メディアミックスのポイントは同時展開

メディアミックスと聞くと角川春樹を思い浮かべる人も多いと思います。
面白かった頃の角川映画。
日本映画がなかなかヒットしない時代においても、本屋という分野から参入してきた角川春樹が、立て続けに話題作を世に出して、その映画のキャンペーンに合わせて、既に出版されていた小説の表紙を映画のポスターと差し替えたりして、同時にそれぞれのコンテンツを売り出す展開をしたわけです。
見事だと思いました。

 

比べるレベルではありませんが、私たちのような弱小創作者も、この「メディアミックス」をスケールを小さくして利用してみたいと思うわけです。
現代はこれに可能性があるんです。

 

例えば、昔であれば、映画を作っても、フィルムと映写機を抱えてどこかの会場を借りて上映会をしなければ、他人に見せることができませんでした。
それがフィルムからビデオに変わり、さらに、インターネットが普及して回線の速度がアップしたことによって、映画の上映会と同じことがインターネット上でできます。
YouTubeにアップロードするだけでも、全世界向けにその映像を公開したということになるわけです。

 

文章も同じです。
小説を書いても、昔は出版社に持ち込んだり、賞に応募して受賞しない限り、世に出せませんでした。
それ以外だと、例えば同人誌を作って仲間同士で回し読みをしたり、マニア向けに売ったりと、非常に範囲の狭い世界でした。
ところが今は小説を書くと、アマゾンという巨大なプラットフォームで、自分の小説を電子書籍の形で販売することができるわけです。

 

行動力さえあれば、昔とは比べ物にならないくらいの発信力を持っているのが、今の私たちなんです。

こんな風にいろんなメディアの発信方法が揃っているので、角川春樹の真似をしてメディアミックスの展開を是非やってみましょうという提案なんですけれども、この時にちょっと工夫した方がいいと思います。

 

それは、昔ながらの順番にこだわるな、ということです。

 

昔から原作小説を映画化するという流れはありました。
小説として人気が出たので、それを映画化しましょうという自然の流れです。
でも、全ての元を「小説」と考えてしまうと、ゼロからスタートする場合、時間が掛かり過ぎるんです。
角川春樹の場合は、手元に小説が揃っていたという前提がある事に注意してください。

具体的にどうするかというと、まずは粗筋を作ります。
これが一番エネルギーを使う「大元」です。
小説の100分の1の分量でいいわけですが、0から生み出す分、大変です。
この作業をAIに手伝わせるのは有効でしょう。
そして、あらすじが出来上がったら、ここから「同時」にメディア展開をしましょう、という提案です。

 

「小説版」という文字のメディア展開はもちろん考えられます。
でも、小説は、物語は出来上がったとしても、形にするには文章作法が必要です。
また、文章の魅力で見せなければいけないので、そこはそこで試行錯誤があって作業に時間がかかるわけです。
他のメディアに展開する際、この「小説ならではの文章作法や表現」は不要なので、その完成を待つ意味が無いんです。
そこで、あらすじから「オーディオドラマ版」という音声のメディアや、「映画版」のような映像のメディアに、手分けして同時展開すべきだと考えます。

 

要は、そのメディアミックス展開のほうが、それぞれの作品の完成が早くなるだろうということです。

 

「趣味の世界なんだから、そんなにスピードを優先してやらなくたっていいじゃないか」という考えもありますが、時間は有限です。
もしかしたら数年で自分のやる気や環境もなくなるかもしれない。
その間に1本しか作品ができないのか、10本できるのか。
私はやっぱり、たくさん作った方が後から楽しめると思うんです。

ただ、これを全部一人でやろうとすると、なかなか大変だとは思います。
理想はそれぞれに専門スタッフがいる状態です。

 

例えば、小説を書きたいという人のワークショップをみると、一定の割合で「小説を書いてはみたいけれども、何か書きたい題材があるわけじゃない」という人もいるんです。
これは意外かもしれませんけれども、私は理解できます。
小説の文章を書いてみたいけれども、アイデアを考えるということはうまくできない、題材が欲しいという状況です。
そういう人と、もし手を組むことができれば、「この粗筋をもとに小説版を書いてください」と手分けが出来ます。

 

オーディオドラマ、映画も同様です。
「演じてみたい」「撮影したい」「でも題材は無い」
こういう人は多いはずです。

私は基本的には小説も書きたいし、映画も作りたいと思っていますけれども、もし、完成品がたくさんできるのであれば、作品によってはプロデュースに徹して、つまり、実際には手を動かして小説を書いたりとか、映画の撮影現場に行ったりせずに、それぞれのスタッフに指示をして、出来上がりを楽しみに待つというような、こういう体験もしたいなと思っているんです。

 

創作の趣味をやってみたいと言う人の中には、色んな人がいます。
小説を書いてみたいという人もいれば、映画に出演してみたいとか、でも顔が出るとちょっと恥ずかしいから、オーディオドラマの声の出演ぐらいならしてみたいという人もいるでしょう。
あるいは映像とかオーディオドラマの編集をやってみたいとか、BGMを作りたい人もいるかもしれません。
コミックが描ける人もいるんじゃないでしょうか。

 

