映像製作未経験者が持っているのは楽観的or悲観的で両極端な先入観

映像製作のワークショップなどを開催すると、面白い傾向があることに気付きます。

それは、映像製作未経験の人が持っている「先入観」が、両極端だということです。

 

趣味で映画を作ってみよう、となったときに

  • 30分くらいの短い話を考えて
  • 日曜日に朝から1日かけてラフに撮りきって
  • 次の週に上映会をしよう

という、超楽観主義の人もいます。

 

まあ、知らないので仕方がないことですが、これは現実的にはまず実現不可能です。

30分の話は自主映画ではけっして短くはないし、初心者の撮影には少なくとも5日以上は掛かるとは思います。

 

それでも、トライしてもらえれば、

  • 実際には結構大変なこと
  • 自分で考えたものが形になってくる楽しさ

に気付いてもらえて、徐々に条件に即した計画で作品作りが出来るようになるかもしれません。

 

逆に、「映像づくりにはお金が掛かる」「映像づくりは難しい」と思い込んでいる悲観的な人もいます。

こちらの方が圧倒的に多数派です。

 

そういう人に、映画の場面を自由に考えてもらって、その内容を説明してもらうと、決まって

「でも、この場面を撮るのは難しいですよねえ」

と謎の諦めモードになることが多いんです。

 

確かに、課題として考えるような場面は特徴的な状況であることが多いので、簡単にサッと撮ることは難しい、凝った映像だったりします。

 

馬鹿正直にその場面をカメラの前に再現しようとすれば、

  • 大金を使った恐ろしく大掛かりなセットが必要だったり
  • 撮影用に鉄道車両を貸し切りにする必要があったり
  • 凄い景色のところでロケをする必要があったり

する場面です。

 

正に「映像づくりにはお金が掛かる」というイメージはここから来ているのでしょう。

 

しかし、私が考える「映画作りの楽しさ」は、「楽しい嘘がつける」ことです。

黒澤明の映画のように、「本物」を全て用意して撮る必要はないし、むしろそれでは「工夫が無くてつまらない」とさえ思っています。

 

発想の転換を使って、

  • 実際には大掛かりなセットを使わずに、それらしい「場」を表現したり
  • 鉄道車両を貸し切りにしたり、違法なゲリラ撮影をすることなく、その場面を撮る方法を考える事だったり
  • 足元に広がる岩場を絶景の舞台に化けさせること

こそ、映画製作の楽しさの中心なんです。

 

それができるのはもちろん、私には「特撮」という武器があるからです。

 

  • そんなトリックでごまかした映像は作りたくない
  • 自分は黒澤やキューブリックのように本物が撮りたいんだ

 

そんなこだわりが強い方は、そちらの道を生きてください。

「限られた条件の中、トリック映像などを駆使してでも自分のイメージを出来るだけ反映した作品を、1本でも多く生み出して楽しむ」という、私の価値観は恐らく理解できないと思います。

工夫を凝らし、発想の逆転を使い、特撮を駆使すると、

「思いつく場面はほとんど作れる」

と思えてきます。

 

実際、「複雑な動き」や「変化」を伴う映像は、CGの力を借りるしかない事もありますが、少なくとも「背景」を中心にした「場面」を作るのは、ミニチュアや簡単な合成を丹念に重ねることで実現できます。

これらは面倒ではありますが、難しくはありません。

 

それらの作業を映像業者に発注すれば、もちろんそれなりの大金が掛かることになりますが、発注せず合成用の小道具作りなども映画づくりの楽しい要素です。

私などは、たとえ「監督」を外注に出したとしても、「小道具作り」の楽しさをすべて外注に出すことは考えられません。

私にとって、映画作りの楽しみの半分は、特撮や小道具の工夫をすることだからです。

 

ちなみに、私が初めて完成させた長編映画「水晶髑髏伝説」では、相当数の大道具・小道具を自分で作って登場させました。

その作品を気に入ってくれたプロの造形作家には、「この小道具・大道具全部を100万で作ってくれと言われても断る」と言われましたが、私は材料費の合計数万円と、自分の手間だけしか使っていません。

 

最近ではデジタル合成技術が進んだおかげで、この時のように実物大の大道具はほとんど作りません。

工作する物の大きさが小さくて済むんです。

 

立体造形物の大きさが1/2になると、材料の分量は1/8で済む計算になります。

「材料費」という観点からすれば、造形物の大きさを1/2にすると、費用は1/8まで減らせるんです。

その結果、1つの造形物制作の材料費は、100円から1000円位しか掛からず、大抵の場合、作品全体でも数千円しか使っていないくらいです。

もちろん、自分の作業時間をコストとして計算すれば、数十万円になるかもしれませんが、「その作業自体を楽しもう」というのがDIY映画ですから、これをマイナスのコストとして計算することはナンセンスだと思います。

 

特撮が必要になる場面が無い、シンプルな映画であれば、さらに製作費は少なくて済みます。

撮影も編集もスマホで済むのであれば、ほとんどタダで映画が作れるはずです。

 

大の大人が数か月間遊んで、その後もコンテンツとして残るのに、数千円しかコストが掛からないという、実際のところ、映画作りはかなり「安上がりな趣味」なんです。

 

もし、「映画作りに興味はあるけどお金が掛かりそう」と思っているなら、その先入観は正しくありません。

お金を掛けずに楽しめるので、是非、挑戦してください。

一緒に映画作りを楽しみましょう。

 

参考になれば幸いです。

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