466_批判ブームの落とし穴・SNS時代に満足感を奪う「脳の錯覚」
SNS時代に広がる誤解
XをはじめとするSNSでは誰もが自分の考えを発信できるようになりました。
これは素晴らしい自由である一方、ネガティブな発信が簡単にできるため、目に余るような批判投稿が氾濫する場にもなっています。
特に「人気のある人や作品を批判することで、意識が高い人だと思われる」という誤解が広がっています。
これは、正義感を持って巨悪に意見するという美徳が根底にあるように思います。
でも、その多くは人気者への妬みや嫉妬と無関係ではないはずです。
「自分は圧力に屈せず、思ったことを言えるよ」と誇示したい気持ちは分かりますが、ではなぜ、圧倒的にネガティブな意見が多いのか。
要は、「悪口」は言うのも拡散するのも簡単で、ほとんど条件反射的に出来てしまうからです。
厄介なことに、その時に疑似的な優越感・快感を脳にもたらしてしまう、という現象も起きます。
こうした背景が重なり、「批判」が「知的なこと」「必要なこと」と誤解されてしまうのです。
批判のための批判には価値がない
大前提として、「批判のための批判」には価値がありません。
特にエンタメの創作物については、自分の価値観に合わず、観たくない作品であるなら、無視すればいいんです。
「多様性の時代」などと言われる以前に、当たり前のことですが、人の価値観や嗜好はさまざまです。
私も大嫌いな映画などが存在はしますが、それを絶賛する人も多いことを知っています。
だから、わざわざ率先して「この映画はひどいから見ない方がいい」などという浅はかなことは言わないんです。
「時間の無駄だ」「不愉快になる」といった感想は、親しい相手に伝える程度なら参考意見になります。
しかし、無関係な第三者に広めることは、その人が偏見なく作品を楽しめる未来を奪う行為になりかねません。
たとえ「これは私見です」とことわったとしても、無名の発信者が言うべきことではないと思います。
百歩譲って、「創作者」であれば、対抗意識をエネルギー源にするために、ライバルを批判する手法は認められるかもしれません。
昔、ボクシングの辰吉丈一郎選手が、試合前に対戦相手の悪口を言う理由として「何の恨みもない相手、しかも自分と同じように毎日一所懸命にボクシングの練習をしてきた相手と殴り合わなきゃいけない。せめて悪口を言って、嘘でも嫌いにならないと戦えない」と告白していました。
これと同じように、モチベーションを高めるためや、アンチテーゼを方向性として認識するために「批判」を利用するのであれば、否定するものではありません。
改善案を伴う批判は有効
また、ある作品に対して、「改善案を伴う批判」をすることは、訓練としても有効です。
完成した作品に対する「改変」を過度に嫌う風潮がありますが、私は思考実験として「他人の作品」を改変して、自分の考える理想形に近付けることはとても効果的だと思います。
分かりやすい例でいえば、
- アクションシーンが長すぎるから短くする
- 編集でテンポにメリハリを付ける
- 評価を下げている場面をカットする
という感じです。
これも、忘れてはならないのは、恐らくは元の創作者も同じ課題は感じていたという事です。
特に商業作品にはさまざまなしがらみや制約がありますから、純粋な面白さだけを追求できない事情があることを考慮しないと、改善策を出している自分が偉くなったような錯覚に陥りますから注意してください。
創作者にとっても鑑賞者にとっても、究極の目的は「創作によって楽しんで満足感を得ること」です。
批判・悪口による偽の高揚感は「脳のバグ」だと思ってください。
「面白い」と思った作品はそのまま味わって楽しめばいいのは言うまでもありません。
「面白かった」という感想はSNSで大いに発信して良いと思います。
私も、他の人の好意的な評価がきっかけで、それまで見る機会が無かった作品を発見して楽しめることが多いので、いつも感謝しています。
仮に価値観が違っていても、「私はつまらなかった」とわざわざ言う必要など無いんです。
好みが違うのは当たり前ですし、無名の私が発するネガティブな感想などSNS上には不要です。
「この作品はつまらない」と思ったときに、とるべき選択肢は、
- 意識の外に追いやって忘れてしまう
- 改善視点を持って別の楽しみ方をする
の2つではないでしょうか?
その方が、あなた自身の時間も満足感もずっと豊かになります
この記事が、あなたの「最初の一歩」の背中を押せたなら、ぜひシェアしていただけると嬉しいです。

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