簡単にできる「ダメ出し活用」創作改良テクニック
創作活動において、他人の意見や批判はつきものです。
例えば、SNSで公開されるミニチュア模型や映画、アート作品など、どの分野でも「こんなんじゃダメだ」とケチをつける人が一定数います。
時には人格否定にまで発展するケースもあり、議論が白熱することもあります。
しかし、創作を楽しむことが本来の目的であり、批判ばかりしていては本末転倒です。
この「ケチをつける」ということはいろんなところでよく見かけます。
新作映画が公開されれば、必ずと言っていいほどのアンチコメントがたくさん出て来ます。
好みはそれぞれなので、要は気に食わなかったら見なきゃいいわけで、わざわざそれを叩くコメントを出す必要は全くないだろうと言うのが私の考えです。
多くの人が人のやっていることにケチをつける理由は簡単です。
「ケチをつける」「ダメ出しをする」ということは、誰にでもできて、どんな意見でも、ある程度の正当性はありますから「自分は良いことを言っている」という気持ち良さを感じられるんです。
さらに、自分にある程度の知識がある場合は、それをひけらかしたい気持ちも作用します。
それらが組み合わさって、人の創作物にケチをつけたり、ダメ出しをしたりということをしがちなんだと思うんです。
この感覚は誰もが持っていて、暴走すると困った人になっってしまうんですが、この誰でも簡単にできてしまう「ケチをつける感覚」を自分の創作に生かしませんかという提案です。
例えば映画創作を例に出すと、大事なのは「撮影」という楽しい作業に入る前に、いかに地味な作業である「設計図作り」をしっかりするかと言うことは普段から言っています。
これは私の反省から来るところが多いんですが、設計が浅はかな状態で「何とかなるだろう」と思って撮影をしてみると、なんともならない状態になってしまうということはよくあります。
ですから、シナリオ(脚本)段階でできるだけ設計図をちゃんと作ることが大事です。
ところがです。
私は比較的設計図通りに、シナリオから作った「絵コンテ」をかなり忠実に再現して撮影するんですが、形にしていってみると、思ったほど良くないことが多いんです。
テンポが悪くて見てられないとか、一番問題なのは、なんだかよく分からない状態。
「形にしてみて初めて分かる問題点」がいろいろあるんです。
逆に言うと、形にすればすぐ分かるんです。
「ここはリズムが悪い」なんてことは、設計の段階でいくら想像しても分かりにくいんですが、形にしてみればもう一目瞭然。
単純に長いとか、せわしなくて頭に入ってこないとか、それこそ「誰にでもケチを付けられる」くらい確認がしやすいんです。
「おそらく形にすると問題点が分かるから、そこを後から調整しようという」工程を初めから想定しておくのがいいのではないかと思います。
必要な追加修正を前提に制作していくわけです。
例えば普通は、絵コンテで想定した映像を全部撮影して「そのシーンは撮影終了」ということになります。
何事もなければそれでいいんですが、編集をしてみると、やっぱり不具合が出ます。
「ここはちょっと分かりにくいな」とか、「ここは映像が繋がってないように見えるぞ」という問題も時々出るんです。
そうすると、これは修正がなかなか厄介で、例えばいくつかカットして短くすることによって分かりやすくなるのであればいいんですが、何か足りなくてうまくいってない場合は修正のしようがないんです。
「使える材料」は最低限しか撮影してませんから。
そこで思いつく解決案は、その場面を撮影する時に、修正のこともちょっと考えて、少しでも多くの映像を余分に撮影しておくことです。
私たちが映画を作る時にできることを考えてみます。
必要だと思っている映像は絵コンテに表現されていて、それを全部撮ったあとの話です。
「これだけだと足りなくなるかもしれない」ということを初めから想定して、「使わないかもしれないけど、使えるかもしれない映像」をその場で撮っておこうということです。
例えば、会話をしている二人の映像がある場合。
編集した時に、何らかの問題が見つかることがあるんです。
・映像がうまく繋がらないところがある
・もうちょっと間を長くしたい
・説明不足で伝わらない状況があるので、この会話の中にセリフを追加したい
こんな感じです。
この修正をあとからするとして、最も汎用的な「使える映像」は「人の話を聞いている演技」だと思うんです。
どんなセリフが後から追加されるかに関わらず、「聞いている姿」は穴埋めとして使えると。
「聞いている演技」というのは、実は奥が深くて、「心の中で頷きながら聞いている」という場面もあれば、「いや、それはちょっと違うぞ」と思いながら、自分も言いたいことがあるんだけれども、今はちょっと聞こうということで聞いている演技もあります。
あるいは聞きながら感情が変わる、喜怒哀楽を表情で表現できるような人であれば、そういう演技もできる。
これらを例えば30秒程度、一人芝居の状態で撮っておくのが解決案です。
相手のセリフはアフレコで追加する前提です。
これは演技の話からいうと、「相手が何を言ってるかもわからないのに、そんな演技の真似事をしてもしょうがないじゃないか」という考えもあるでしょう。
でも、私は完成品の映画を「何とか様にしたい」ということで、こういう邪道なことを提案しています。
せっかく作るなら、少しでも楽しめる状態にしたいので、修正をする余地を残す意味でも、使えるかもしれない映像を多めに撮っておくことが有効だと思います。
これが作業としてやりやすい理由は、「後からケチを付けることは誰にでもできるから」なんです。
脚本作成時に「何かいい手がないかな」と考えるのはすごく大変なんですけれども、今、目の前にあるものに対してケチを付けるのは簡単で楽なんですよ。
「ここちょっと間延びしてるよね」
「ここ。何を言いたいんだかよく分からないよね」
と自分でも客観的に切り替えれば意見は出せるし、仲間に見てもらってどう思うかを言ってもらう。
ケチをつけるだけだとダメなんですが、「こうしたら?」という改善案も、形になっているものを見ると出しやすいんです。
この感覚を修正作業として利用しようという提案です。
参考になれば幸いです。
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🎬 Easy Creative Improvement Technique: Turning Criticism into a Tool
In any creative endeavor—whether it’s miniature modeling, filmmaking, or visual art—criticism is inevitable.
Post your work on social media, and someone will inevitably say, “This isn’t good enough.” Sometimes it escalates into personal attacks or heated debates. But the real goal of creative work is enjoyment. If all we do is criticize, we lose sight of that.
💬 Why People Love to Critique
Whenever a new film is released, you’ll see a flood of negative comments. Everyone has different tastes, and if something doesn’t appeal to you, you can simply choose not to engage. There’s no need to go out of your way to bash it.
