創作活動のモチベーションを維持するために知っておきたい作業設計のポイント
ポイントは「発信」
誰に頼まれるでもないのに、脳に汗をかいて取り組んでしまう「創作活動」。
はたからみると、
- せっかくの休みの日に何でそんな苦労をするの?
- もっと気楽に過ごしたらいいじゃん
と映るようですが、「創作の魅力」に気付いてしまっている私たちは、
「気楽に過ごした時間から得られる満足感」
と
「創作活動で一歩完成に近づいた実感から得られる満足」
の圧倒的な差を知ってしまっています。
ですから「楽に過ごしたら?」という意見は、ランニングが趣味の人に「そんなに汗かいて疲れることしないでテレビでも見て過ごせば?」というくらい意味のないことなんです。
ところが、そんな「頼まれもしないのにやってしまう創作活動」の筈なのに、自分自身のやる気、モチベーションは日々コロコロと変わります。
夜更かししてまで進める日があるかと思えば、簡単な作業ですら億劫で、何も手を付けられない日もあります。
これが他人から請けた仕事であれば、やる気があろうがなかろうが、毎日何の問題もなく進めることが出来ます。
受注作業というのは、相手の課題を解決するための行動なので、そもそも作業者である自分のやる気に依存などしていないからです。
一方で、趣味の創作活動は「自分の満足感」のための作業ですから、自分自身が納期遅延の要請に簡単にOKを出せてしまうんです。
それは「誰に迷惑を掛けるわけではないから」という安心感もあるからです。
実際に、たった一人で完結するタイプの創作ではそれに間違いは無いんですが、DIY映画の場合、大抵は協力者が存在します。
少なくとも協力者が関わった以降は、出来るだけ早く「完成」させて次の段階へ進み、労をねぎらう必要があるんです。
しかし、前述のように、作り手である自分自身のモチベーションは一定しません。
私も「やる気」が低迷している時は完全に作業がストップしてしまいます。
このあたり、スポーツ系の趣味であれば「休むと気持ちが悪い」という感覚に手伝ってもらって継続しやすい部分があるのですが、創作の趣味の場合、進まない事への焦りが募るばかりで、どこから手を付ければ良いか分からなくなりがちです。
そんな時、大きな推進力になるのが承認欲求が満たされることであり、そのための手法が
具体的に言うと、「メイキングの写真」を投稿することです。
もちろん、この投稿を効果的にするためには、日頃から自分の「発信メディア」を育てておくことが必要です。
メディアを育てておけば、あなたの発信に対して共感してくれる人に情報を提供できます。
そして、基本的に「メイキング情報」というのは、第三者から見てとても「面白い」んです。
創作者としては不本意かもしれませんが、多くの場合、完成した本編よりメイキングの方が面白いのが事実です。
ですから、あなたの発信に対して人々は共感して承認してくれます。
その反応はあなたの承認欲求を満たすことになり、続きの創作作業のためのモチベーションを生み出すことの原動力になります。
単純に、面白がられたり、褒められたりすることでその気になってしまうんですね。
我ながら単純だとは思いますが、そんな子供じみた動機で、私たちの行動は変化するんです。
ですから、これをプラスに利用しない手はありません。
発信から逆算すると作業の順番が変わってくる
実際には、発信の内容自体はある程度何でも良いんです。
「これは受けるだろう」
と思って、反応を楽しみにして発信してみたら全く受けなかったり、完全にその場しのぎで発信した、全く見映えのしない写真が思わぬ高評価を得たりします。
ですから、ある程度機械的に「ペースをコンスタントにすること」を意識して発信することが有効です。
その上で、発信しやすい順番で作業を進めます。
見落としがちですが、この「順番」はとても重要です。
これは仕事でたとえると分かりやすいかもしれません。
A、Bという2つの作業があるとします。あなた自身はどちらからでも作業できるとします。
しかし、Bの作業については、あなたの作業後、誰かがその成果物を使って次工程に進める必要があります。
仕事ができない人というのは、後の流れまで意識して作業の優先度を設計することが出来ません。
この場合、何も考えずにAから作業してしまいがちです。Aを終えてからBに着手して定時までに完了させる、ということを平気でします。
すると、次の工程でBの成果物を待っている人は、定時後にやっとその材料を入手することになるんです。
もし、Bの作業を先に終えておけば、その段階で次工程の人は早目に作業をスタートさせることが出来、当然、作業完了のタイミングも早くなります。
あなたはB>Aという順番で作業をしても、定時ちょうどで作業を終えることに変わりはありません。
この「優先順位付け」の意識を持つ事はとても重要です。
優先順位に無頓着な組織は、この無駄が積もり積もって、「無駄の発生や予防に無関心な文化」を作ってしまいます。
創作作業でも同様な考えを持ちましょう。
「次の工程」は「発信」です。
このタイミングでメイキングの様子を発信して関心を維持させたい、という時に「まだ写真等を出せる段階になっていない」というのでは話になりません。
理想的にはメイキング写真などは、定期的な発信の順番待ちになっているくらい、早目にストックされるようにしたいところです。
そのためには、2週間後に2つの写真が一度に用意できる作業の順番を設計するのではなく、2週連続で写真が1点ずつ用意できるような作業の順番に設計することが重要です。
小さなゴールを積み重ねる設計に
創作活動と、工業製品などの製造で大きく異なる点は、「目的」です。
創作作業は完成品そのものだけに価値があるのではなくて、「その作業過程を楽しむこと」も重要な目的なんです。
ですからなおさら、作業には「設計」が必要です。
スタートと終了だけを設定するのではなく、途中途中で効果的な記録も残せるように、ベイビーステップを設けて、それに向けて作業を分割して設計します。
それによって定期的に一定の達成感が味わえるので、モチベーションが保たれます。
モチベーションさえ保てれば、創作活動はゴールに向けて進め続けることができるんです。
創作者はどうしても成果を高望みしてしまいがちです。
「どうせなら、もう少し作業を進めてから、まとめて情報を発信しよう」
とか
「せっかくだから、もっと完成度を高めたものを見せて驚かせたい」
と考えてしまいがちですが、はっきり言って、他人はそんなことを求めてはいません。
10日に1回、キレイにまとめた情報を見せられるよリ、毎日、地味な写真を見続ける方が、「暇つぶし」として役に立つんです。
不本意かもしれませんが、あなたの創作活動は他人からしたら「暇つぶしの一つ」に過ぎません。
でも、これこそが創作者と他者との正しい関係です。
プロのエンタメ作品でも全く同じです。大金を掛けて作ったコンテンツも、観客の暇つぶしとして認められることで対価を得ているわけですから。
あなたがSNSで発信することで、わずか数秒でも暇つぶしに貢献できるようになれば、これは大したものです。
それを目指してください。
何よりも、こまめな発信は、あなたの企画を忘れさせない効果があります。
じっくり時間を掛けて発信してしまうと、仮に内容は良くなっていたとしても、既に応援者に忘れ去られている可能性大です。
これでは、自主映画が忘れたころに完成して、「ああ、そんなのにも関わったかも」というくらい興味が失せてしまってから
- 時間があったら観て感想を聞かせて
- できればSNS等で宣伝して
と頼んでも、うまくいかない状況と同じです。
少し撮影素材が貯まってきた時点で、予告編を作ることも小さなゴールとしてふさわしいのですが、もっと手軽にたった1枚の写真と短いキャプションで進捗状況を伝え、「なにか面白そうなことやってるらしい」と思わせる発信を続けることが大切です。
参考になれば幸いです。
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