低予算映画で魅力的な構図を作る武器は合成映像：合成用素材撮影のコツ
エンタメ作品に必須の画面デザイン
映画にはいろいろな種類のものがあります。
例えば、ドキュメンタリー。
ドキュメンタリーは、構成だけ決めておいて、インタビューなどはある程度実際の自然な会話を使うのが基本です。
最優先されるのは「発せられた言葉」で、「良いコメント」が撮れたときに、映像的には面白味のない画面になったとしても、例えば「途中アップにしたいので、もう一度同じ話をしてください」ということはしません。
どんどん不自然になって、せっかくのリアリティが無くなるからです。
一方で、一般なエンタメ作品では、出来るだけ「映像の魅力」というのも人工的に作り出すことが有効です。
「ただ撮影するだけ」で、イメージ通りの映像になるのであれば、もちろんそれに越したことはありません。
でも、大抵の場合、設定やイメージに合わないものが映り込んだり、何かを加えた方が雰囲気が出る、という状況になります。
従来の映画作りであれば、カメラから見たときに理想的な状態になるよう、さまざまな小道具、大道具を用意して配置するのが、当たり前の手法でした。
もちろんこれが出来るのであれば理想です。
でも、映画は舞台演劇とは決定的に違います。
必ずしも、その場に馬鹿正直に小道具大道具を揃えるだけが選択肢ではないんです。
「映像」はそもそもトリックです。
撮影現場の状況がどうであれ、観客が鑑賞するのは「画面」です。
実際には寒くて仕方のない季節に撮影しても、役者が薄着をして団扇で暑そうにあおぎ、蚊に刺されたようなリアクションをすることで、その場面を「夏」に見せるのが、映像の醍醐味です。
それに加えて、撮影現場、つまり、カメラの前にな無かったものを、最終的に映像の中に合成して、より効果的な画面に作り替えることが出来るのが、映像ならではの特徴です。
せっかく「映像」を使った創作なのですから、このトリックを活用した方が楽しいと思いませんか？
映像合成は画面デザインの強い味方
私は積極的に映像合成を活用して、低予算映画ならではの「画面の貧しさ」を克服しようとしています。
しかし、多くの映画マニアや関係者からは不評です。
- 映画たるもの、他の要素を削ってでも、カメラの前に映るものは配置しろ
- 映像加工の小手先で画面を作るのは邪道で嘆かわしい
というのがその主張です。
これは、価値観が根本的に異なるので、理解しあうことは出来ないでしょうし、お互いの価値観を押し付けるべきではありません。
ただ、はっきりしていることは、「こういう画面にしたい」という理想をできるだけ忠実に形にしようとしたとき、「カメラの前の状況を整える」という「旧来の方法」ではコストが掛かり過ぎるということです。
時間にも資金にも制約がありますから、「王道のやり方」にこだわっていたら作品が形にならないんです。
仮に邪道だとしても「映像合成」を上手く活用すれば、少なくとも資金面などを気にせず、イメージに近い映像が目の前に再現できるんです。
私にとってこれは、夢のような状況なので、専門家や映画マニアに批判されようが、方針を変える気はありません。
映像合成の利点はスケールを無視できる事
例えば、あなたの作品で、部屋の中に大きな柱時計がある設定にしたいとします。
従来の映画や舞台演劇では、実物大の柱時計を用意しなければいけません。
ところが、「映像の中でだけ大きな柱時計が存在すればいい」と割り切って、映像合成の選択肢を採れば、その柱時計は小さなミニチュアでもいいんです。
光の状態に注意して、丁寧な合成作業を心掛ければ、恐らく観客にはミニチュアの映像合成と感じさせず、登場させることが出来るはずです。
同様に、「画面の中に合成するとそれらしいリアリティが出るもの」を、ミニチュア模型として用意しておくと、とても有効だと思います。
例えば「籠の中に積んだミカンのミニチュア」などがあれば、それを室内シーンに合成することで、季節の設定を強制的に「冬」に見せる事ができます。
顕微鏡や実験装置のミニチュアを用意しておくと、実験室の場面を作るのに役立つでしょう。
これらを実物大のダミーではなく、ミニチュアで用意する理由は、主に保管スペースが少なくて済むからです。
また、自家用ジェットやとんでもない高級車の模型を合成すると、それらのオーナーという設定の人物を表現するのに有効です。
ミニチュアはそれ自体、見ていて楽しいですし、完成映像の中で何食わぬ顔で実物として合成されているととても痛快で、私は楽しく感じます。
合成素材として使える対象をストック撮影しておく習慣
私は、そもそも模型工作が好きで、その工作物を映像に出したくて映画作りを始めたようなところがありますから、やたらとミニチュア模型を使ってしまいますが、もちろん、ミニチュアを作らなければいけないわけではありません。
柱時計の例で言えば、実物の柱時計の持ち主に頼んで、写真撮影をさせてもらい、その画像データを加工して合成してもいい訳です。
旅行先で古いタイプの赤ポストを見つけたら、撮影しておいて、自分の作品にうまく合成する、ということも出来ます。
