ストーリーが先か?作りたい特撮場面が先か?・さまざまな映画製作の楽しみ方

「真似たい」という強力な動機

創作作家には2種類あります。

  • 「完全に自分オリジナルの作品を世に生み出したい」という芸術家タイプ
  • 「ああいう作品を自分でも作ってみたい」という模倣タイプ

この世に完全なオリジナルなどなく、「新しいアイデア」も組み合わせが新しいに過ぎないことは良く知られたことです。
分かりやすい例で言うと、二次創作などは模倣タイプです。
既存の作品のキャラクターと自分で考えたストーリーを組み合わせて作品を作る、厳密に言うと著作権的にはグレーゾーンになりますが、業界全体がクリエイター人材の底上げに有効と判断して大目に見ている分野と言われます。

 

経済的な理由でオリジナルではなく二次創作作家として活動している人もいますが、最も強い動機は「好きな作品を真似たい」といういう事ではないでしょうか?
小説やマンガなど、自分の好きな作品に出合うと、自身が作家であれば「こういう雰囲気を真似てみたい」と無意識レベルで感じる事が良くあると思います。
ストーリーや設定などを真似ると盗作問題に繋がりますから気を付けなければいけませんが、雰囲気作りを真似て盗作の指摘を受けることは無いでしょう。

 

ちなみに、ストーリーについても、観客が「面白い」と感じる作品のあらすじは似通っている傾向があります。
特にオーソドックスなストーリーにそれ程のパターンは無いので、あらすじレベルでは盗作でなくても別の作品と全く同じということは良くありますから、過度にオリジナルにこだわり過ぎないことが大切です。
むしろ「真似たい」という意識を創作のエネルギー源として利用することをおススメします。

場面を再現するための特撮

例えば私は最近、古い日本家屋や洋館のシーンが出てくる映画などに強い魅力を感じています。
横溝正史作品を映像化した作品など、古い家屋特有の怪しい闇深さがにじみ出していて、大げさに言えば「異空間」としての魅力があります。
「自分もこんな空間を舞台にした作品が作りたいなあ」
と思うわけです。

ところが、実際にそんな作品を低予算で作れるかというと、正攻法ではほとんど不可能です。
全国各地には家屋自体も残っていますが、そこを借りて撮影することなどまず出来ません。
「ちょっとこんな雰囲気を出してみたい」という動機に対して、不釣り合いに大きなコストが掛かるためです。

 

昔であれば、この時点で諦めなければいけませんでしたが、映像をデジタルデータとしてパソコンで編集する現在では、「特撮を使って再現する」という選択肢が残っています。
例えば、精巧に作った室内模型を背景として撮影して、そこにグリーンバック撮影した人物を合成してしまうことで、古い家屋の室内シーンを成り立たせるということです。

 

再現したい事は、
「怪しげな古い家屋の部屋で人物がやり取りしている映像」
であって、実際にカメラの前で「その状況を作ること」ではないんです。
ここを割り切れるかどうかで、

  • 一向に作品が作れず他人の批判ばかりの作家志望
  • ある程度のレベルの作品を作って創作を楽しめる作家

に分かれます。

「自分は別に特撮映画が好きなわけではないから」という人こそ、普通の場面の再現のために特撮を応用できることを知ると、創作の可能性の広がりを感じられると思います。
アイデアとスキル次第で、かなり自由にイメージ優先の場面が作れますから。

特撮を活かすために場面を考える

本来、特撮というのは「その場面に必要だが普通には撮影出来ない」という映像に対して使われる技術です。
場合によっては「あーあ。ミニチュアだ」という感じで、場面の流れを損ねてしまう事もあるので、活用自体を躊躇することもあります。
言わば必要悪という側面もあるんです。

ところが、特撮の楽しさに気付いてしまうと、「この特撮、自分でもやってみたい」という動機から創作が始まることがあります。
シンプルに一瞬の映像だけ真似て作ってみることから始まると思います。
私も高校生の時、ハリーハウゼンという人のストップモーション映像が大好きで、コマ撮り用の恐竜模型を作って、8ミリフィルムのカメラで撮影して「動いた動いた」と喜んでいました。
今であれば、同じことをスマホのカメラで出来るので、より手軽に特撮体験ができます。

 

すると、この特撮映像をより楽しむために、前後にストーリーを付けて「作品」にしたくなってきます。
単体の特撮映像としてだけでなく、その映像が必然的な「場面」として登場するような設定を考えたくなるんです。

私は実は完全にこのタイプの作家で、「取り入れたい特撮場面」が先にあって、「なんとかそれらを有機的に結び付けられるようなストーリーを作れないか?」という順番で作品を考えます。
訴えたいテーマが先にある作家から見ると邪道もはなはだしいところでしょうが、結果的に「これをやりたかった」というやる気が詰まった作品には、人を引き付ける力が発生するような気がします。

 

エンタメの映像作品は楽しんでナンボです。「映画とはこうあるべき」などという小難しい理屈は似合いません。大作映画を見て「この場面を自分ならどうやって再現できるかな?」と特撮手法を考えて、その映像を盛り込んだストーリー込みで、実際に作ってみる楽しさも味わってみてはいかがでしょうか?

参考になれば幸いです。

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