寝かすと熟成するネタと腐るネタ
創作物は完成させることが大事
大原則は「完成させること」です。
いくらレベルが高くても、未完成品は0点です。
偉そうに言っていますが、これは私自身への反省を促すためにも言っています。
特に創作物については、時間を掛けてじっくり作ったものの方が価値があって、短時間で仕上げると安っぽいイメージを持たれがちです。
ただ、結論を言うと、時間を掛けて良いことはほとんど無いんです。
私は子供の頃、絵画教室に通っていましたが、小学生は絵の具を使って色を塗っている時、乾いてから重ね塗りしたほうがいい場面で、乾くのを待ちきれずに別の色を重ねようとして、色がにじんで収拾がつかなくなりがちです。
「ちょっと時間を置いて乾くのを待ちなさい」といつも言われている子供がいたので、性格にもよるのでしょう。
絵の具の乾きが遅い水彩画については、せっかちな子供は失敗しがちでしたが、せっかちは恐らく、他の創作活動には有効だと思います。
とにかく完成が早いからです。
なぜ作業を止めて完成を先延ばしにするのか?
私は、何を隠そう、未完成品が多い人間です。
書きかけの小説、作りかけの映画がうんざりするほどたくさんあります。
未完成になる理由、事情、言い訳はいろいろとあるんですが、完成を先延ばしにするのは大体、以下が理由です。
・単純にスタミナが続かない
・現状の未熟さのまま完成させたくない
・楽しみを後にとっておきたい
作家の石原慎太郎が芥川賞を取ったデビュー作「太陽の季節」は徹夜をして3日で書き上げたそうです。
かつて、多作で知られた志茂田景樹、菊池秀行、夢枕獏というような人たちも、間違いなくスタミナがある作家だったんだと思います。
創作にスタミナは大事です。体力が基本だと思います。
頭さえ働けば創作できるかというと、やっぱり体力が無いと作業を続けられません。
一気に作品を完成させられない理由の一つは、現状の自信の無さです。
「この未熟な技術の状態で完成させてもレベルが低いものにしかならない」という思いが強くなると、作業を止めてしまう事もあります。
自分のレベルが上がったり、環境が整ったらもっと良い形で仕上げられるかもしれない、という期待で止めるんです。
私も何度となくそれを言い訳にして作業を止めましたが、ほとんど良いことはありませんでした。
実際に自分のレベルが上がると、その古い企画を再開するのではなく、当然、別の新しい企画を立ち上げたくなって、結局、未完成品はそのままになってしまうんです。
最後に挙げた「楽しみを後にとっておきたい」も人によっては理解できないかもしれません。
私にはこの傾向が強いんです。
面白い小説を読んでいても、一気に読み切ることは滅多にしません。
「ああ、面白かった。続きは明日にとっておこう」という具合で、中断するのが私の読書のパターンです。
これは、会社員時代、毎日の通勤電車の中などで本を読んでいたときは、生活習慣にマッチしていましたが、フリーランスになって「電車通勤」という習慣が無くなると、全く上手く機能しません。
読書を中断した本だらけになってしまいました。
創作の場合は別の要素も加わります。
創作物は形になり始めが一番ワクワクするので、その状態を長く味わいたくなるんです。
完成度が上がってくると、自分の実力に応じた現実が見えてきて、次々と発見される矛盾点の辻褄合わせの作業に追われたりして、無条件でワクワクしたまま完成させられる訳では無いんです。
創作の趣味をもっている人で、未完成品が多い人は要注意です。
「趣味の話だから未完成品が多くたって良いじゃないか」と思われるかもしれませんが、無意識レベルで「自分は最後までやり遂げられない」というネガティブな思考が積み重なって、自己肯定感が下がってしまうと実感します。
時間を置くメリットは無いのか?
