才能よりも重要なもの・創作活動における優先順位と持続力
プロとアマチュアの差と才能の本質
何事についてもそうですが、プロとアマチュアで圧倒的に差がある事は何だとおもいますか?
センスや才能ではありません。
こなしている「数」の差なんです。
アマチュアでも潜在的な才能はものすごい人もいるでしょうし、平均以下の才能しか持ち合わせていないプロもいるんです。
ただ、何年もひたすら量稽古を続けられるという事自体、才能です。
「才能はあると思うんだけど、根気が続かない」というのはそもそもあり得なくて、根気が続かないというのは、要は才能が無いんです。
ですから「こんなことがしてみたいなあ」と思って、コツコツとでも続けられるのだとしたら、あなたには十二分に才能があると思って間違いないです。
成長の課題と高望みの非効率さ
世の中に創作活動が好きで、実はコツコツと活動を続けている、という人はいます。
私もその一人で、たまに昔のノートを見直すと、驚くほど今と同じようなことをしていて、「成長してないなあ」と呆れるんですが、そこで痛感するのは
- 成長しやすい活動
- 成長しにくい活動
があるということです。
何を優先して考えるか、ということに関わってきます。
結論を先に言うと、「高望みをすると、実は効率が悪いよ」ということです。
例えばプロの作った映画を見て「ああ、面白いなあ」と思うときは、全ての要素が素晴らしいことが多いんです。
- 脚本が面白い
- 演技が素晴らしい
- 映像が心地良い
当然私たちも、そういう素晴らしくレベルの高い作品を目指したいんです。もちろん目指すべきです。
ただ、実際問題として、私たちアマチュアにはいろいろと問題があるんです。
よく「我々はお金がかけられないからね」という人がいますが、ちょっとそれは傲慢というかうぬぼれが過ぎます。
じゃあ、商業映画並みの予算を与えられたら、それなりの作品が作れるんですか?という話です。
その人の才能というのは、予算の大小には関係なく、作品に現れます。
超低予算でも、面白いものを作れる人は作れるんです。
だから、「レベルの高い作品を作るためにクラウドファンディングで資金を集めよう」などと言う前に、自分の小遣いで作れる作品を作るべきなんです。
私たちが鑑賞者として注目して真っ先に評価するのは、演技や演出です。
確かにもっとも魅力的な部分だと思います。
制作の現場で生まれる面白いエピソードも、演技に関する話が圧倒的に多いです。
先日も、新人時代の船越英一郎さんが、共演者である若山富三郎さんに厳しく演技を教え込まれた、というエピソードが出ていました。
単なる段取り芝居で済ませずに、その演技に魂を込めなければいけない、ということをある日の撮影で何度もやり直しを命じる中で伝えたという話で、とても魅力的です。
でも、注意すべきは、私たちはこれをそのまま真似るべき段階にはないという事です。
「演技に魂を込める」というのは、創作のうち最終段階というか最高峰の課題であって、それ以下の課題をすべてクリアしている人だけが追求を許されることなんです。
アマチュアの課題と優先順位
私たちアマチュア創作者の第一の課題は、「完成させられるかどうか」です。
色々と勉強して応用的な知識をたくさん持ってしまうと、その魅力を体験したくなるのは当然なんですが、寡作、つまり数をこなしていないのに、はじめからレベルの高い長編作品を作って、周囲をあっと驚かせたい、という感覚の人は、「完成させる」というスキルがゼロのままなので、「壮大な未完成品」を抱えているだけになりがちなんです。
知り合いからは「自分の事を言ってるのか?」と指摘されそうですが、実はそうです。
私もいまだに未完成品がなかなか減らせずにいます。
大分、作品を完成させるというスキルは上がって来たとは思いますが、それでもまだ足りないんです。
課題を優先順で並べると、
- 完成させられる
- 観客に内容が伝わる
- 面白いと思わせる
- リアリティーでうならせる
という感じでしょうか。
例えば、「もう完成はさせられるようになった」としても、「あの人の作品は内容が良く分からない」と思われているうちは、場面場面のリアリティに凝っても仕方がないということです。
効率的なレベルアップと創作の柔軟性
回り道に感じられるかもしれませんが、1作ごとに、まだ自分がクリアできていない課題に、優先順位の高い順に集中して対処していくことで、もっとも効率よくレベルアップしていけると思います。
観客としても、「この人の作品は1作ごとにレベルが上がってるなあ」と感じられると嬉しくなるはずです。
映画のような映像作品だと少し難しくなってしまうかもしれませんが、小説、シナリオのようなジャンルであれば、まずは完成させて読める状態にしたあと、内容が伝わりにくい部分を直した改訂版にし、さらにどんでん返しなど「面白くする要素」を加える、次はリアリティーを出すための改定、というように、随時バージョンアップ版を作っていくと、客観的に比較も出来て、創作の別の楽しさも味わうことが出来るかもしれません。
反対意見もあるでしょう。
あとから要素を付け足したり、リアリティーを出すためにキャラクターの設定を変えたりということは出来ない、とも言われます。
ただそれも、プロが書いた、隙の無いバランスの取れた作品だからじゃありませんか?
「京都は撮影が大変なんで、舞台は鎌倉にしましょう。そこだけ変更してください」と言われても、確かにそこだけの変更で成り立つとは思えません。
でも、我々が作る創作では、あえて京都から鎌倉へ変更するくらいの改定には挑戦してみても良いんじゃありませんか?
「こういう景色の古都を舞台に、こういうドラマを展開させたい」ということを優先するのであれば、ある要素については割り切った考えを持った方が、結果的に「形あるもの」を多く残せると思います。
人の批判ばかりして、自分の理想を高く持っているだけでは、成果物ゼロの批評家にしかなれませんよ。
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