自主映画撮影の制約を乗り越えろ!グリーンバック合成の実践ガイド・低予算でも可能な列車内シーン

小説と映像・表現の自由度と現実的な制約

物語創作のうちでも「小説」は場面の選定が自由なことが大きなメリットですよね。

国会議事堂の中で銃撃戦が始まったり、水田地帯に旅客機を不時着させたりという描写も、文章に変換さえできれば表現することが出来ます。

 

それに対して「映像」は「撮りさえすれば形になる」というメリットがある一方、「どこで撮る?」「どうやって撮る?」という制約が常に付きまといます。

例えば普段、何の気なしに見ているドラマでは

・駅の改札

・列車内

などのシーンがよく出てきます。

私たちも日常生活の中で目にする光景なので、このシーンを撮影する困難さはピンと来ないんですが、実際にこういう場面を実現させたいと思うと、かなり不可能に近いんです。

 

商業映画では通常、交通機関の車両を借り切って撮影したり、リアルな室内セットを作って撮影します。

どちらも大変な費用が掛かるので、私たちの自主映画・DIY映画では現実的ではありません。

現実的な撮影手法の選択とゲリラ撮影の限界

昔は商業作品でも、低予算の場合、いわゆる「ゲリラ撮影」も良く行われていました。

今でも「ゲリラ撮影で勝手に撮ってしまえば良いじゃないか」と考える人が多いんですが、これはお勧めできません。

実際に、周辺に人がいる場合、多少なりとも迷惑を掛けることになりますし、仮に迷惑でなかったとしても、昔と違って、社会全体が「それくらい大目にみてやろう」という余裕がないように思うからです。

 

「でも、せっかく脚本に書いたイメージだから実現させたい」と私はいつも思います。

そこで辿り着いたのが、ストック映像を有効活用したグリーンバック撮影・クロマキー合成の手法です。

DIY映画のための実践的合成テクニックと応用例

私が実際に行なった列車内映像の例を紹介します。

 

まずは列車内の映像を撮影する必要があります。

これは、何度も行ったことがある公園の一角で、野外展示されている「ブルートレイン」の車両を使いました。

車両内には自由に出入り出来て撮影も出来るので、他の人がいないタイミングを見計らって、色々な角度から車内の写真を撮っておきます。

このあたりは感覚的なものもあるんですが、オーソドックスな映像として使う「構図」には、一定のパターンがあるので、「使える構図」の種類はそれほど多くないんです。

 

誰もいない車両の中で、「ここに人物が座っていたらこっちから撮るだろう」と思いつくパターンを、出来るだけ効率よく撮影していきます。

効率よく撮影するコツは2つあります。

 

一つは「高画質で広めに撮っておくこと」です。

これによって、「少しアップ気味の映像撮影」は割愛できるんです。

編集時、画面の中で拡大すれば済むからです。

 

もう一つのコツは、撮影を「静止画」でなく「動画」で行うことです。

人物を自然に合成するためには、背景と人物の角度が合っていないといけません。

想定した背景に合うように注意しながら人物撮影は行うんですが、所詮は撮影済みの背景写真とカメラのモニターを見比べながらの、目分量の撮影です。

これは、低予算作品の場合、1日の撮影量を多くする必要がある関係で仕方ありません。

そうすると映像編集時、「背景と被写体の角度がちょっと合わない」という事が起きるんです。

「背景をもう少し横から撮っておくべきだった」とか「もう少し上から撮るべきだった」とかという「ズレ」です。

 

このズレを体験すると、微妙に違う角度でも背景を撮影しておくことの有効性を実感するわけですが、その時に、撮影を動画モードにしておけば、例えば「真横から正面まで」という一連の撮影が出来るわけです。

編集時、人物と一番フィットする角度になる瞬間の静止画を書き出して使用することが出来るので、失敗が減らせます。

 

走っている車両の場合、窓の外の景色を合成することで、

・走っている事

・景色や時間帯

を表現できます。

 