創作物を一旦寝かせておくメリットは、良い具合に愛着が薄れて、客観的に判断できるということでしょう。
私も先日、古いパソコンからデータを探しているときに、物語のアイデアメモの類がたくさん出てきましたが、壮大な長編作品の構想として書いた筈ですが、今見ると、そのアイデアではとても長編に膨まないのですが、短編連作には丁度使えるかもしれない、と思えるメモだったりします。
もし使えれば、完全なボツ企画だったものが有効活用できることになります。
特に「文章」による物語創作では、一気に勢いで書いた後、一旦作業を止めて時間を置くことが有効かもしれません。
そして、作業上の問題は少ないんです。
それに対して、パソコンソフトを使った映画作りは時間を置くと、作業上の問題がたくさん生じることになります。
私は今、その対処に非常にコストをかけてしまっています。
具体的に言うと、編集ソフトのバージョンアップに伴う問題です。
1年前の作業を再開する際は、ソフトを開こうとすると「バージョンが古いので更新します」という形でデータが更新されます。
この時、古いバージョン特有の機能を使って編集した部分などは、再現されずに、作り直す必要が生じたりします。
5年も前の作業だと、「バージョンが古すぎて開けません」というメッセージが出て終了という事もあります。
これを1から作り直す気力を持てない限り、企画は完全に消滅します。
私が最近はまってしまった作業の内容は、古い撮影データを使用した編集についてです。
デジタル技術の進歩に伴って、主流となるファイル形式が変わっています。
10年以上前、DVテープで撮影した映像をPCに取り込む際、AVIという形式にしていたんですが、最近主流の形式に比べて圧縮の効率が悪いんですね。
簡単に言うと、PCへの負荷が大きくなって、スムーズに再生がされない状態で、とても編集がやりにくいんです。
なんとかこの作品はだましだまし、この古いファイル形式の映像を使って完成させてしまおうと思っていたんですが、バージョンアップした編集ソフトとの相性が悪いらしく、全然作業にならなくなってしまいました。
仕方ないので、撮影素材を別のファイル形式に変換して、3日かけて編集データを作り変えました。
これが完了しても、ようやく、最終的に作業を中断した1年前の状態を再現しただけなんですが、中断のデメリットを体感した反省を踏まえ、このまま完成まで一気に進めようと思っています。
結論として、創作活動で寝かせて良いのはアイデアレベルとし、形にする実作業に入ったら、とにかく最速でバージョン1の完成を目指せ、ということです。
ちなみに、古いDVテープで撮影した新作は、「チームウェンズデイ探検シリーズ」の第3弾「ツングースの楽園」という作品で、予告編のみYouTubeチャンネルで公開しています。
宜しければご覧ください。
参考になれば幸いです。
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🕰️ Ideas That Ripen vs. Ideas That Rot: The Importance of Finishing Creative Work
Completion Is Everything
The golden rule of creative work is simple: finish what you start. No matter how brilliant the concept, an unfinished piece scores zero.
I say this not to preach, but to remind myself. I’ve often believed that the more time you spend crafting something, the more valuable it becomes. Quick work tends to be seen as cheap. But in truth, spending more time rarely improves the outcome.
When I was a child attending art classes, I saw how impatient kids would ruin watercolor paintings by layering colors before the previous layer dried. “Let it dry first,” the teacher would say. But impatience, while a liability in watercolor, might actually be an asset in other creative fields—because it leads to faster completion.
Why Do We Delay Finishing?
I’ll admit it: I have a mountain of unfinished work. Half-written novels, half-edited films—you name it. The reasons vary, but they usually boil down to:
- Lack of stamina
- Fear of finishing with subpar skills
- Wanting to “save the fun for later”
Shintaro Ishihara reportedly wrote his Akutagawa Prize-winning debut Season of the Sun in just three days. Prolific authors like Keiki Shimizu, Hideyuki Kikuchi, and Baku Yumemakura clearly had creative stamina.
Stamina matters. Creativity isn’t just mental—it’s physical. You need energy to keep going.
Another reason for delay is insecurity. You think, “If I finish this now, it’ll be mediocre.” So you pause, hoping that with more skill or better tools, you’ll do it justice later. But in my experience, that rarely works. When your skills improve, you’re more likely to start a new project than return to an old one.
Then there’s the strange desire to prolong the excitement. I often stop reading a great book midway, thinking, “This is so good—I’ll save the rest for tomorrow.” That habit worked when I commuted daily and read on trains. But as a freelancer, it’s become a problem. I now have shelves of half-read books.
With creative projects, the thrill is strongest at the beginning. As the work nears completion, reality sets in—flaws emerge, contradictions need fixing, and the magic fades. That’s when many creators lose momentum.
The Hidden Cost of Unfinished Work
If you’re a hobbyist with lots of unfinished projects, beware. You might think, “It’s just a hobby—no harm done.” But over time, this pattern can erode your self-confidence. You begin to internalize the belief that you can’t follow through.
Can Letting an Idea Sit Be Useful?
Sometimes, yes. Letting a project rest can help you detach emotionally and evaluate it objectively.
Recently, while digging through an old computer, I found notes for a grand novel idea. Looking at it now, I realize it wouldn’t work as a full-length story—but it might make a great series of short pieces. What once seemed like a discarded concept now feels usable.
This kind of aging works well with writing. You can draft something quickly, then revisit it later with fresh eyes. The technical risks are minimal.
But in filmmaking—especially digital editing—delays can be disastrous.
The Technical Pitfalls of Pausing
I’ve recently spent a lot of time dealing with old footage and outdated software. When you reopen a project after a year, your editing software might say, “This version is outdated—updating now.” And suddenly, features you relied on are gone. You may have to redo entire sections.
If the project is five years old, the software might not open it at all. Unless you’re willing to rebuild from scratch, the project is dead.
I’ve been working with old DV tape footage, originally saved in AVI format. Compared to today’s standards, AVI is inefficient—it strains the computer and makes editing sluggish.
I tried to push through using the old files, but the updated software couldn’t handle them. So I spent three days converting the footage and rebuilding the edit. And that only got me back to where I was a year ago.
This experience taught me a hard lesson: once you start the actual production phase, finish it fast.
Final Thoughts
Letting ideas rest can be helpful. But once you begin shaping them into a real project, aim to complete version 1 as quickly as possible.
By the way, my latest film—shot on old DV tape—is the third installment in the Team Wednesday Adventure Series, titled Paradise of Tunguska. The trailer is available on my YouTube channel if you’d like to check it out.
Hope this reflection proves useful.