物語づくりにAIを使ってみよう!・創造力の新たなパートナーとしての可能性とメリット

創作に100%オリジナルを求めるのはナンセンス

創作の魅力はもちろん、自分だけの作品を生み出すことです。

この満足感には代えがたいものがあります。

 

ただ、勘違いすると悲劇なのは、「完全なオリジナル」を求めてしまうことです。
結論を先に行ってしまえば、完全なオリジナルなどというものは存在しないんです。

 

有名な書籍に『アイデアのつくり方』(ジェームズ・W・ヤング)(1940)があります。
その中で著者は 「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何物でもない」と言っています。
まさにそれが真理だと思います。

 

昔の画家は、絵の具を自分で作るところから始めました。
鉱物などの顔料を採取してきてすりつぶし、オリジナルの絵の具を作ってから自分の作品に使ったんです。
ある時期から、「絵の具」という商品が登場しました。

その当時も、

・市販の絵の具などを使ったら画家の個性が無くなる
・芸術の堕落だ

という批判があったそうです。

 

しかし、考えればわかることですが、市販の絵の具を使えば、画家が顔料になる鉱物を求めて旅をしたり、旅から帰って絵の具作りをすることから解放されるわけです。
本来の創作である「絵を描く」という作業に没頭できることで、個性が無くなったり芸術が堕落する筈がありません。

 

小説の世界でも、「全くのゼロから物語を生み出さなければ創作の意味が無い」などと言ったら、外国小説や日本の古典文学を題材に多くの短編小説を書いた、芥川龍之介にも作家としての価値が無いことになってしまいます。

ちなみに芥川の代表作「蜘蛛の糸」の元ネタ「The Spider Web」との関連を分析した面白い記事を見つけたので、メモしておきます。
https://originalnews.nico/285232

 

AIが創作活動にもたらすのは堕落でなく改革

昨今は、ChatGPTなど、AI技術を応用したツールの進歩が凄まじく、絵画、音楽、物語など、創作の分野でも興味深い発展を続けています。
さまざまな権利関係の問題はいずれ整備されるとして、生成された「作品」を見て、あなたはどういう感想を持たれたでしょうか?

 

私は、技術的な過渡期である現在のAI生成物を見て、単純に面白がっています。
「この技術が進むと何もかもAIでの生成物になって、無味乾燥な世界になる」というような危惧は全く抱いていません。
むしろ最近、新しい技術の活用に反対をする人に共通点を見つけて、それを繰り返し再確認するような感覚になっています。

機械化に反対する人の本音はこれ

一旦、創作の話からはそれますが、「新しい技術の活用に反対をする人」の共通点について聞いてください。

 

私は25年間ほどサラリーマンをしていましたから、自身も長年サラリーマン的思考で働いていましたし、周りの人が同じように働いていたのを見てきました。
そして事あるごとに「新しい技術」が導入されるんですが、当事者たちにとってはほぼ歓迎されないんです。
「ああ、これで仕事が少し楽になる!」という感想は聞いたことがありません。
実際に新しい技術を使えば楽になるとしてもです。

 

間違いなく言えることは、大多数の人は「現状維持派」であり、「新しい行動」を嫌うんです。
それは何故かというと、「今まで通りの作業」であれば、あまり頭を使わなくて済むからです。
人は驚くほど頭を使うことを嫌います。
同僚の中には「俺は頭を使うの好きじゃないから」と堂々と言う人もいました。

 

機械化というのは大抵、頭を使わなくても出来ることを自動で処理できるようにします。
例えば、昔は手書きで帳簿を付けて、金額の合計を算盤や電卓で計算して書き込んでいた作業を、パソコンソフトを使うことで、個々の金額を入力すれば、自動的に正確な合計金額が表示されるという具合です。

 

これは明らかに楽に、便利になってますよね?
でも、「頭を使わずに計算だけしていれば給料がもらえる」という事に居心地の良さを感じていた人にとっては大問題です。
その仕事が無くなるわけですから。
機械化されてしばらくの間は、「念のためだから」と言って、表計算ソフトが出した計算を電卓で確かめている人たちが存在していました。

 

本来であれば、機械にもできる計算は機械にやらせて、空いた時間を「人間ならではの頭を使った作業」に特化させるのが正しい仕事のやり方です。
でも、長年、自分の頭を使わない仕事をしてきた人にとっては、それは大変な苦痛のようです。

 

私などは元々めんどくさがりなので、「こんな作業は人がやらなくてもいいんじゃないの?」という意識が強く、「人間がやるべきことだけやろうよ」というタチなので、比較的、頭を使った仕事の方をやりたいと思っています。

 

