低予算映画の普通の場面でこそ「特撮」を使うべき
「特撮=娯楽大作」という勘違い
大迫力の場面を作るための「特撮」は、商業映画の花形です。
そんな印象が強すぎて、特撮を使うのは「特殊なジャンルの映画に限られる」と勘違いしてませんか?
- 私は怪獣映画を作る気が無い
- 変身ヒーロー物にも興味が無い
- 派手なアクションシーンも必要ない
そんな映像作家のあなたは、特撮という技術など、自分には必要ない、と思っているかもしれません。
しかし、私を含めて多くの映像作家には、大きな弱点があります。
金に物を言わせて、思い通りの場所を確保したり、十二分なスケジュールを確保したり
という資金力ができないのです。
多くの場合は、苦労して書いたシナリオの場面を、撮影の制約に合わせて
泣く泣く変更するということが一般的です。
シナリオを読んだときのイメージとは全く違う場面、
「手近なところで妥協して撮影したんだな」ということが想像できてしまうことが
少なくありません。
でも、そんな時、あなたに基本的な特撮の知識があったらどうでしょう?
例えば理想的なセットを作れる
商業映画では、シーンに合わせてセットを建てます。
予算が足りない場合は、近いイメージの場所を借ります。
もっと予算が少ない場合は・・・
恐らく、撮影の状況に合わせて、シナリオを変更する事になるでしょう。
でも、せっかく考えた場面。
その場面をイメージしたからこそ、作品を作り始めたのに
場面のイメージを大きく変更しても、ヤル気が最後まで持続しますか?
私は「イメージ優先主義」です。
たとえ、手法が邪道であろうとも、自分が作りたいと思ったイメージを再現することを
最優先に考えます。
例えば、この場面は木造の小屋のシーンです。
当初はログハウスを探して撮影することを想定していましたが、イメージする間取りや家具の配置など、
当然ですが、条件に合う場所はなかなか見つかりませんでした。
そこで私は、実在する建物の制約に合わせて撮影するのではなく、イメージ通りのミニチュアセットを作って
合成映像で場面を作ったのです。
もちろん、理想は、イメージ通りのログハウスの中で撮影することです。
しかし、仮に遠隔地で場所を見つけたとしても、そこでロケをすると、
1シーンの撮影だけで、この作品を10本は作れるほどのコストが掛かってしまいます。
ミニチュアセットの合成映像である、という事への抵抗感さえ無くせば、極めて低コストで
自分のイメージ通りの映像が手に入るのです。
私はこの手法を使いこなすことによって、驚異的に生産性を上げられると確信しています。
現在、製作中の作品でも、会議室のシーンがあるのですが、理想的な間取りの貸し会議室を探すことを早々にやめて
思い通りの間取りのミニチュアセットを使うことに決定しています。
このように、制約が多い低予算映画の「普通の場面」こそ、特撮技術が生きる可能性があるのです。
今回紹介した作品のメイキングは、電子書籍「7日間でモンスター映画を作る!」で詳しく解説しています。
Kindeのunlimited読み放題ですので、是非、お読みください。
MVGでは創作系の趣味・映画作りをオススメしています。
このサイト「MVG博物館」にも、多くの参考記事があります。是非、興味のわいたところからお読みください。
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