実は本編以上に魅力的?・「裏話発信」を重視せよ

創作の需要と供給の関係

趣味にせよ仕事にせよ、創作に携わる人は需要と供給の関係を勘違いしがちなものです。
どういう事かというと、作品を見る人、つまり観客は「完成品を一番喜ぶはずだ」と思い込んでいることです。
これは、古い職人気質と言えるかもしれません。

  • お客さんにはきれいに仕上げた完成品だけを見せたい
  • 製作途中の状態を見て欲しくない

これを「古い」と言う根拠は「きれいに仕上げた完成品のありがたみ」が昔と今では全く違うからです。
ハッキリ言って、現代は「きれいに仕上げたもの」はありきたりで、何の売りにもなりません。

映画制作と観客の期待

色々な分野で共通の事例は思いつきますが、ここでは映画について考えてみましょう。
私たち創作者は、できるだけ面白い内容で、見映えもする作品を完成させようと躍起になっています。
アマチュアの作家にとってこの基本的なことはなかなかハードルが高くて、実際に作ってみて初めて「やっぱりプロはレベルが高いんだな」ということを実感します。

仮にプロの作るドラマ並みの作品が完成したとしましょう。
あなたはもちろん満足でしょうし、同好の人たちであればそれを称賛してくれると思います。
でも、観客は日頃からプロの作品を飽きるほど見てるんです。
しかもそのプロの仕事に対して

  • 脚本が甘い
  • 演出が甘い
  • キャスティングが合ってない

と日常的に批評してたりするんです。
完成品の出来栄えがプロ並みだったとしても、観客としての満足度は決して高くはなりません。
もちろん、自主映画・DIY映画ならではのプラスαの楽しさを探しながら鑑賞してくれる、優しい観客であれば褒めてくれるでしょうし、楽しんでもらえるかもしれませんが、ほとんどの場合、作り手が拍子抜けするほど評価は低いものです。
これは、作品をDVDなどにして販売してみると分かります。
採算度外視した安値にしても驚くほど売れません。
簡単に言うと需要は無いんです。

映画制作の面白さとその伝え方

私は映画創作の面白さを知っています。これは絶大です。
ですから、観客にも「作品内容の面白さ」だけでなく「映画制作過程の面白さ」を伝えてあげれば、モノ作りに興味がある人にとって作品の魅力は倍増するんです。

よくドラマや映画のNGシーンが公開されたりします。
作品の虚構世界に浸りたい人にとっては、制作の裏側は見たくないかもしれませんが、残念ながらそんな純粋な観客はごくごく少数です。
私も含め、多くの観客は「映画の場面はこうやって少しずつ撮られて、編集することでドラマになっていくのか」という様子が興味ぶかく思えるんです。

制作の裏側とその魅力

制作の裏側は撮影現場だけではありません。
そもそも撮影の工程は、制作全体から見ると終盤です。
制作の70%は準備の地味な工程ですが、実はここが「情報の宝庫」と気付いていますか?
単なる「製作日誌」だけでも面白い記録になります。
私のように、大量の小道具やミニチュアセットを作って映画に使う場合などは、「工作の裏側」というコンテンツが作れます。
これらは時として本編以上に魅力的なコンテンツになり、観客としてはメイキングを見ると本編を見直したくなるほどの面白さを感じられるんです。

問題は、創作の裏話をその都度記録しておかなければならない点です。
これは、「記録を残そう」と意識しない限り、ほとんど残りません。
私はYouTubeでDIYの作業工程を見るのも好きなので、同様の動画を用意するために出来るだけ作業の撮影をしています。
これはこれでなかなか難しく、うっかりすると全く撮影を忘れて作業をしてしまったりすることもありますが、是非、あなたにも挑戦して欲しいと思います。

制作の裏話の活用方法とその利点

制作の裏話の活用方法ですが、最も有効なのは「DVDの特典映像」にすることではなく、 情報を細分化して出来るだけ頻繁に発信することです。
情報発信にはいくつかの利点があります。

【利点1:メイキング資料になる】

これは作業そのものが持つ魅力をコンテンツにすることなので、活用することで観客の満足感を大きくすることが期待できます。
SNSなどで途中経過を見せることで、観客の興味を引くだけでなく、関係者のモチベーション維持にも大いに役立ちます。

【利点2:創作活動を停滞させない】

仕事でない創作活動はムラが生じやすいものです。
厳密な納期が設定されていなかったりするので、製作者本人にやる気があるときは作業が進みますが、日々の生活の中で何となくモチベーションが下がったりすると、進行が完全にストップしてしまいます。

