特撮映画としての「恐竜の島」

特撮は物語があってこそ映える

今回は、1975年のイギリス映画「恐竜の島」(原題:The Land That Time Forgot)を紹介します。

原作は、エドガー・ライス・バローズのSF小説「時に忘れられた世界」。

 

古い映画の再販をしているメーカーがあって、そこから、日本語の吹替版も入っているDVDが発売されたので、久々に見たくなり購入しました。

改めて見てみると、色々とよく出来ていました。

 

まずは、ストーリー。

第一次大戦下、ドイツの潜水艦・Uボートが連合国の輸送船を攻撃して沈没させます。

救命ボートで漂流していた主人公たちは、浮上してきたUボートを発見して乗り込み、敵の隙を付いて乗っ取ります。

そのままイギリスの港を目指そうとするものの、ドイツ軍のUボートにアメリカ人やイギリス人が乗っていることは知られるはずもなく、味方である連合国の軍艦に攻撃され、仕方なく逃亡します。

 

すんなりとイギリスに向かわせないため、ドイツ兵がコンパスに仕掛けた細工によって、Uボートは大きく進路を誤り、氷山だらけの北極海で漂流することになります。

水や食料が尽き、絶体絶命になったとき、目の前に、船乗りの間では伝説として知られる「未知の島」が現れます。

一縷の望みを託して、危険な海底トンネルを抜け、島の内部を流れる川を遡るUボート。

 

島に上陸すると、そこは火山性の地熱によって太古から温暖な気候が保たれた別世界でした。

その島には原始人とともに、恐竜も生き残っていたのです。

 

島の中に天然の油田があることを知った一行は、休戦協定を結び、協力して石油を精製して燃料を作り、島から脱出するために共同生活をすることになります。

しかし、やがて火山が爆発しはじめ・・・

というストーリー。

 

各種の恐竜をはじめ、別世界を表現するための「特撮」は素晴らしいのですが、それ以前に、ストーリーがしっかりしていて面白いんです。

B級モンスター映画の多くは、正直、見ていられないものが多いです。

「特撮によって映像的な面白味さえ出せば、登場人物の行動に説得力がなかったり、ストーリーが破綻していても成り立つ」と勘違いしているのではないでしょうか?

 

「恐竜の島」は昔、テレビで良く放送されていましたから、特撮の印象はよく覚えています。

特撮で最も難しい、水を絡めた船のミニチュアシーンも、「サンダーバード」のスタッフが参加していることもあって、非常にリアルでよく出来ています。

主にミニチュアで表現した、異世界とそこに住む恐竜にもリアリティがあります。

 

しかし、改めて見てみると、恐竜をはじめとする「特撮」は、あくまでも「背景」という扱いです。

「特撮」は「背景扱い」された時に、最も効果を発揮する、良い例だと思います。

大事なのは騙そうとする本気度

この映画はイギリス映画です。

同じ時代に、アメリカでは、映像の魔術師・特撮の神様と呼ばれた、レイ・ハリーハウゼンが、ストップモーションの技術を駆使した傑作を次々と発表しています。

面白いのは、「見せ方」が大分、異なる点です。

 

ハリーハウゼンの映画では、模型の怪物が、戦っている最中に荒々しく呼吸している様子までリアルに表現しています。

その圧倒的なリアリティーを武器に、比較的「じっくりと長く」1つの特撮映像を見せる傾向があります。

「造形」と「動きのリアルさ」で、ミニチュア怪物が、本当に生きていると思わせる力があるのは確かです。

 

それに対して、「恐竜の島」では、人が手を入れて動かすタイプの「リアルマペット」で恐竜を表現しています。

基本的に「映像合成」をあまり使わず、恐竜も俳優の一人として撮影しているため、カメラワークとカット割りの巧みさで、リアリティーを出す方針が見て取れます。

 

具体的に言うと、構図や、映像のカットのタイミングが絶妙なんです。

模型のアラを観察される直前で、丁寧に短くカットして別の映像に繋げることで、「模型であること」を本気で隠そうとしている姿勢、映像の仕上げに対する意識の高さを感じます。

 

例えば、恐竜のようなモンスターを特撮で表現する場合、やってみると分かりますが、足元の見せ方が難しいんです。

重量感が出なかったり、文字通り、地に足がついていないように見えたり。

 

恐竜の島では、恐竜の足元は一切、見せません。

草や岩で足元を隠すことで、チャチに見える危険があるショットは、徹底的に避けています。潔さすら感じます。

 

それに対して、やや後の時代に量産される、日本製の「着ぐるみ」手法を使った怪獣映画の最大の問題は、「特撮であることを本気で隠そうとしていない」点にあるのではないかと感じます。

 

日本製の怪獣特撮映画のミニチュア造形は、世界トップレベルだと思います。

ところが、どうしても日本の怪獣映画はチャチに見えてしまうのは、意識のどこかで「良く出来た模型であること」を主張しすぎているからではないでしょうか?

これも、自分で作品を作ると分かりますが、良く出来た特撮シーンは、特撮と気付かれずにスルーされてしまうんです。

それが最高の状況、成功状況と分かってはいるものの、気付いてもらえないことにどこか寂しさを覚えてしまう事があります。

 

「良く出来た模型だなあ」と気付いてもらいたい深層心理が、映像の表示時間を微妙に長くしてしまうことは無いでしょうか?

本気で、模型であること、特撮であることを隠して、観客を騙そうと思っていたら、構図も変わり、映像の表示時間はもっと短くなるのではないでしょうか?

 

実際に、怪獣がミニチュアであることを隠すのは不可能です。

状況的に考えて、本物を撮影していないことは、大人なら知ってしまっているからです。

大事なのは、「本気で隠そう、騙そうとする姿勢」です。

その姿勢が、映像をチャチに見せる瞬間を少なくさせ、「特撮」と気付いている観客も楽しませる秘訣ではないでしょうか?

 

私も、作品ではストーリーを重視することはもちろん、

  • 本編では、ひたすら観客を騙して楽しませる
  • 「良く出来た模型」アピールは、「メイキング映像」や「資料」で発信することで満たす

という事を心掛けたいと思います。

 

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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