合同創作成功のポイント・関係者全員の利益に考慮する
製作者の満足のために犠牲者を出してはいけない
創作活動というのは多くの場合、一人で行うものです。
絵画も小説も基本的には作業が一人で完結します。
でも、映像制作という創作は、初めから最後まで一人で完結させられる場合もあれば、複数の人に手伝ってもらいながら作るというやり方もできます。
規模が少し大きくなってくると、主に撮影時に人の手が必要になるので、仲間を募ってチームで活動をすると言うことが一般的になってきます。
その時に「一人で完結させる」という癖が抜けていないと、ちょっとまずいことになります。
基本的に映画は製作者(プロデューサー)の意図に沿って作品を作るわけで、一番負担が大きい製作者が、一番大きい満足を得られることになります。
この満足感を体験してしまうと、私のようにこの活動がやめられなくなってしまうわけです。
合同で創作活動をする場合、手伝ってくれる人達は、製作者ほどの満足感は決して得られないんですね。
企画初期の段階から関わっていない場合は特に、作品に対する愛着がそれほどないからです。
私が反省を込めて思うことは、賛同者に製作者と同じような犠牲を強いることはしてはいけないということです。
例えば撮影現場。
製作者は随分前から準備をして計画を立てて、場合によっては前の日に徹夜をして準備をして、当日を迎えます。
現場はプロのスタッフや出演者で構成されていませんから、どうしても撮影に時間がかかりがちになるので、焦っています。
ところが、手伝いに来た協力者というのは「何か楽しそうだ」ということで手伝ってくれているわけですから、どうしても遊び半分でやってしまう。
当然です。
休みの日に報酬をもらって仕事をするわけでもなく、手伝っているわけですから、遊んでしまったり、冗談を言って楽しくやろうとします。
焦っている製作者からすると、「時間がないんだからふざけないで!」というふうになりがちなんです。
私もそういう態度で撮影をいつもしていたと思うので、反省しなければいけません。
モチベーションである「やりがい」を意識する
大事なことは、各自がモチベーションを維持できるように仕向けることです。
つまり、「やりがい」が感じられる現場にしなければいけません。
撮影現場だけではなく、この制作期間全体にわたって「楽しい」と感じてもらうようにしたいところです。
自分が参加する側だとしたら、映画製作は「カラオケに行こう」とか、「一緒にゲームをしよう」というような遊びとは種類が違うので、自分でこの企画に「面白味」や「やりがい」を見つける姿勢も必要です。
それは、現場で初めて会った人たちと仲良くなったり、撮影自体をゲーム感覚で進めようとか、色々な内容が考えられます。
製作者は、参加者にそういう意識を持ってもらいたいとあらかじめ伝えることも大事だと思います。
また、余裕はないのですが、参加してくれた人にできるだけ「やりがい」を感じてもらえるようにお膳立てをしたいところです。
単に「映画という成果物を作る」ということを目的にするのではなく、「映画製作を続けられる環境づくり」を目的にする、と意識することが大切です。
長年この活動をしてみて分かることは、協力してくれる人たちが常にいるというのは大きな財産なんです。
次の機会にも力を貸してくれるような関係性を保つ必要があります。
「体験」に最大の価値を感じてもらう工夫
映画創作に関わった人がどのような価値を感じてくれるかを考えると、一つは非日常の体験そのものではないでしょうか?
映像制作の仕事をしているわけではない限り、
- 予定した素材を撮影する
- お芝居をする
- 違う世界を表現する
ということは普段の生活にはないわけで、これは非日常の面白さがあるはずです。
その体験を「楽しい」と思ってもらえるかどうかが重要です。
また、物語をゼロから考え、頭の中にしかなかったものを形にしていく過程で、得られる達成感には凄まじいものがあります。
製作者ほどではないにしろ、これも多少は体験してもらえます。
さらに、最終的に映画が完成すると何年たっても楽しむことができます。
同じ作品も、時間が経つほどに鑑賞時に価値を感じるようになります。
作品が一種のタイムカプセルになっているからです。
企画書を作るススメ
合同創作成功のポイントは、「やりがいと、体験の価値を感じてもらう工夫をしましょう」ということなんですが、初めの企画段階からそれを盛り込んで考えておく必要があると思います。
自分がお金を出して作る作品でも、企画書を作って、そこに
- この企画にこういう関わり方をしてくれたら、こういう楽しみ方ができる
- こういう体験ができて楽しいです
と言うことを明示しておく。
つまり、企画段階で「関係者が得られるメリット」をはっきりさせておくことが大事じゃないかなと思います。
あくまでも、「関係者が得られるメリット」は想像です。
当人がそれをメリットと感じるかどうかは分かりません。
でも内容はこじつけや楽しい大風呂敷でいいと思います。
それがあれば、参加者自身がやりがいを見つけるという作業もやりやすくなるのではないでしょうか。
たとえば、複数の人たちで撮影をすると、荷物を運ぶのには人数が必要なんだけれども、本番中は別にやることが無い人が生まれます。
その場合は、あらかじめ、スマホで現場の記録撮影をする係に任命しておくことが有効です。
この制作途中の「メイキング資料作り」は非常に有効で、やった方がいいんですけれども、製作者は現場で余裕がないんです。
記念写真を1枚撮っておけばよかったということを、後から後悔しがちです。
でも、企画段階でそれを相談して依頼ができていれば、スタッフを撮影係にできます。
単なる現場の手伝いでなく、メイキング資料の製作者、という新しい体験を伴う満足感が得られるかもしれないんです。
そして、企画書があると、作品が完成した後に、その企画の成功度合いを確認したり、次からの改善点というのを考えることも出来ます。
せっかく創作活動を、しかも複数の人たちで行うのであれば、楽しめる要素は全て楽しんでやろうという形に持っていければ、創作活動自体が継続しやすくなるはずです。
新しい仲間も集めやすいということにつながっていくと思います。
参考になれば幸いです。
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