ただ、いくつかの点に注意しないと、せっかく撮影した写真も合成できなくなります。
今回はそのポイントの一部をお伝えします。
合成できない写真にならないように
厳密にいうと、２つの映像を合成するためには
- カラーバランス
- 光が当たっている角度
- カメラの角度
- レンズの種類と距離
が揃っていないと、合成映像は不自然になります。
「カラーバランス」については、編集時に調整するので、それほど問題ではありません。
意外かもしれませんが、「光が当たっている角度」も、背景と合成する対象で食い違っていても、実はあまり気になりません。
これは、「合成写真」としてじっくり見れば、もちろんおかしいのですが、映像の中に登場する時間は、通常は数秒間です。
その短時間なら、観客を騙しやすい、という事のようです。
（もちろん、可能であれば光が当たっている角度も合っているのに越したことはありません）
ただ、「この映像に合成する」という前提で合成素材を撮影する場合であれば、光の角度を背景映像に合わせる努力も出来るかもしれませんが、「合成素材のストック」として撮影する場合、どの映像に合成するかは、まだ決まっていないのですから、色々なパターンで撮っておくしかありません。
古いポストのように、動かせない対象の場合、光の角度は変えられません。
カメラマンが位置を変えて、ポストが順光・逆光・半逆光などの状態になるように撮影します。
合成時、光の角度を優先するか、ポストの見せたい面を優先するか選択します。
注意すべきは、「カメラの角度」と「レンズの種類と距離」です。
ポストの合成を例に説明します。
古い商店の建物を背景に、人物の演技を撮影していたとします。
その映像に、アクセントとして「赤いポスト」を合成すると思ってください。
カメラの角度とは、見下ろして撮るか、水平に撮るか、見上げながら撮るか、ということです。
これは、カメラの高さによって変わります。
高い位置から撮影していればカメラはやや下向きになりますし、低い位置から撮影すれば、カメラはやや上向きになります。
重要な事は、背景を撮影した時と似たような角度でポストも撮影しないと、上手く合成できないということです。
ポストを撮影する際、どんな映像に合成することになるかは分からないので、色々な高さから撮影しておきます。
仮に、具体的に「この背景映像に合成する」と分かっていても、別の作品でも流用できるように、やはり、色々なパターンで撮影しておいて、ストックすることをおススメします。
私は、撮影を動画で行います。
ある一か所に立ち、カメラを頭より高い位置に構えてから撮影を始めて、そのままカメラをゆっくりと下げ、最後はしゃがみながらポストをやや見上げる角度まで一連で撮影します。
合成写真を作るときに必要なのは静止画です。
合成用の画像は、編集時、ちょうどいい瞬間を動画から選んで、静止画書き出しをしてポストを切り抜いて合成します。
同じように写真を複数枚撮っておいても良いのですが、大抵、編集時には「この写真とこの写真の中間の高さのものが欲しい」ということになりがちです。
動画であれば、角度や位置の中間状態の静止画を大量に書き出せるので、選択肢が多くなります。
一か所につき数秒しか時間は掛かりませんから、録画しっぱなしでポストの周囲立ち位置を変えて行なえば、
- 光の角度違い
- カメラの角度違い
の映像が一度に撮れます。
「レンズの種類と距離」については、揃えるのは至難の業です。
レンズの種類というのは、広角なのか望遠なのか。
距離というのは、近くから撮るか離れて撮るかです。
ここでは、厳密な意味で、レンズの種類や距離を合わせる、という難しいことは諦めて、より実用的な「著しく不自然にならないように心掛ける」という程度のコツをお伝えします。
結論から言うと、合成する物は、ある程度離れて、その形に歪みが出ないようにして撮影するようにします。
ポストを近くで撮ってしまうと、頭の部分は大きく、土台の部分は小さく、遠近感が出た、歪んだ写真になると思います。
基本的に、こういうゆがみ（パース）が付いている写真は、ほぼ、合成には使えないと思ってください。
もし、合成する背景映像自体が歪んでいて、ポストも同様の歪みが無いとうまく合成できない場合は、「編集時、必要であれば画像をゆがませてごまかす」という方法をおススメします。
歪んだ映像から歪みのない映像に加工することは出来ませんが、逆は比較的それらしく見え、数秒間であれば観客を騙すことが出来るからです。
この手法をマスターしておくと、ちょっと出先で見つけた面白いものなど、すぐに使い道は思いつかなくても合成用の素材として撮影しておくことで、後の創作活動のコストが下がります。
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Screen design essential for entertainment works
There are many types of movies.
