインを決めるために、いろいろ手を使って描いてみます。遺跡の構造を知るためにも模写してみるというのが意外と有効なんです。

古代遺跡にもいろいろなパターンがあるんですけれども、私は崖の面をくり抜いて作った寺院というようなものがとても好きなので、この当時もそういう遺跡をデザインして使おうということで、いろいろ写真を見ながら検討しています。

イメージを固めたスケッチがこれです。「シーン61のカット1」というような数字が入っています。

具体的に絵コンテはできていて、「登場するのは遺跡のこの部分」と想定されています。

 

それをさらにシンプルな状態にまとめたのがこの絵なんです。

ここからプロの画家(マットペインター)のようにリアルな絵にする技術は私にはないので考えたのが、実際の景色の写真に直接、絵の具をのせてしまうという手法です。

 

この作品を作った当時は、今のようにデジタルデータを使って映画を作る時代ではありませんから、フィルムで写真を撮って、その崖の写真に直接アクリル絵の具で遺跡の部分を描き足しています。

この崖の写真は、神奈川県の江の島の海岸に面した崖です。

 

イメージスケッチを元にしながら、写真の表面に直接、水性アクリル絵の具で色を塗って、「崖をくり抜いた遺跡」の雰囲気を出そうとしています。

今であれば、撮影したデジタルデータの上にデジタルでこういうペイントができますから、さらにリアルに架空の景色が作れると思います。

 

ゼロからコンピューターグラフィックで作った映像とは一味違う、この「手作業の楽しさ」は、今の時代でも使えると思います。

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