理解力が違う「啓発映画」の底力

私は実は地元の自治会関係で広報のボランティアを担当しています。

地元で何かイベントがあると、ちょっと写真や動画を撮ってくれというように頼まれて、覗きに行くことがあるんです。

先日も近くの施設で参加者20人ぐらいの小さなイベントがありました。

イベントの内容は、「終活について」。

エンディングノートなどの資料が配られて、年配の参加者の人たちが説明を聞きながらその場で書き込みます。

講師は施設の職員ですから、そんなに話が上手でグイグイと惹きつけるというわけではなく、淡々と事務的に話を進めるわけで、あまり面白くはありません。

 

途中で「ではここで1本映画を観てもらいます」と言って、20分ぐらいの短編映画が始まりました。

これは市が作った映画で、有名なプロの俳優たちが出ていました。主演は竹中直人さんでした。

その物語の中で、まさに今、イベントで配られている資料が出てきて、登場人物たちが「終活の必要性」などを話して、その資料についての説明もしてるんです。

 

つまり、講師が説明していた内容が全部盛り込まれてるんですね。

プロの役者が演じているということもありますけれども、見ているだけで物語に引き込まれていきます。

映画を見ることで、本来伝えなければいけない情報、特に考え方などはどんどん頭に入ってくるんです。

 

私は、講座としては、後半になってから、この映画を見せるのではなくて、まず初めに映画を観せて、そこから具体的な細かい説明をしたら良かったんじゃないかなとは思いましたが、図らずも良い体験が出来ました。

同じ内容を

・講座形式で伝える

・映画の形にして伝える

という2つの場合の、理解度の差を感じる実験になったからです。

 

結果として、映画の方が理解しやすくて頭に入るということです。

 

そもそも「話を頭に入れる」ということには負担がかかるんです。

単純な「記憶法のコツ」でも、ストーリーを作って、順番に頭の中に入れると覚えやすいことが実験の結果でも明らかになっています。

やはりストーリーを利用することが有効なんです。

 

では、ストーリーを文章の形で表現すれば十分かというと、それも厳しいんです。

普段から本を読み慣れている人にとっては、文章を読むことは全く負担に感じませんが、データによると日本人は、「学校を卒業すると本をほとんど読まない」という人もたくさんいると聞きます。

そういう人たちが文章をちゃんと読めるかというと、これはかなり難しいんです。

 

読み書きができれば理解できるだろうと思ったら大間違いです。

書いてあることをちっとも読まずに、書いていないことを想像して、頭の中で補完してしまう人が非常に多いんです。

例えば「私は犬が好きです」と書いたとします。

それを読んで、

「じゃあ猫は嫌いなんですね!私は猫が嫌いな人とは仲良くなれません!」

と言う人がいるんです。

 

冗談で言ってるのかと思ったんですが、実際にこういう間違った論理展開が身に付いてしまっている人が多いようなんです。

言うまでもなく、「私は犬が好きです」の中に「猫は嫌いです」なんて言葉は一言も入っていなくて、猫が嫌いかどうかは分からないわけです。

猫も好きかもしれない。

こういう風に、書いていないことを曲解して理解する人の割合はかなり多いと思った方がいいです。

 

ところが「文章」に対して「映像」は「イメージの自由度」が極端に狭められる特徴があります。

これは小説と映画を比較すると分かりやすいんですが、小説は自由にイメージを膨らませて鑑賞できます。

実際には作家が意図していないイメージだったり、読み間違いや曲解を元にイメージを膨らませていたとしても、個人的な小説鑑賞としては実害がありません。

 

しかし、何か物事を正しく伝えたいというときは、「誤解」は避ける必要があります。

その際、「ストーリー仕立ての映像」、つまり「映画」はとても有効だと、私はそのイベントの中で感じたわけです。

 

そう考えると、「映画作りのスキル」というのは役に立ちます。

 

例えば広報関係の情報。

小冊子などを使って伝えようとしても、見てくれる人も少ないし、記憶にも残りにくいと思うんです。

「関心を持ってもらえない」というのが広報の最大の課題ですから、エンターテインメントの要素の強い「映画」という形でその概要を伝えることができる人が増えると、とてもいいんじゃないかなと思います。

 

そういう映画をどうやって作るか。

 

私はもともと「面白い映画のパターン」は、ほんのいくつかしかないと思ってます。

主人公がいて、問題に直面して、そこに味方が登場して解決した、というような、同じようなパターンでいいと思うんです。

 

そのパターンの中に、小冊子やパンフレットでまとめてある内容を「要素」として全部盛り込んでしまえばいいでしょう。

 

映画づくりというのは、オペレーションとしての作業も楽しいです。

計画、撮影、編集などの作業です。

自分のオリジナルのストーリーを映画にするのももちろん素晴らしいですが、そのスキルを活かして「人の役に立つ映画」を作るのも素晴らしいことなのではないでしょうか?

もちろん、シナリオ作成をはじめ、全ての行程の練習にもなります。

 

広報の映画という事であれば、その要素をちりばめたシナリオ案を作成して、広報担当の人に提案すれば、もしかしたら、単純な趣味の創作活動を超えて、「人から求められる映画を作る」という体験ができるかもしれません。

 

参考になれば幸いです。

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