映像の失敗をAIで救う:プロも悩む“繋がらない映像”を自然に修正する方法

AIは“派手な映像生成”だけじゃない。撮影現場で起きがちな“繋がらない映像”を救う、実践的な使い方を解説します。

 

映像制作において「繋がらない映像」はよくある失敗のひとつです。

最近は「映像の繋がり」を重視しないスタイルの作品も多くなっているので、「繋がらない映像」の意味が分からない人もいるかもしれません。

例えば、登場人物が画面中央にいて、カメラの方を見て演技をしている長々とした映像だけで終わるシーン。

 

AIで「まるで映画のよう」と言われる映像にはこういう映像がとても多いんです。

確かに映像は実写そっくりでも、映像の形は古いロールプレイングゲーム画面のようで、場面を丁寧にカット割りして、空間の状況や人物の感情を表現するオーソドックスな映像でないと、私は「映画のよう」とは思えません。

繋がらない映像とは何か

近年注目される映像生成AIは、実写と見分けが付かないようなリアリティで架空の映像が手軽に作れる、凄い技術です。

そのレベルはまさに日進月歩と言う感じで進化しています。

 

一方でこの新しい技術には賛否両論があります。

新しい技術に拒否反応を示して、「昔ながらの映画こそあるべき姿」という懐古主義の意見は無視して良いとして、AIで生成した映像には重大な弱点があります。

それは、いくら素晴らしい映像を作ったとしても

「どうせAIでしょ?」

「AIなら簡単にこういうリアルな映像ができるんだね」

という具合に、逆に「安っぽい映像」に思われてしまう傾向があるんです。

これはCGが登場したときにも言われたことですが、CGよりはるかに「賞賛の期間」が短い印象があります。

 

安っぽい映像に思われる理由の一つは、その使い方にあります。

CGが普及したときも同じことが起きました。

分かりやすい例を挙げれば、3Dのデータを利用して、無駄にカメラの位置をグルグル移動させてしまいがちです。

 

これは従来の映像合成では表現できなかったので、画期的な映像ではあるんですが、ゲーム画面のようで、やはり安っぽいんです。

私は常々、CGは前面に出すのでなく、もっと控えめな使い方をした方がいいと思っています。

 

生成AIの動画も同様で、よくあるような「こんな映像を作りました!凄いでしょう!」という使い方は、すでに子供にも飽きられ始めています。

映画のような作品の中では、興ざめになってしまって、もう使えないかもしれません。

 

生成AI映像の最強の使い方の1つは「繋がらない映像の補修」だと考えます。

繋がらない映像とは何か:編集で起きる典型的なズレと原因

映像が「繋がらない」とはどういうことか。

初めに言ったように、ゲーム的な映像で良いのであれば、そもそも映像に繋がりは必要ないんです。

あるいは、演劇的に1シーン1カットの映像でも、映像に「切れ目」がありませんから「繋がりそのもの」が存在しません。

 

ここでいう「繋がり」は、1つのシーンを複数の映像に分割して表現するときに発生します。

 

  • その場の全体の映像
  • 登場人物の2ショット
  • 人物の顔のアップ

 

のように、色々なサイズや違う向きの映像を組み合わせることが、ある意味、映像作品の醍醐味です。

そのとき、あたかも物事が一連の流れで起きているように錯覚させるため、「繋がりの自然さ」を考慮して映像設計をするわけです。

 

ところが、実際に撮影映像を編集すると、「繋がらない映像」が出てきます。

 

例えば、私の好きな「燃えよドラゴン」という作品でも、気になってしまう場面があります。

クライマックスの大乱闘直前の場面で、敵と戦おうとしたブルース・リーがもう一人の主人公であるアメリカ人に止められて、一歩下がります。

そのとき、カメラが切り替わるとブルース・リーが急に腕を組んでいるポーズに変わります。

理屈からすれば、必ずしもリアルタイムでカメラを切り替えた場面を表現してはいないとも言えるわけで、間違いとは言い切れませんが、流れではやや不自然に感じてしまいます。

 

有名なところではチャップリンの「街の灯」という名作のラストシーン。

主人公チャーリーとヒロインの顔が交互に切り替わるとき、チャーリーの顔のアップでは白い花を口の近くに持っているのに、後姿でヒロインの顔を映しているときは手は胸辺りにある、という食い違いがあります。

 

撮影現場で多くのスタッフがチェックしていてもそうなのですから、私たちの少人数・低予算の撮影では危険度はもっと上がります。

 

また、編集して流れを見たときに、当初の予定を変更して途中をカットした方が良いと判断する場合もあります。

その時は、「作品の流れ」を重視するか「映像の辻褄」を重視するかの選択をするわけです。

流れを重視した場合は、多少、辻褄が合わないところには目を瞑る、という決断をしたわけです。

 

観客が「監督ならこれくらいのチェックはしろよ」と偉そうに批判している、「辻褄の合わない映像」のほぼ全ては、当然チェックして破綻箇所も確認した上で、それでもその映像を選択する、という決断をした結果なんです。

AIで繋がらない映像を補修する具体的な方法

その葛藤を緩和させるのに生成AIを使おうというのが今回の提案です。

例えば以下のような活用法がありそうです。

 

  • 辻褄合わせのため、2つの映像の間に挟む別映像を生成する
  • 不具合の原因要素であるポーズなどをAIで修正する
  • 繋がっていない2つの映像を連結生成する

 

辻褄が合っていないことが目立つ理由の一つは、連続する映像のサイズやカメラの角度が似通ってしまっていることです。

2つの映像が似ているため、間違い探しの2つの絵のように比べ安い状態になってしまうわけです。

例えば、生成AIならではの機能を使って、「引きの映像」を作って挟むことで改善が期待できます。

 

撮影済みの映像を使って、手の形のポーズを変更するのも、有効でしょう

 

2つが繋がっておらず、しかも映像も似てしまっている場合は、思い切って2つの映像を連結するような形も有効かもしれません。

手のポーズが違う場合、ポーズを変えながら次の映像に変化させれば、辻褄は合わせられます。

これは生成AIの機能ならではの使い方です。

 

これらに共通するのは、動画生成AIの機能を「これ見よがし」に使っていない事です。

CGと同じですが、生成AIをどこに使っているのか分からないような使い方が理想だと、私は思います。

 

私自身は、現在、無料で使える動画生成AIツールを時々触って、実験だけしている段階ですが、特に「映像修復の道具」として使えるようになりたいと思っています。

もし、作品の中に活用するような種類の生成AI映像を作ってみたい、という方は、是非、私の主催するDIY映画倶楽部で情報交換をしてはいかがでしょうか?

 

この記事が役に立ったと感じたら、ぜひSNSでシェアしたり、映像制作仲間にも教えてください。あなたの一言が、同じ悩みを持つクリエイターを救うかもしれません。

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