映画入門はどの工程から始める?・邪道映画術的な楽しみ方の可能性

書道体験のために墨から作る必要はあるのか?

例えばあなたが額縁に入ったユニークな「書」を見て、「自分も書いてみたい」「書道を体験してみたい」と思ったとします。

その手本になった書は、作家が自分で山に入って木を伐り、炭焼き小屋で炭を作り、その炭の煤(すす)から作った墨を使って書かれた作品だとしましょう。

 

「書道を体験するには、まず山に行って良い炭になる木を選ぶところから始めましょう」と言ったらどうでしょう?

「手本の作家と同じ工程を全て体験したい」という人はまずいないと思います。

書道を体験したいあなたは、完成品を見て、その「最後の工程」を体験してみたいと思ったからです。

 

本来であれば炭を作るところから行う作業をショートカットするために、市販の墨汁を使うことは自然な選択です。

「それでは個性が出ない」とか「邪道だ」という意見は、もしかしたら正論かもしれませんが、書道を体験したいだけで、立派な書家になることが目的ではないあなたには全く説得力を持ちませんよね?

手本のようなユニークな「書」を書いてみたいだけなんですから。

 

仮に邪道だとしても、墨汁を使って自分なりに工夫した書を形にして、見よう見真似で作った印章を朱肉に付けて紙の隅に押印して、それらしくなった作品を鑑賞し合うのもとても楽しそうだと思いませんか?

映画創作入門版の新しい一形態の提案

映画製作の趣味も、本来の工程を考えたら、

  • あらすじを作り
  • シナリオに変換し
  • 絵コンテに変換し
  • 小道具等の準備をし
  • 撮影し
  • 編集する

という、ゼロから作り上げる工程が必要です。

(実際にはもっと細かい作業がたくさんあります)

私たちも、「映画を作ってみたい」という人に、この手順に沿ったアドバイスをしがちです。

でもこれは、「書を書いてみたい」という人に「炭焼き」から教えようとしていることと同じかもしれません。

 

もちろん、私などは「あらすじ作り」から始まる全ての工程の楽しさを知っているので、それぞれの作業が「やりたい事」ですし、是非その楽しさも味わって欲しいと思ってしまうのですが、多くの人にとっては恐らく撮影以前の下ごしらえは地味で魅力を感じていない筈なんです。

とにかく、撮影現場の映画監督、カメラマン、役者の立場で「映画作り」を体験したいと思っているのではないでしょうか。

 

そうであれば、映画作品をゼロから作るのではなく、あらかじめシナリオなどを用意しておいて、撮影からスタートすることが有効です。

学生演劇などは、定番のシナリオを使って上演したりしますから、映画も同じ方式も有りだという考え方です。

映画の場合、映像設計も必要なわけですが、特に個性を求めないことを前提に、絵コンテまで用意しても良いかもしれません。

映像設計は無数のパターンが考えられますが、「オーソドックスな撮り方」というのはある程度パターン化出来るので、過不足ない絵コンテを用意するところまでは可能です。

撮影の順序などもあらかじめ指示書を準備しておけば、それを事前に共有しておくことで、映画を作ってみたい人が「いきなり撮影から体験する」ということも可能なわけです。

撮影さえ出来れば、編集は他の人に依頼したり、外注したりすることが可能です。

完成した作品は、オリジナリティという意味ではやや低いかもしれませんが、まぎれもなく、「自分たちで撮影し、出演している唯一無二の作品」になります。

撮影体験に加え、完成品を仲間同士で鑑賞できるという映画ならではの楽しみ方は、ちょっと他にはない魅力があるのではないでしょうか。

この「絵コンテセット」は私が商品化したいものの1つでもあります。

穴埋め式映画の可能性

これをさらに推し進めると、一部のシーンや一部の出演者のみ「空欄」になっていて、その「穴埋め」としての撮影をすれば、映画作品が完成するという、ユニークな創作形態も考えられます。

このやり方のメリットは、手間のかかる大道具・小道具制作を省略したにもかかわらず、かなり込み入った本格的な作品も作れる、という点です。

正確に言えば、7~9割完成している作品においしいところだけ追加して仕上げる事で、まるであなたのために作られた作品のような完成品が手に入るわけです。

 

そんなことを可能にするのが「升田式スーパープリヴィズ法」なんです。

「升田式スーパープリヴィズ法」では、出演者はひとりずつ別々にグリーンバック撮影します。

その映像素材を背景映像に1つずつ合成してシーンを作ります。

つまり、「升田式スーパープリヴィズ法」で製作された完成作品を見て、「この役をやりたい」と決めれば、その役の登場シーンだけ撮影して、元の出演者と入れ替えることが出来るんです。

 

この方式を実用化した商品として「主演キットvol.1」は既に販売しています。

これは正味12分のシンプルなB級モンスタームービーで、登場人物が2名のみ。撮影して入れ替えられるのは主役の保安官だけです。

https://wp.me/P4vWPD-Ps

 

今後は登場人物も多く、時間も長い作品をキット化して、より手軽な出演も可能な作品を増やす方向で、製作を進めています。

これらのキットは素材の販売だけでなく、撮影会・ワークショップなどで、撮影・編集込みのサービスとして展開する構想で準備を進めています。

 

「シャレとして自分が出演している映画のDVDが欲しい」という方から、「出演映画を劇団やプロダクションの所属タレントの宣伝材料にしたい」という方までオススメのサービスになると思います。

ご興味がある方は続報をお待ちください。

お問い合わせも歓迎します。

 

参考になれば幸いです。

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