「映画作り」の趣味などというのは、次々現れる問題に対して自分の知恵と工夫だけで対処し続けるものなので、「頭を使うのは嫌い」という人には向かない活動だとは思います。

AIを物語創作に活用する方法

AIは今後の社会においては必要不可欠な技術です。
特にさまざまな分野で人手不足になるのは確実で、AIやロボットに任せられるところは任せよう、という流れは加速すると思いますし、そこには希望を感じます。
「AIに仕事を取られる」というのは、前述の通り、「頭を使わない楽な仕事は無くなるよ」というだけのことです。

 

一方で、創作の分野でAIを活用することに対しては賛否両論あります。
ただ、否定派の人たちはいくつか勘違いをしている気もします。

勘違い1:作品に個性が無くなる

これは、前述の「市販の絵の具を使ったら個性が無くなる」という危惧に似ています。
私の感覚では、むしろ逆です。
AIが生成した不条理な絵画などを見ると、それが刺激となって自分の中に新しい発想が湧いてきますよね?

 

音楽の分野などでは確かに「よくあるパターン」の曲が量産される気もしますが、そもそも人が作っている曲も、流行に合わせて量産されているものは、みんな似てませんか?

 

私はAIでの生成物は「叩き案」として活用することがもっとも効果的な使い方なんじゃないかと思っています。

勘違い2:AIで完結させられる

勘違い1とも関連しますが、少なくとも今は、AIで全てが完成するわけではないんです。

例えば、小説。
一見すると、AIが自分で全て作品を書き上げたようにみえても、実はその形を出力するために、人が頭を使ってうまく誘導してるんです。

 

感覚としては、愚直な作家に対して、編集者が

「先生、この要素をもっと膨らましたらいいんじゃないですか?」
「参考資料を集めてきました」

という具合に、サポートして原稿を書かせている感覚です。

 

現実問題として、私たちが創作活動として「楽しみたい要素」というのは主に、「プラスアルファ」の部分ではないでしょうか?

 

小説であれば「文体」や「描写」、「セリフ回し」。
映像であれば「演出」。

 

そのプラスアルファこそ、作家の個性が出る部分です。
ここはAIに任せる必要は無いんです。

 

一方で、「あらすじ」のように骨組みになる部分は、ある程度、機械的・論理的に作りたいところです。
ここをAIに手伝ってもらって、創作エネルギーの大半を「プラスアルファ部分」に注ぐ、という選択もありでしょう。

 

さて、では今話題の「ChatGPT」などを使って物語を作ることは出来るのか、というと出来ます。
ただ「ChatGPT」などの対話型AIについて共通して言えるのは、当たり前ですが「的確な指示を与えないと望む結果は出してこない」ということです。

 

これは、機械翻訳などと一緒です。
「機械翻訳は全然使えない」という人が入力した日本語の文章を見ると、そもそもその文章がおかしいんです。
自分の国語力の無さを棚に上げて、翻訳システムの批判をしても仕方ありません。

 

AIを使ってあらすじを作るにも「コツ」があります。
具体的には「プロンプト」と呼ばれる入力内容・指示内容が重要です。

 

実を言うと、私は「自分が確立した、超短期間で映画を作る手法を活用して、オリジナル作品を量産したい」と言い続けている割に、作業は遅々として進んでいません。
その一番大きな理由は、「あらすじを量産できていない」という事なんです。

 

時々「今日はあらすじを3本作るぞ」と張り切って作業しますが、なかなか出来ません。
原因は「機械的な作業に徹しきれない」ことにあると感じています。

 

「あらすじ」はあくまで「あらすじ」です。
その後、シナリオ化、映像化していく中で、自分の嗜好が加味されてどうせ大きく変化していきますから、叩き案としての「あらすじ」は機械的に作って良いんです。

 

と、頭では分かっているんですが、そう割り切れずに完成させられないのが、プロの作家との大きな差だと痛感しています。

 

そこで、面白いツールを購入してみました。
このツールを使うと、ボタン一つで物語の元になるプロンプトが生成されるんです。
そのプロンプトに自分なりの変更点を加える内容を指示して、普段使っているChatGPTなどに、改めてあらすじを書き直させる、というような使い方ができます。

 

「叩き案として、思い入れは無くても良いから辻褄のあったあらすじを量産したい」という私の希望にぴったりのツールです。
しばらくはこれを使ってあらすじの数を増やし、その中から創作意欲が湧いた作品に関して、「シナリオ化」「絵コンテ化」というところまでストックしていこうと思います。

参考になれば幸いです。

今回ご紹介したツールはこちら。是非、概要をご覧ください。
『URBAN LEGEND & MAGIC』

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