AIの活用とその課題・生成AIをDIY映画に取り入れるアイデア

人工知能に抵抗感を抱く理由を考える

2024年現在、さまざまな分野でAI技術関連の話題が出ない事はありません。

特殊な専門分野はもちろん、私たちの普段の仕事や実生活の中にも、AIが急速に浸透しつつありますよね。

 

子供の頃から新しいゲーム機などをすぐに使いこなしてきた若い世代の人たちと違って、アナログ世代の人たちは大いに戸惑っているのではないかと思います。

私も、社会人になってから本格的にパソコンを使うようになった世代である上、私自身、どちらかというとパソコンなどは苦手なんです。

仕事や創作活動で必要なことをひとつずつ勉強して、何とか使っているのが実情です。

 

そんな私から見て、興味深いと思うのは、一定数の人がAIの活用に対して過剰に大きな抵抗感を持っていることです。

これは何故なのか。

 

例えば、AIによって消滅してしまう仕事をしている人が危機感を持つのは理解できます。

昔で言えば、文字の印刷物を作るときに、活字を1つ1つ枠に並べる「写植」という作業がありました。

毎日印刷される新聞の紙面も、1文字1文字順番通りに金属のハンコを並べて、短時間で所定の基準に沿って文字の印刷型を作る、ものすごい職人技であることは間違いありませんが、プリンターで綺麗に印字できる技術が登場すると、この技術は不要になって消滅しました。

 

同じように、新しい技術の登場によって、今までの平穏な生活を脅かされる、という立場の人がその新しい技術を嫌うことは理解できます。

また、小学校の読書感想文の課題を、AIを使って作成してしまっては、学習という面で意味が無くなってしまうので、分野によってはAIの使用を禁止する必要もあるでしょう。

 

でも、AIがもたらす恩恵は、無視できないくらい大きいと思います。

例えば外国語。

  • 外国語を使えればどれだけ幸せだろう
  • 外国語が使えないと不便だ

ということで、学校教育だけでなく、社会人になってからの外国語教育ビジネスも盛んです。

 

でも、あらゆる言語に対応して同時通訳してくれる翻訳装置はどんどん登場しています。

そうすると、英語が流ちょうに使えるかどうかではなくて、どういう知識や考えを持っているかとか、会話によってアイデアを膨らませることが出来るかどうかが圧倒的に必要になってきます。

外国語を流ちょうに話せるだけでは、単なる通訳にしかなれないことに気付いていくことになります。

 

私などは単純に、「翻訳機は便利だなあ」と感心するだけですが、「これからの若者は外国語習得の勉強をしなくなる」と嘆く人もいます。

端的に言ってそれは、「自分たちは苦労したのに今の人たちは楽をしてずるい」というやっかみに過ぎないのではないでしょうか?

「なーんだ。AIで作ったのか」と思われてしまう映像

AIの分かりやすい応用例として画像生成技術がよく話題になります。

「こういう風景の中を、こういう人物が歩いている映像を作ってください」

という形でAIに指示を出すと、実写そっくりの架空の映像が作られる、というデモ映像を見た方も多いのではないでしょうか?

それを見て「今後は自分で苦労して映像を作る意味がなくなるんじゃないか」というような意見も聞きます。

 

実際、長い時間を掛けて苦労して作った映像とほぼ同じ映像が、AIで生成されるということもあるとは思います。

ただ、私たちはCG(コンピュータ・グラフィック)で作られた、実写そっくりの映像が登場したときの衝撃と、その後の「ああ、いつものフルCGね」という冷めっぷりを見ています。

 

特に創作物に対しては、AIによって作り出されたリアルな映像が主流になることはむしろ難しいと予想しています。

CGと同じで、AIの生成機能に頼った映像はメインで使うのではなく、実写の補佐としての使い方が効果的なのではないでしょうか。

低予算映像作品ならではの生成AI有効活用のアイデア

私たちが作る低予算DIY映画で、見栄えがする映像を見て一瞬「おお!」っと感心しても、それがフリー素材の映像だと知ってがっかりすることがよくあります。

その映像は構成上必要だけれども、わざわざ撮影すると高くつきすぎる、という場合、私もフリー素材を使うことがあります。

最近では、スノーモービルで逃げている主人公たちを探している、ヘリコプターから見た空撮映像などは、外国のフリー素材を使っています。

他の場面は雪原のミニチュアセットなども使っているので、その映像もミニチュアセットで作れない事はないのですが、わずか数秒の映像のためにミニチュアセットを作るのは、あまりにも割に合わないと判断しました。

 

生成AIの映像も、フリー素材感覚で効果的に活用していくのが正解だと思います。

特に私が取り入れたいと思っている手法が2つあるので紹介します。

 

1つ目はディープフェイクの技術によって顔を入れ替える手法です。

肖像権の観点などから問題視されがちなディープフェイク技術ですが、私は是非これをエキストラの人物に使いたいんです。

私は普段、人物の映像を一人ずつグリーンバック撮影して、背景や他の人物と合成して場面を作っているんですが、エキストラが何人も映っている場面などはわざわざ別人を手配するのでなく、できれば自分一人で何役も演じて撮影を済ませたいんです。

実際に、顔が映らない場面は昔からそうしているんですが、顔が見えてしまうとみんな同一人物と分かってしまって、不自然というか気味の悪い映像になってしまいます。

そこで、撮影済みの自分の映像と、フリー素材で手に入る人物の写真や、それこそ生成AIで作った架空の人物写真、つまり肖像権の問題が発生しない別人の顔を組み合わせて、場面が作れれば、効率がぐっとアップして、たくさんのエキストラを使ったような贅沢な映像になると考えます。