Documentaries, for example.
With documentaries, the basics are to decide on the structure only, and use actual, natural conversations to some extent for interviews and the like.
The first priority is the “words spoken”. Please do not.
This is because it becomes more and more unnatural and loses its reality.
On the other hand, in general entertainment works, it is effective to artificially create the “charm of images” as much as possible.
Of course, there is nothing better than “just shooting” if the image is as you imagined.
However, in most cases, things that do not match the setting or image will be reflected, or adding something will bring out the atmosphere.
In conventional filmmaking, it was common practice to prepare and arrange various props and sets in such a way that they would look ideal when viewed from the camera.
Of course, it would be ideal if this was possible.
But movies are definitely different from stage plays.
It’s not always an option to just have a ridiculously honest set of props and props on the spot.
“Video” is a trick in the first place.
Regardless of the situation at the shooting site, what the audience appreciates is the “screen”.
Even if it is actually cold and unavoidable, the actors wear light clothes, fan themselves with fans, and react as if they were bitten by mosquitoes. , is the real thrill of video.
In addition to that, it is a feature unique to video that it is possible to combine things that were not in front of the camera into the final image and create a more effective screen.
It’s a creation that uses “video”, so don’t you think it would be fun to use this trick?
Video synthesis is a strong ally of screen design
I am actively using video synthesis to overcome the “poor screen” that is unique to low-budget films.
However, it is unpopular with many movie enthusiasts and people involved.
- For movies, put things in front of the camera even if you cut other elements.
- It’s deplorable to make a screen with the tricks of video processing
That is the claim.
Since our values are fundamentally different, we will not be able to understand each other, and we should not impose our values on each other.
However, what is clear is that when trying to make the ideal “I want to make a screen like this” as faithfully as possible, the “old method” of “preparing the situation in front of the camera” is too costly. is.
There are constraints on time and money, so if I stick to the “orthodox method,” the work won’t take shape.
Even if it’s a wrong way, if you make good use of “image synthesis”, you can at least reproduce images close to the image in front of you without worrying about the financial side.
For me, this is a dream situation, so I will not change course even if it is criticized by experts and movie buffs.
The advantage of video synthesis is that scale can be ignored
For example, let’s say you want your work to be set up with a large wall clock in the room.
In conventional movies and stage plays, you have to prepare a life-size wall clock.
However, if you take the option of compositing video, saying that “a large wall clock should exist only in the video”, the wall clock can be a small miniature.
If you pay attention to the lighting conditions and make careful compositing work, you should be able to make the audience appear without feeling that it is a miniature video compositing.
In the same way, I think it would be very effective to prepare a miniature model of something that, when combined into the screen, would bring out a sense of reality.
For example, if you have a “miniature mandarin oranges in a basket”, by combining it with the indoor scene, you can force the seasonal setting to look like “winter”.
Having miniatures of microscopes and lab equipment can help create a laboratory scene.
The reason I have these in miniature rather than full size dummies is mainly because they require less storage space.
