改めて考える「特撮映画を作れる喜び」
2017年の初めから、自主映画レベルでの特撮映画制作をテーマにしたメルマガを発行しています。
私は実は元々、映画ファンという訳ではないので、ファンなら当然押さえておくべき名画を全然知らなかったりします。
一応、勉強のために見たほうがいいかな、と思ってDVDを買っても、熱心に研究するでもなく、間違って「市民ケーン」をダブって買ってしまったこともあります。
では何が好きだったかと言うと、映画の中の「特殊撮影」、「映像トリック」です。
主にそれはミニチュアを使った映像だったり、二重写しのような合成技術を使った映像です。
後年、映画そのものも好きになって、自分なりに分析しながら映画制作の真似事をするようになるのですが、基本にあるのはやはり「特撮」です。
特撮というのは、それ自体が見せ場になっている作品も多く、話題にもなります。
しかし、実は、「さりげなく使われている特撮」というものも魅力があって、「カッコいい使い方だなあ」と思うことも多いのです。
そういう、問題解決の手段として特撮を設計して使う、という行為自体が「カッコいい」のです。
まだ、現在のようにパソコンで映像編集ができなかった頃は、特撮映画の技法の多くは体験できませんでした。
海外映画の特撮の解説書を貪り読んで、発想の面白さ、撮影方法の特殊さを、知識として楽しんでいました。
私が映像制作を始めたのは、ビデオテープに撮影するか、8mmフィルムに撮影するか、という選択で意見が真っ二つに分かれた頃でした。
当時は、どちらにしてもシンプルな編集しか出来ない環境だったので、合成編集を前提にした特撮は試せませんでした。
それでも、見よう見まねで、マジックミラーを使って二つの映像を重ねて撮影したり、白い壁に映写したスライドの景色の前で人物を撮影したり、ということは実行していました。
合成編集に頼らない特撮の真似事がしたくてしょうがなかったのです。
後年、パソコンに詳しい会社の先輩に「いずれビデオの映像もパソコンにデータとして取り込んで、編集できるようになるよ」と夢のような話を聞きました。
まだ、ノンリニア編集が登場する前の話です。
半信半疑ながら楽しみにしていましたが、その後、あっという間にそれが実現しました。
私は今でもパソコンがあまり好きではなく、どちらかと言うと苦手ですが、映像を扱いたい動機があったので、毎日パソコンを使う習慣が身に付きました。
高性能のパソコンが充分に普及して、誰でもカメラを持っている時代。
特撮映画解説書の中で、原理を楽しむしかなかった特撮技術のほとんど全てを、タダ同然で試せる時代。
全く夢のような環境です。
昔は、映画のプロでなければ楽しめなかった遊びを、自分達が体験できるのです。
遊びとして楽しむ特撮としては、アナログチックな技法が最高です。
それは決して「チャチなところが良い」という事ではありません。
映像自体はあくまでリアルなものを狙いつつ、
- 種明かしが原始的であるところ
- 意外性があるところ
が面白いのです。
ちなみに、映像をデジタルデータで撮影して、パソコンで編集している時点で完全にデジタル作業なのですが、ここでいう「アナログチック」というのは、CGを使うのではなく、撮影する対象がミニチュアセットだったり、合成の手法が昔ならではアナログな原理によるものだからです。
この「原始的な特撮の面白さ」を理解できるのは、もしかしたら「ウルトラマン」で育った中高年以上の人たちでしょうか。
確かに「特撮」にはどことなく「昭和エンターテイメント」の香りがします。
平成世代では、特殊な映像=CG映像に違いありません。
もちろん、CGも特撮に使える有効な手法ですが、あまりに万能すぎる上、大きな欠点があります。
それは、「原理が目に見えない」ところです。種明かしの面白さが全く感じられないのです。
効果の全ては、ソフトウェアの設定によるもので、「そういう風に出来ている」という説明しかできません。
そのため私は、必要上、「ここはCGを使ったほうがいいな」と思っても、なかなか自分で勉強する気が起きずにいます。
アナログチックな特撮による映像づくりの面白さを知ってしまっているからです。
この、「原始的な特撮の面白さ」が分かる人たちに向けてメルマガを書いて、後々、「愛好家の交流の場づくり」に繋げていけないものかなあ、と企んでいるのです。
特撮手法は、動画制作全般に応用できる技術です。
是非、メルマガで楽しみながら、お役に立ててください。
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