全ての楽しみを自分一人で独り占めしようとせずに、いろんな人と組んで創作活動をするメリットは大きいと思います。
私自身は器用貧乏というか、それこそ独り占めで作業をする気質が強いので、手分けをする感覚を養うことが必要だと痛感しています。

手分けする場合は、この「メディアミックス」を意識すると、共同制作者として喜びを分かち合う仲間が増やせるんじゃないかなと思います。

 

私はその受け皿としてDIY映画倶楽部というものを作って作品を作ろうとしています。
今のところは、それぞれの人が作った映像を見せ合ったり、オーディオドラマを企画して、メンバーに声の参加をしてもらったりというようなところから、活動を始めていますが、いずれはメディアミックスを意識した作品の製作と発表というものにつなげていきたいと思っています。
興味のある方は是非ご連絡ください。

 

参考になれば幸いです。

(ブログ記事一覧)

DIY映画倶楽部のご案内

 

創作活動としての映画製作は最高に楽しいものです。

昔はネックだった撮影・編集環境も、現代では簡単に手に入ります。スマホをお持ちの時点で最低限の環境はすでに揃っているとも言えます。

  • 趣味がない人。新しい趣味で楽しみたい人
  • 自分の創作がしたい人
  • 映像作品に出演して目立ちたい人、目立つ必要がある人

にとっては最適の趣味であることに間違いありません。

 

ただ、実際の映画製作には多くの工程があり、全てのノウハウを一人で身に付けて実践しようとすると大きな労力と長い時間が必要になります。

 

DIY映画倶楽部は入会費無料の映画作り同好会です。

広い意味でのストーリー映像を作るためのノウハウを共有し、必要であれば技術的な支援もしながら、あなたの創作活動をお手伝いします。

詳しくは以下の案内ページをご確認ください。


🎨 The Key to Media Mix Success: Simultaneous Development

When people hear the term “media mix,” many in Japan immediately think of Haruki Kadokawa and the golden age of Kadokawa Films. At a time when Japanese cinema struggled to produce hits, Kadokawa—coming from the publishing world—launched a series of buzzworthy films. He cleverly rebranded the covers of existing novels to match the movie posters and marketed both the book and the film simultaneously. It was a brilliant strategy.
While we indie creators may not operate on that scale, I believe we can still apply the media mix concept in a more modest, modern way—and today’s environment makes that more possible than ever.

The Democratization of Distribution

In the past, making a film meant renting a venue, lugging around reels and projectors, and hosting a screening just to share your work. Then came video, and now, with the internet and faster connections, we can host global screenings online. Uploading to YouTube instantly makes your film accessible to the world.
The same goes for writing. In the past, unless you won a literary prize or got picked up by a publisher, your novel wouldn’t see the light of day. You might print a few copies for friends or sell them at niche events. But now, with platforms like Amazon, anyone can publish and sell their novel as an eBook.
With enough initiative, we now have more reach than ever before.

Rethinking the Sequence

So here’s my proposal: let’s embrace media mix strategies like Kadokawa did—but with a twist. Don’t get stuck in the traditional order of things.
Historically, the flow was: write a novel → gain popularity → adapt into a film. But starting from a novel takes time. Kadokawa had the advantage of already having books in hand.
Instead, begin with a synopsis. It’s the core idea—the seed from which everything grows. It’s only about 1% the length of a full novel, but creating it from scratch takes real effort. This is where AI can help.
Once the synopsis is ready, launch multiple media versions simultaneously.

Parallel Creation Across Formats

Of course, you can develop a novel version. But writing a novel requires literary technique and polish, which takes time. Other formats—like audio dramas or films—don’t need that level of linguistic finesse. So don’t wait for the novel to be finished. Instead, divide the work and develop each format in parallel.
This approach speeds up the overall creative output. Some might say, “It’s just a hobby—why rush?” But time is finite. Your motivation or circumstances might change in a few years. Would you rather complete one project or ten?
Personally, I’d rather have more finished works to look back on.

Collaboration Is Key

Of course, doing everything alone is tough. Ideally, each format would have its own dedicated team.
In writing workshops, I’ve met people who want to write novels but don’t have a specific story idea. That’s totally understandable—they’re drawn to the craft of writing but need a concept to work from. If you can team up with someone like that, you can hand them a synopsis and say, “Please turn this into a novel.”
The same goes for audio dramas and films. Plenty of people want to act or direct but don’t have a story to work with.
I personally want to write and direct, but if it means producing more finished works, I’m happy to take on a producer role—guiding the team and enjoying the final result without being hands-on in every step.

A Creative Ecosystem

People interested in creative hobbies come in all forms. Some want to write, others want to act in films, and some prefer voice acting for audio dramas. There are those who want to edit video or audio, compose background music, or even draw comics.
Instead of trying to do everything yourself, collaborating with others brings huge benefits. I’ve always had a “jack-of-all-trades” mindset, but I’m learning the value of delegation.
By embracing media mix strategies, we can build a network of co-creators who share the joy of making something together.

Building a Platform for Collaboration

To support this vision, I’ve started a group called the DIY Film Club. Right now, we’re sharing our indie films, planning audio dramas, and inviting members to contribute voice performances. Eventually, I hope to expand into full media mix productions—creating and releasing stories across multiple formats.
If this resonates with you, I’d love to hear from you.

I hope this article offers some inspiration

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