合成用の映像は、私は走行中の車から景色を撮影したものを使いましたが、遠景であれば、写真をゆっくり動かしながら合成することでも自然に表現できそうです。

 

車窓の景色を自由に変えられるので、この車両内の撮影素材は、全く別の色々な作品に転用が可能になります。

そして転用すればするほど、当初の撮影コストは分割されるので、安上がりに場面を作れることになります。

その分、別のところにエネルギーが注げるわけです。

 

例えば車両シーンに関して言うと、自前の「車両内撮影用スタジオ」を確保しているのと同じですから、シナリオを執筆するときに、少なくとも列車内のシーンは撮影の手配などを気にせず、自由に書き進められることになります。

 

もちろん、映像合成にはそれなりの手間も掛かりますし、手を抜くと「いかにも合成映像」ということで興ざめする可能性もあるので、技術習得も必要にはなってきます。

それでも、トータルとして、「低コストで自由にイメージを再現できる」というメリットが味わえるのが、今回紹介したような特撮の応用例なんです。

参考になれば幸いです。

 

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創作活動としての映画製作は最高に楽しいものです。

昔はネックだった撮影・編集環境も、現代では簡単に手に入ります。スマホをお持ちの時点で最低限の環境はすでに揃っているとも言えます。

  • 趣味がない人。新しい趣味で楽しみたい人
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にとっては最適の趣味であることに間違いありません。

 

ただ、実際の映画製作には多くの工程があり、全てのノウハウを一人で身に付けて実践しようとすると大きな労力と長い時間が必要になります。

 

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🎬 Overcoming the Limitations of Indie Filmmaking: A Practical Guide to Green Screen Compositing for Low-Budget Train Scenes

The Freedom of Novels vs. the Constraints of Visual Media

In storytelling, novels offer a major advantage: the freedom to depict any scene imaginable. Whether it’s a gunfight inside the National Diet Building or a passenger jet making an emergency landing in a rice field, if you can describe it in words, you can make it real.

In contrast, visual media has the benefit of “if you shoot it, it becomes real,” but it also comes with constant constraints: Where can you shoot? How can you shoot it?

Take everyday scenes in TV dramas—train stations, inside train cars. We see them so often that we forget how difficult they are to film. In reality, capturing such scenes is nearly impossible for indie creators.

Commercial films often rent entire train cars or build realistic sets, but these options are far too expensive for DIY filmmakers.

Choosing Realistic Filming Methods and the Limits of Guerrilla Shooting

In the past, even commercial productions sometimes relied on guerrilla shooting for low-budget projects. Today, many still think, “Why not just shoot it without permission?” But I don’t recommend this.

Even if it doesn’t cause direct harm, the social atmosphere today is less forgiving. People are less likely to overlook such actions.

Still, I always want to bring my script’s imagery to life. That’s why I turned to green screen shooting and chroma key compositing using stock footage.

Practical Compositing Techniques for DIY Filmmaking: A Train Scene Example

Let me share how I created a train interior scene.

I used a decommissioned Blue Train car on display in a local park. It’s freely accessible, so I waited for quiet moments and took photos from various angles.

There are only a few “usable compositions” for standard shots, so I focused on capturing those efficiently.

Two Key Tips for Efficient Shooting:

  1. Shoot wide and in high resolution. This lets you skip close-up shots—you can simply crop during editing.
  2. Shoot video instead of stills. Matching the angle between background and subject is crucial. Since you’re estimating based on a monitor and reference photo, mismatches happen. Shooting video allows you to extract the perfect frame later, reducing errors.

Simulating Motion and Reusability

To simulate a moving train, I composited footage of scenery taken from a moving car. Even slow-moving photos can work if composited carefully.

This flexibility means the train interior footage can be reused across multiple projects. The more you reuse it, the more the original cost gets divided—making each scene cheaper.

It’s like having your own train studio. You can write train scenes freely, without worrying about logistics.

Of course, compositing takes effort, and sloppy work can break immersion. Skill development is essential. But overall, this technique offers a powerful way to recreate your vision affordably and flexibly.

Hope this helps your creative journey!

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