In addition, synthesizing models of private jets and outrageous luxury cars is effective in expressing the person who is the owner of them.
The miniatures themselves are fun to look at, and I find it very exciting when they are synthesized as the real thing with a casual face in the finished image.
The habit of taking stock photos of objects that can be used as composite materials
I like making models, and I started filmmaking because I wanted to show the models in the video, so I end up using miniature models, but of course I have to make miniatures. not.
In the example of a wall clock, you can ask the owner of the actual wall clock to take a picture, and process and synthesize the image data.
If you find an old-fashioned red mailbox while traveling, you can take a picture of it and combine it with your own work.
However, if you do not pay attention to some points, you will not be able to combine the photos you have taken.
This time I will tell you some of the points.
Avoiding photos that cannot be combined
Strictly speaking, to synthesize two images,
- color balance
- the angle at which the light hits
- camera angle
- Lens type and distance
If they are not aligned, the composite image will look unnatural.
As for “color balance”, it is not a big problem as it is adjusted during editing.
It may be surprising, but even if the “angle at which the light hits” is different depending on the background and the object to be composited, I don’t really care.
This is of course strange if you look closely at it as a “composite photo”, but the time that appears in the video is usually a few seconds.
It seems that it is easy to deceive the audience in such a short time.
(Of course, if possible, it would be better if the angle at which the light hits is also correct.)
However, if you are shooting composite materials on the premise of “compositing with this video”, you may be able to make an effort to match the angle of the light with the background video, but when shooting as “stock of composite materials”, I haven’t decided which video to synthesize yet, so I have no choice but to shoot in various patterns.
For immovable objects, such as old posts, the light angle cannot be changed.
The cameraman changes the position and shoots so that the post is in front light, back light, semi-back light, etc.
Select whether to prioritize the angle of light or the side of the post you want to show when compositing.
What you should pay attention to is “camera angle” and “lens type and distance”.
Let’s take post compositing as an example.
Let’s say you’re filming a character’s performance against the backdrop of an old store building.
Think of it as synthesizing a “red mailbox” as an accent to the video.
The angle of the camera means whether you are looking down, horizontal, or looking up.
This will change depending on the height of the camera.
If you shoot from a high position, the camera will point slightly downward, and if you shoot from a low position, the camera will point slightly upward.
The important thing is that you have to shoot the post at a similar angle as you shot the background in order to get a good composite.
When shooting the post, I don’t know what kind of video it will be combined with, so I shoot from various heights.
Even if you know exactly what you want to synthesize with this background image, I still recommend shooting in various patterns and stocking them so that you can use them in other works.
I shoot videos.
Stand in one place, hold the camera higher than your head, start shooting, then lower the camera slowly, and finally crouch down and look up at the post.
A still image is necessary when creating a composite photo.
When editing images for compositing, select just the right moment from the video, export a still image, cut out the post, and synthesize it.
You can take multiple photos in the same way, but when you edit, you tend to say, “I want something in the middle of this photo and this photo.”
With video, you can export a large number of still images in intermediate states of angles and positions, so you have more options.
It only takes a few seconds per place, so if you keep recording and change your standing position around the post,
- different angle of light
- camera angle difference
images can be taken at once.
As for “lens type and distance”, it is extremely difficult to align.
What type of lens is wide-angle or telephoto?
Distance is whether you are shooting from close or far away.
Here, in a strict sense, we will give up on the difficult task of matching the lens type and distance, and give you a more practical trick of “try not to make it look unnatural.”
In conclusion, the object to be combined should be taken at a certain distance so that the shape does not appear distorted.
If you shoot the post close, the head will be large and the base will be small.
Basically, please think that photos with this kind of distortion (perspective) cannot be used for compositing.
If the background video to be composited itself is distorted and the post cannot be composited successfully without the same distortion, we recommend the method of “distorting the image if necessary during editing”.
It is not possible to process a distorted image into a distortion-free image, but the reverse looks relatively similar and can fool the audience for a few seconds.
If you master this technique, even if you can’t think of a way to use it immediately, you can shoot it as a material for composition, such as something interesting you find on the go, and the cost of later creative activities will be reduced.
(This sentence was written by automatic translation)
