CGにはないアナログ特撮の魅力を探る
特撮の分類とCGの進化
最近では「CG」と「特撮」を違うものとして認識されることもありますが、本来、「特撮(特殊撮影)」は
- ミニチュア
- アニメーション
- CG
- スタント
- ダミー
- 合成
などの形で分類されていました。
つまり、CGも特撮の1つだったんです。
ただ、コンピューター技術の進歩によって、CGでカバーできる映像の範囲が飛躍的に増えたため、CGだけ独立した手法として捉えるようになったのだと思います。
「撮影」をしないので、「特撮(特殊撮影)」という言葉と合わない事も確かです。
実際、「Blender」などの3DCGソフトでも、描きたい映像のほとんどはCGで再現できます。映像編集ソフトと組み合わせて、出演者も無し、カメラも使わずに作品を完成させることも可能なわけです。
しかもこの「Blender」は、使いこなせばかなり精度の高い映像が作れるのに、無料ソフトというのですから驚きです。
私自身は全く使えませんが、使いこなせる仲間が一人いるととても助かると思います。
それはさておき、どうしてそれほどまでに万能のCGを使うのが当たり前の時代に、昔ながらの、ミニチュアセットを使ったようなオーソドックスな「特撮技術」を使う人が一定数いるのか、という話です。
結論から言うと、CGと古い特撮(以後、アナログ的特撮と呼びます)では、魅力の種類が違うんです。
CGを使って大成功した映画は、何と言っても「ジュラシック・パーク」でしょう。
私は、小説の日本語版を真っ先に買ってから、映画化が実現するまで数年間楽しみに待ち続け、新宿での先行オールナイト上映で観ましたから、並々ならぬ思い入れがあります。
どの映画館の前にも、何時間も前から長蛇の列が出来ていた異様な光景を憶えています。
そこで観たCGの恐竜の素晴らしかったことと言ったら、大げさではなく、めまいを覚えるほどでした。
しかし、後にCGの重大な弱点を知ります。
それは、「CG映像はすぐ飽きてしまう」という事実です。
「ジュラシック・パーク」の恐竜は、実はほとんどが実物大の模型を使って撮影されています。
模型では表現できない動きをする部分だけCGでカバーしてるんですね。
確か、CGの恐竜映像は全て合計しても10分間前後しかないはずです。
この、「模型を使った映像」と「CG映像」の組み合わせが絶妙だったことが、「ジュラシック・パーク」の圧倒的魅力に繋がっているのは明らかです。
数年後「ジュラシック・パーク2」という続編映画では、数倍の分量のCG映像が使われましたが、私は、CG映像にすっかり飽きてしまっている自分自身にショックを憶えていました。前作より格段にCGのレベルも上がって、見どころ満載の映画になっている筈なのに、つまらなかったんです。
これは、私だけの感想ではなくて、たまたま同じ回を見ていたらしい、若い女性客同士の会話からも「CGの凄さにはすぐ飽きる」という事実が伝わってきました。
「CGを使っているから凄い」と言われた時期はほんの短期間で、今では
- どうせCGでしょ?
- CGの割によく出来てるね
というように、CGの株は明らかに下がっているんです。
CGの弱点は「実体」がないところ?