 

2つ目は、私が普段使っているアドビ社製の動画編集ソフト、プレミアプロのベータ版で公開されているAI機能を活用することです。

この機能の特徴は、そこで終わっている映像の前後を2秒間ずつ、AIが生成するというものです。

撮影していない直前の動きと直後の動きを、撮影映像から類推して作り出すというのです。

私はこの説明を聞いて、すぐに活用方法を思いつきました。

 

前述のように、私はグリーンバック前で人物の撮影をしています。

グリーンバックシートの幅は3メートルです。

このメリットは、会議室のような狭い場所で、あらゆる場面を撮影できることなんですが、唯一出来ないのが「長い距離を歩く引きの映像」なんです。

3歩くらいなら歩けるんですが、それ以上の距離を歩くとグリーンバックからはみ出てしまう訳です。

 

この3歩しか歩いていない映像をうまく加工して、前後2秒間ずつAIに生成させれば、10歩くらい歩いた映像が作れるのではないかと期待しています。

こういう映像が必要なのは、作品中1カットか2カットだけなので、そのために広い撮影場所と大きなシートを用意するのは割に合いません。

通常の撮影環境で10歩歩いた映像が作れるのであれば、映像のバリエーションを増やせて効果的です。

これについては早速、実験をしたいと思っています。

 

いずれにせよ、生成AIが「なーんだAI映像か」と言われないためには、この機能をそのままメインで使うのではなくて、さりげなく応用して「なるほどAIをそういう風に使ってるのか」と思われるような工夫が肝心だと考えています。

 

参考になれば幸いです。

(ブログ記事一覧)

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🤖 Why Do Some People Resist AI?

As of 2024, it’s nearly impossible to avoid discussions about AI. From niche industries to everyday life, AI is rapidly becoming part of our routines.
Younger generations—those who grew up mastering new game consoles with ease—tend to adapt quickly. But for those of us from the analog era, the shift can be disorienting. I personally didn’t start using computers seriously until adulthood, and even now, I’m not particularly tech-savvy. I’ve learned what I need, step by step, for work and creative projects.
From that perspective, I find it fascinating how strongly some people resist AI. Why is that?
It’s understandable when people feel threatened—especially if their jobs are at risk. Think back to the days of metal typesetting, when skilled workers arranged each character by hand to print newspapers. It was a remarkable craft, but once digital printing arrived, that entire profession vanished.
So yes, when new technology disrupts stable livelihoods, resistance is natural. And in some cases—like students using AI to write book reports—restrictions may be necessary to preserve the value of learning.
But the benefits of AI are too significant to ignore.
Take foreign languages, for example. Many people dream of fluency, and language education is a booming industry. Yet real-time translation tools are advancing rapidly. Soon, fluency may matter less than the ability to share ideas and engage in meaningful dialogue. We’ll realize that speaking a language isn’t the end goal—it’s what you say that counts.
Some lament that younger generations won’t study languages anymore. But isn’t that just envy? “We struggled, so they should too.” That mindset misses the point.

🎥 “Oh, It’s Just AI-Generated”—The Risk of Devaluation

AI-generated visuals are a hot topic. You’ve probably seen demos where you input a prompt like “a person walking through a snowy forest,” and the AI produces a photorealistic video.
Some worry this will make traditional filmmaking obsolete. After all, if AI can replicate the look of a painstakingly crafted scene, what’s the point of doing it manually?
But we’ve seen this before. When full-CG visuals first emerged, they were dazzling. Now, many viewers respond with a shrug: “Ah, just another CG scene.”
I believe AI-generated visuals will follow a similar path. In creative work, realism alone isn’t enough. AI should support live-action—not replace it. Used wisely, it can enhance storytelling without becoming the centerpiece.

💡 Smart Ways to Use Generative AI in Low-Budget Filmmaking

In DIY filmmaking, we often rely on stock footage to fill gaps. It’s not uncommon for viewers to be impressed by a scene—only to feel let down when they realize it’s just free stock.
Sometimes, shooting a scene is simply too expensive. For example, I once used aerial footage of a helicopter searching for fugitives on snowmobiles. It was a perfect fit, but creating that shot from scratch would’ve been wildly impractical.
Generative AI can serve the same purpose: a flexible, cost-effective supplement. Here are two techniques I’m especially excited to explore:

1️⃣ Deepfake for Background Characters

Deepfake technology often raises concerns about privacy and ethics. But I see great potential in using it for extras.
I typically shoot actors individually against a green screen, then composite them into scenes. For crowd shots, I’d love to play multiple roles myself—but when faces are visible, it’s obvious they’re all the same person. It looks unnatural.
What if I could swap my face with AI-generated ones? Using royalty-free photos or AI-created portraits, I could populate a scene with distinct characters—without hiring extra actors. It’s efficient, visually convincing, and avoids legal issues.

2️⃣ AI-Extended Footage in Adobe Premiere Pro

Adobe Premiere Pro’s beta version includes an AI feature that generates two seconds of footage before and after a clip—based on the existing motion.
When I heard about this, I immediately saw its potential.
I often shoot actors in front of a 3-meter-wide green screen. It’s great for tight spaces, but limits wide shots—especially walking scenes. You can only walk about three steps before exiting the backdrop.
With AI-generated extensions, I could turn a 3-step walk into a 10-step sequence. For a film that only needs one or two such shots, this saves time, space, and budget. I plan to experiment with this soon.

🎯 The Key: Subtle Integration

To avoid the dreaded “Oh, it’s just AI,” we shouldn’t rely on these tools as the main attraction. Instead, we should use them subtly—so viewers think, “Wow, clever use of AI.”
That’s the art of integration.

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