実は私もいつも失敗していて、10年以上も前に撮影をほぼ済ませた30分程度の作品がまだ完成してません。(チームウェンズデイ探検シリーズ3・ツングースの楽園)
先日、久々に編集を再開したのですが、前回の編集作業から9カ月も経過していてビックリしました。
しかも、その間に編集ソフトがバージョンアップされていて、編集データを一部作り直さなければならないなど、無駄な作業も発生してしまいました。
この作品もメイキング情報を発信しているときはそれなりに作業は進んでいましたが、それをさぼり始めた途端、作業がストップしていました。

日々の作業状況をSNS等で発信することで、自分自身のモチベーションが上がってくるという効用があります。
発信は大抵「結果」になりますが、自然と「今後の予定」も入れたくなります。
自分で宣言した事は、脳がそれを達成しようとするらしいので、「着実に実行している自分」を感じることで自己肯定感も高まり、承認欲求を満たせることもあって、良いことだらけなんです。

視覚情報を作る創作は、メイキングコンテンツが作りやすい分野なので、是非、あなたも「創作」と「日々の情報発信」を組み合わせながら活動してみてはいかがでしょうか?
SNS等で発信されている場合は、是非お教えください。フォローさせていただきます。

参考になれば幸いです。

(ブログ記事一覧)

DIY映画倶楽部のご案内

 

創作活動としての映画製作は最高に楽しいものです。

昔はネックだった撮影・編集環境も、現代では簡単に手に入ります。スマホをお持ちの時点で最低限の環境はすでに揃っているとも言えます。

  • 趣味がない人。新しい趣味で楽しみたい人
  • 自分の創作がしたい人
  • 映像作品に出演して目立ちたい人、目立つ必要がある人

にとっては最適の趣味であることに間違いありません。

 

ただ、実際の映画製作には多くの工程があり、全てのノウハウを一人で身に付けて実践しようとすると大きな労力と長い時間が必要になります。

 

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Could “Behind the Scenes” Be Even More Fascinating than the Final Product?

The Relationship Between Creation and Audience Demand

For creators, whether as a hobby or profession, there’s often a misunderstanding about demand and supply. Many assume that audiences value the finished product above all. This belief stems from a traditional craftsman’s mindset:

  • “The audience should only see the polished final product.”
  • “Never show them the work-in-progress.”

However, in today’s world, polished products no longer hold the same level of appreciation. High-quality finishes are so ubiquitous that they no longer stand out.

Filmmaking and Audience Expectations

Let’s focus on filmmaking as an example. Hobbyist filmmakers pour their energy into creating engaging, visually appealing films. But achieving professional-grade quality is a daunting challenge for amateurs, and they often realize just how skilled the pros are during the process.

Now imagine achieving professional-level production quality. While creators and like-minded peers may celebrate the work, most audiences are accustomed to watching professional films daily. They habitually critique the pros’ work, saying:

  • “The script is weak.”
  • “The direction feels off.”
  • “The casting doesn’t fit.”

Even a DIY film on par with professional standards won’t satisfy these seasoned viewers. The niche appeal of DIY films may earn some admiration, but evaluations are generally underwhelming. This becomes evident when selling DIY films on DVD, where even low prices fail to generate significant demand. Simply put, audiences aren’t clamoring for amateur productions.

The Joy of Filmmaking and How to Share It

Creating films is immensely fulfilling. Sharing not just the final film but also the filmmaking journey can double the appeal, especially for audiences interested in the creative process.

Behind-the-scenes content often fascinates viewers more than the finished product. For example, seeing how scenes are shot and edited into a cohesive story can be incredibly engaging.

The Hidden Charm of Behind-the-Scenes Content

Behind-the-scenes content extends beyond filming. Preparation, which constitutes 70% of production, is a treasure trove of interesting stories. Even a simple “production diary” can make for an engaging record. For example, showcasing “the craft behind prop-making” often becomes more captivating than the film itself.

Recording these behind-the-scenes moments is crucial, but creators must consciously capture them. I enjoy DIY tutorials on YouTube and aim to replicate them by documenting my own processes. While it’s challenging to remember to film every step, I encourage you to try—it’s worth the effort.

How to Use and Benefit from Behind-the-Scenes Stories

The best way to use behind-the-scenes content is not to save it for “DVD extras” but to share it frequently and in smaller segments. This approach offers several benefits:

  1. Enhanced Audience Engagement Sharing behind-the-scenes moments sparks curiosity about the final product. It also boosts motivation among team members when progress is shared on social media.
  2. Consistency in Creative Workflow Unlike professional projects, personal creations often lack strict deadlines, leading to sporadic progress. Sharing updates online creates a self-imposed accountability system, encouraging steady progress.

Pairing creative work with consistent behind-the-scenes updates not only adds value to your projects but also keeps your workflow steady. If you’re already sharing your journey, let me know—I’d love to follow along!

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