低予算映画の魅力と可能性
面白い映画を作るにはお金が必要なのか?
初めにお話しておきますが、私は特に怪獣映画が好き、というわけではありません。
このサイトの作品集ページを見ていただいても分かる通り、ジャンルにこだわりはありません。面白いと思えるものが好きなだけです。
ただ、昔から感じていて、年々、確信が強くなっていることがあります。
それは、「面白さと制作費は全く比例しない」ということです。
特に近年は、CGなどを活用することで、莫大な費用を節約することが出来ますから、「大作映画ならではの画面の豪華さ」は、擬似的にですが、安価に表現できます。
もちろん、「眼の前にある実物を映像に収める」というタイプの贅沢な映画に比べ、「小規模な映像を合成することで画面を成立させる」という低予算映画の画面には、一定の差はあります。
しかし、低予算映画の弱点は、「大作映画が醸し出す本物感が出せない」という、非常にレベルの高い、ニュアンス的な部分だけではないでしょうか?
その証拠に、
- この作品は低予算だけど面白い
というものはありますが、
- この作品は面白いけど、低予算だから魅力が半減して残念だった
というものは見たことがありません。
逆に、
- 大金をかけているんだろうけど、つまらん
という作品は、いくらでも思いつきます。
つまり、クリエイターが追求すべきは「面白さ」であり、「少しでも多くの制作費」ではないということです。
そこで私は、「低予算映画の帝王」と言われる、ロジャー・コーマンを再評価すべきと考えているのです。
ロジャー・コーマンは映画プロデューサーとして300本以上の映画を作り、数十本の作品の監督もしています。
粗製乱造のイメージを強く持たれていますが、自伝『私はいかにハリウッドで100本の映画をつくり、しかも10セントも損をしなかったか』にある通り、作品群には、エンターテインメントとしての、一定の魅力が備わっています。
「デスレース2000」
面白さ最優先でさらにコストを下げるアイデア
現代は、映像作品を完成させるためのコストが、極めて少なく抑えられる時代です。
フィルムのような高額な消耗品を必要としないビデオカメラで撮影する上、編集などの作業に、専門の機械が不要です。
汎用的なパソコンに編集ソフトをインストールすれば、商業映画と同じレベルの編集が出来てしまうからです。
これだけでも、充分に低予算で作品を作ることは出来ますが、私は、低予算映画の魅力の一つは、「量産」にあると思っています。
よく出来た一つの作品は、同じ作者の、他の作品の宣伝にもなるので、制作側としては相乗効果が期待できます。
観客としても、面白い作品を見たあと、一定品質の作品群があるとすれば、楽しみが続きます。
そのために私は、従来型の、「一般商業映画のやり方」にこだわらない映画制作法を追求します。
従来型の低予算インディーズ映画は、人件費の安さが制作費の安さになっているだけで、製作時の苦労そのものは一般商業映画と何ら変わりがないからです。
これでは、「面白い脚本」を多数確保できたとしても、映画の量産は体力勝負になってしまい、続かないことは目に見えています。
そこで私は、作品に必要な映像を、徹底的に分解して考え、効率を優先する撮影法・編集法を採用しようとしています。
具体的には、「グリーンバック撮影」と呼ばれる画面合成を前提とした撮影を多用して、撮影期間の極端な短縮化を図るということです。
その実験を兼ねて、1本の短編映画を作りました。
ごく普通のドラマにしても良かったのですが、映像の多様性をどこまで表現できるのかを考えたとき、最適と思われたのが「モンスター映画」です。
B級モンスター映画の魅力とは?
そもそも、「映画」と一口に言ってもジャンルは様々です。それぞれのジャンルにファンはいますし、私自身、特定のジャンルだけが好き、というわけではありません。
でも、その中でも、「B級モンスター映画」と言われる映画は、映画らしい楽しさが詰まっています。
古くはストップモーションの神業的映像が楽しい、「シンドバッドシリーズ」やリアルなSFである「エイリアン」、秀作「ジョーズ」なども、広い意味ではB級モンスター映画です。
「この映画のジャンルは何か」ということを堅苦しく定義する気はなくて、私は、現実とどこか地続きの「異世界」が舞台になっていて、そこに棲む強いモンスターと主人公が闘う映画を、ひとまとめに「B級モンスター映画」と捉えています。
こういう、やや荒唐無稽の度合いが強い映画は、「映画ならでは」の魅力を発揮できるジャンルです。「映画ならでは」というのは、「画面で表現できる」ということです。
実際には別の場所で撮影したり、ミニチュアだったり、カメラに映っていない部分ではスタッフが四苦八苦していても、「画面の中」では独特の世界観が構築されている、ということです。
特に、編集によって、別々に撮影された映像が一続きになるのは、舞台演劇などにはない魅力です。B級モンスター映画は、実際に存在しないモンスターと共演できるという意味で、とても楽しいジャンルです。
手始めに「B級モンスター映画」から製作しましたが、和製ロジャー・コーマンを目指し、さらに手法を改善して、様々なジャンルの作品に挑戦していく予定です。
新手法の紹介は書籍等で
モンスターは、多くの場合、撮影用の作り物です。
私は、その工作も好きなので、今回は、オリジナルB級モンスター映画を作る一環として、モンスターやミニチュアセットの工作も行なっています。
そのメイキングの様子は、電子書籍
「7日間で作る ミニチュア特撮映画入門超低予算手作り映画入門」(unlimited読み放題対象)
で紹介しています。
書籍の予告編はこちらです。(書籍タイトルは旧バージョンです)
や後に出てくる、ブログの記事で紹介しています。まずは、完成したショートムービー「暗黒魔獣ワニガメイーター」の予告編をご覧ください。
今回は、この自主映画を作ることと平行して、誰でも手軽にこの映画に主演できる仕組み「映画主演キット」も同時に作りました。
前代未聞の「映画主演キットVol.1」
映画の中の、主役登場部分だけ空欄になっていて、後からご自分の撮影シーンを合成すると、主演映画が完成してしまうという、他に例の無い映像キットです。
主役のシーンは室内でグリーンバック撮影で行ないます。時間はわずか半日。撮影に慣れた方なら3時間弱でクランクアップします。
「映画主演キットVol.1」はこちらから販売中です。
サンプル版本編映像は完全無料で、今すぐ全編(12分)をお楽しみいただけます。下記フォームからご登録ください。動画のURLが返信されます。キットを使えば、あなたがこの主人公です。
あなたも映画制作集団の仲間になりませんか?
映画を作るためには、「あらすじ」「脚本」「絵コンテ」「演技」「撮影」「編集」「音楽」などなど、多くの作業が必要です。
私は、遠隔地に住む人同士が連絡を取り合って、一つの作品を作り上げていくことも出来ると考えています。
あなたも、ご自身が興味のある分野で、創作活動に参加してみませんか?
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