視覚が主役・映像で伝えるストーリーの力学

私は元々、大学時代もサラリーマン時代も、電車で通学・通勤する時間が結構長かったんです。
その時間を使って小説を読んでいました。
今でもエンターテインメントで最強なのは小説じゃないかと思っているくらいです。
ですから、「自分でも小説をちゃんと書いてみたいな」という思いはいつもあります。
「じゃあ何で小説を書かずに映画を作っているんだ」と言われると、実は物語を形にするときに、映像の方が手っ取り早くサマになるからなんです。

 

小説は文章の魅力でみせる技術がないと、鑑賞してもらうところまではなかなかたどり着かないところがあります。
それに対して映像は、仮に拙いものであったとしても、「文字を読んでページをめくる」という労力がかからないんです。
再生ボタンを押してしまえば、強制的に映像が流れて、まあまあ伝わる。
そういう映像のわがままな部分を利用して、映像作品を作っているところもあったりします。

 

それとは別に、「やっぱり映像が強いな」と思う部分は、言語に縛られずに人に見てもらうチャンスがあることなんです。
今、インターネットが当たり前に普及していて、YouTubeに簡単に自分の動画がアップロードできます。
私もMVG博物館というYouTubeチャンネルの中で自分が作った映画を公開していたりします。

これは実は「世界に開かれた窓口」なんですよね。
例えば外国語の自主映画作品を見つけて見ていると、字幕も自動生成してくれます。
だから自分で作ったものも、わざわざ外国向けに言語を吹き替えたり字幕を作ったりしなくても、そのまま見てもらうチャンスがあるんです。

 

これが「映像の強み」だなと思うんです
小説を一人でも多くの読者、日本語圏でない人たちにも読んでもらおうと思うと、これは一苦労です。
AIで、あっという間に全文を英文に翻訳してはくれますが、それが小説としてどれだけ体をなしているかいうのはまた別の話です。
正しい英語なのはもちろん、小説としての味わいがあるのかというところまでは、なかなかチェックできないし、直すことができないんじゃないでしょうか。

 

それに比べて映像作品は基本的に「見て分かる」。
多言語の展開をしようとした時には非常に有利だと思います。
セリフは翻訳して字幕を出す必要はありますが、ここでもう一つ考えるべきなのは、優れた映画の特徴として、言葉に頼らず内容が伝わるということがあるんですね。

 

分かりやすい例で言うと、チャールズ・チャップリンの映画。
サイレント映画でセリフがないんです。
場面場面で設定だとかセリフを伝えたいときに、画面いっぱいにフリップで文章が出て、またそのシーンの映像に戻るというような構成になっているんですが、仮にフリップによる説明が一切なかったとしても、チャップリンの映画はほぼ100%理解できるんです。
見ていて楽しいし、何を言いたいかが分かる。
これは実はチャップリンの映画作りのポリシーなんです。

 

サイレント映画の時代が過ぎて、もう映画が音声と組み合わせたメディアになっても、チャップリンはサイレントにこだわろうとしたんです。
なぜかというと、自分は英語しか使えない。
でも英語で芝居をしてしまうと、英語が分からない人には内容が伝わりにくくなってしまう。
それを避けるためには、やっぱりパントマイムを駆使したサイレントの方が良いんだと言う考えなんです。

これは参考にすべき考えだなと思うんです。

 

私も高校生の頃に映画好きの友人の真似をして、映画のシナリオのようなものを書いたりして、よく言われたのは、
「全部セリフで説明してる」
「映画なんだから映像でわかるようにしないと」
ということでした。

 

伝えたいことを言葉で言ってしまうと手っ取り早いんですけれども、それをいかに「映像」に変換するか、セリフはその補佐的な役割として使うということが、映画の基本なんですよね。
それを守れば、言葉を超えて映画が人に見てもらえる可能性が出てくる。

 

せっかく作品を作るわけですから、できるだけ多くの人に観てもらいたいわけです。
もしそれが日本語が分からない人でも楽しめるんだとしたら、このYouTubeというプラットフォームに作品をアップロードしている意味が出てくるわけです。
YouTube側もそういう国際的な展開というのを歓迎している証拠が、自動翻訳機能の進歩でしょう。

 

映像作品をYouTubeで公開していると言うような場合は、実際には仲間内で見ているようなものだったとしても、「何かの拍子に全く違う国の人が見てファンになってくれるかもしれない」という可能性を視野に入れながら創作活動をすることが楽しいんじゃないかなと思います。

 

その国の言葉に頼って形にしなければいけない「小説」というメディアは、私が一番好きな「エンタメの王様」だと思っていますが、これをより広く展開しようと思った時にも、「こういうストーリーを書いていますよ」という紹介のために、「小説版」とは別に「映画版」を作ってはどうでしょう?

そういう風に、一旦、言葉の壁を越えやすくするために「映画」というメディアを利用するのも手かもしれません。

 

私はMVG(M’s Video Group)と言う団体を名乗って、学生時代から長いこと自主映画を作っているんですけれども、最近ではスタッフ養成の意味合いも込めて「DIY映画倶楽部」という愛好会を作って創作の輪を広げようとしています。
色々な動機で映画を作ろうという人が集まってくれると、展開に多様性が出て面白いんじゃないかなと思っています。
ですから、「映画が作りたい」という人だけではなくて、「小説を書いている」「コミックを描いている」と言う人も、是非仲間になってもらえたらと思います。
興味があればご連絡下さい。

 

参考になれば幸いです。

(ブログ記事一覧)

DIY映画倶楽部のご案内

 

創作活動としての映画製作は最高に楽しいものです。

昔はネックだった撮影・編集環境も、現代では簡単に手に入ります。スマホをお持ちの時点で最低限の環境はすでに揃っているとも言えます。

  • 趣味がない人。新しい趣味で楽しみたい人
  • 自分の創作がしたい人
  • 映像作品に出演して目立ちたい人、目立つ必要がある人

にとっては最適の趣味であることに間違いありません。

 

ただ、実際の映画製作には多くの工程があり、全てのノウハウを一人で身に付けて実践しようとすると大きな労力と長い時間が必要になります。

 

DIY映画倶楽部は入会費無料の映画作り同好会です。

広い意味でのストーリー映像を作るためのノウハウを共有し、必要であれば技術的な支援もしながら、あなたの創作活動をお手伝いします。

詳しくは以下の案内ページをご確認ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です