ブラックジャック・呪いの人面瘡(じんめんそう)
1996年制作 MVG第3回作品 25分
言わずと知れた、手塚治虫原作の漫画「ブラックジャック」の実写版。
私は子供の頃からこの原作が好きで、映像を作るようになったら一度やってみたかったのです。
企画当時は、いい目の付け所だと思ったのですが、制作中、急に巷ではブラックジャックブームの様になってしまい、文庫本が新しく出るわ、宝塚でも上演されるわ、という風潮になってしまいました。
結果、ブームに便乗して作ったように思われてしまうのは残念ですが、自分の狙った、「怪奇マンガとしてのブラックジャック」の雰囲気は、後のテレビドラマやアニメよりも出せたかと思います。
ストーリーは原作にあった「人面瘡」という話のヒトコマから膨らませた、オリジナルのものです。
ただ、この作品も一般公開を想定していなかったため、題材もさることながら、BGMも既存の映画やドラマのものを使っていて、権利の問題で公開できません。
写真と解説でのみお楽しみください。
ご要望が多ければ、BGMをフリー音源に差し替えたバージョンを作成して、公開するかもしれません。ご意見をお寄せください。
淀川田長治朗のストーリー解説)
はい、みなさん今晩は。
今日は怪奇映画をご紹介しましょうね。
「ブラックジャック・呪いの人面瘡(じんめんそう)」。
人面瘡って何でしょうか。はい、これは古い記録や言い伝えに出てくる病気というか怖いデキモノのことですね。
そのデキモノが体にできると、だんだん、だんだん、デキモノが人の顔のようになってきて、やがて、そのデキモノが勝手に口をきいたりするようになるんですね。しかも、そのデキモノ、切っても切ってもまた、おんなじモノが生えてくるんですね。怖いね。
ある、病院の手術室で、一人の医者が手術しとります。何か分からないけれども、難しい心臓手術なんですね。
その医者は、神がかり的な技で、手術を成功させます。はい、この男が、謎の天才外科医・ブラックジャックなんですね。
患者は、横取といって、ブラックジャックの知り合いの女医・早苗の夫でした。
一方、ブラジルで成功したマクベという実業家の男が、奇病の治療のため帰国しています。
この男も、執刀医にブラックジャックを指名してるんですね。
ブラックジャックは、マクベの家を訪ねます。
すると、男は狂ったように、自分の膝をガラスの瓶かなんかで叩いてるんですね。完全に正気を失ってるんです。ブラックジャックは、男の後ろから羽交い締めにして、ザクッと注射を突き立てます。鎮静剤ですね。
お落ち着いたマクベは、ブラックジャックに自分の秘密を話し始めます。
実は、自分の成功は、そこにある、南米に伝わる古い干し首の力を利用して得たもので、その成功と引き換えに、自分に人面瘡の呪いが降りかかった、というんですね。
ブラックジャックは呪いの話を笑い飛ばします。「お前さんの病気は、怪しげな薬物中毒が原因で、単に腫瘍が悪化しているだけだ」と説明します。
ところが手術の日、ブラックジャックは不思議な夢というか幻を見ます。それは、今、切り取ろうとしているデキモノが目を開け、口を開けて、念力か何かでメスをねじ曲げたりして手術を邪魔する夢なんですね。