So why do people critique others so readily?
Because it’s easy. Criticism feels good—it gives people a sense of authority. If they have some knowledge, they may also want to show it off. These impulses combine, and suddenly, someone’s creative work becomes a target.
But here’s the twist: what if we used that same instinct to improve our own work?
🛠️ Use Critique as a Creative Tool
Let’s take filmmaking as an example. I often emphasize the importance of “blueprint work”—the unglamorous planning phase—before jumping into the fun part: shooting.
I’ve learned this the hard way. If you start filming with a vague plan, hoping things will work out, they usually don’t. That’s why it’s crucial to build a solid foundation during the scriptwriting stage.
Even so, I’ve found that faithfully shooting from a storyboard doesn’t always yield great results. Once you see it on screen, problems emerge:
- The pacing feels off
- The scene is confusing
- It just doesn’t work
These issues only become clear once the footage is in front of you. You can’t always predict them during planning. But once it’s tangible, even a casual viewer can spot what’s wrong.
So why not build your process around that reality?
🎥 Plan for Adjustments from the Start
Instead of assuming your storyboard is final, expect to make changes. Shoot with the idea that you’ll need to tweak things later.
Normally, once you’ve filmed everything in the storyboard, that scene is considered “done.” But during editing, flaws often appear:
- “This part doesn’t make sense.”
- “The visuals don’t connect.”
Sometimes you can fix it by trimming a few shots. But if something’s missing, you’re stuck—because you only filmed the bare minimum.
🎬 The Fix: Shoot Extra Footage
Here’s a simple solution: when filming a scene, shoot a little more than you think you’ll need.
Let’s say you’re filming a conversation between two characters. During editing, you might realize:
- The scene doesn’t flow
- You need to extend a pause
- You want to add a line of dialogue
In these cases, the most versatile footage is a shot of someone listening.
No matter what dialogue you add later, a reaction shot of someone listening can fill the gap.
🎭 The Art of Listening on Camera
“Listening” isn’t just sitting still—it’s nuanced. You can show:
- Silent agreement
- Subtle skepticism
- Emotional shifts—joy, anger, sadness
If your actor can express these in a solo performance, even 30 seconds of “listening” footage can become a lifesaver. You can add the other character’s lines later via ADR.
Some might argue, “How can you act without knowing what the other person is saying?” But I say: if it helps the final film feel complete, it’s worth doing.
🧠 Why This Works: Critique Is Easy
Here’s the beauty of this approach: critiquing something that already exists is easy.
Coming up with ideas during scriptwriting is hard. But once you have footage, it’s simple to say:
- “This part drags.”
- “I don’t get what this scene is trying to say.”
You can even ask friends for feedback. And once you’ve identified the problem, it’s easier to suggest fixes—because you’re working with something concrete.
So let’s embrace that instinct to critique—not to tear down, but to build better.