映画は「映像」なので視覚的錯覚を大いに応用すべきだと思います。
「本物志向」の「映画原理主義者」が理想とするのは、巨大なオープンセットを作ってトリック無しで映像を作ることでしょうが、今の時代、1つの映画にそんなコストは掛けられません。
ですから、実際にオープンセットを作るのではなく、何らかのトリック技術を応用して似たような映像を作る必要があります。
その手法の1つとしてCGはもちろん有効なんですが、CG映像を見慣れてしまうと、素人でも分かるレベルで「軽く」感じてしまう気がします。
音楽でたとえて言うと、物体を撮影した映像は「オーケストラ演奏の音」で、CG映像は「電子音でオーケストラ風にした演奏」という感じでしょうか。
これは、CGには実体が無いことが原因である気がします。
同じトリック映像の1つである、「ミニチュア」を合成する映像を見てみると、やはり本物の重厚さは出ないことがあるものの、「実体」が撮影されている分、リアルな「質感」は表現できているような気がします。
音楽に例えると小規模のバンドの生演奏のような感じです。
ミニチュアが持つ魅力も加味される
いずれにしても、私たちのDIY映画では、本物志向で全ての映像を作ることは、経済的に不可能です。
場面によっては何らかのトリック映像が必要です。
そこで、CGを使うかアナログ的特撮手法を使うかの選択になるわけですが、アナログ的特撮の、特にミニチュアセットを使った映像の場合、別の要素を味方に付けることが出来ます。
「ミニチュアの魅力」です。
「ミニチュア」というものには、ほとんど説明不能な、ある意味、理不尽なまでの魅力があります。
古くは箱庭やドールハウスなどがあります。
食玩、カプセルトイ、雑貨などの中には意味不明なミニチュア模型もあります。
ミニチュアのケーキやかわいい動物に魅力を感じるのは分かるんですが、パイプ椅子やビールケース、工事現場のコーンのミニチュアに至っては、喜んで買っている私自身、全く意味が分かりません。
ただ「よく出来たミニチュアセット」というだけで楽しくて、思わず所有欲が湧いて出てしまうとしか思えないんです。
あらかじめ撮影した実写映像に、別撮りした「ミニチュア模型」を実物大に見えるようにして合成する、というシンプルな手法は、ミニチュアセットが持っている「まるで本物みたい」という素朴な楽しさを映像にもたらします。
CGは「CGであること」が分かった途端、興ざめになります。
一方、ミニチュアは「本物に見せる」という本来の目的に仮に失敗したとしても、「ミニチュアである」という事自体の魅力がプラスとして捉えられる可能性が高いんです。
「へえ、ここはミニチュアなんだ面白い!」
という具合です。
もちろん、基本的には「ミニチュアであること」を気付かせないように努力するのが前提だと思います。
その努力が少ないと「このチャチなところが良いでしょ?」という「あざとさ」が感じられてしまって、魅力は半減します。
あわよくば最後までミニチュアであることを隠し通し、仮にミニチュアであることがバレても、観客の方が気付かないふりを楽しめるくらいの出来に仕上げられれば、トリック映像が作品を邪魔しないどころか、プラスアルファの魅力をもたらす可能性さえあると思うのです。
そんな理由から私は、かなり多くの割合でミニチュアセットを活用した場面を自分の作品の中に盛り込んでいるんです。
参考になれば幸いです。
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Exploring the Unique Charm of Analog Special Effects Beyond CGI
The Evolution of Special Effects and CGI
In the past, “special effects” (SFX) encompassed various techniques, such as:
- Miniatures
- Animation
- CGI
- Stunts
- Dummies
- Compositing
CGI was originally one among many SFX methods. However, as computer technology advanced, the scope of what CGI could achieve expanded significantly, causing it to stand out as its own category.
Modern tools like Blender have made it possible to create incredibly realistic visuals, even without actors or cameras. Remarkably, Blender is a free software program that anyone can master.
Yet, despite CGI’s versatility, there are creators who continue to use traditional analog techniques like miniatures. Why? The answer lies in the different types of charm each approach offers.
The Limitations of CGI
A prime example of CGI’s success is Jurassic Park. The film used full-scale models for most scenes, reserving CGI only for movements that couldn’t be achieved practically. This balance between models and CGI contributed to its overwhelming appeal.
In the sequel, Jurassic Park 2, CGI usage increased dramatically, but the novelty had worn off. Despite technical advancements, the excessive reliance on CGI left the film feeling less captivating. This shift reflects CGI’s major weakness: viewers quickly grow desensitized to it.
Analog Effects: The Power of Tangibility
The main limitation of CGI lies in its lack of “physical presence.” Analog techniques like miniatures, while imperfect, convey a sense of weight and texture that CGI struggles to replicate.
Miniatures carry an additional layer of charm. Their appeal transcends logic—think dollhouses, capsule toys, or even miniature construction cones. They captivate us simply by existing as meticulously crafted small-scale versions of reality.
When integrated into films, miniatures can bring a unique authenticity, even if their primary goal of being “realistic” isn’t fully achieved.
Why Miniatures Have a Lasting Appeal
In low-budget filmmaking, fully practical effects are often impossible. However, choosing miniatures over CGI brings unexpected advantages:
- Miniatures possess innate charm. Even if viewers recognize them as such, this can add to their enjoyment.
- They evoke a “handmade” quality, which enhances viewer engagement.
- A well-crafted miniature that blends seamlessly into a scene can surprise audiences with its authenticity.
By incorporating miniatures thoughtfully, filmmakers can leverage their inherent appeal without overshadowing the story itself.