「撮影スタジオ」をストックするとは?・特撮映画だから出来る高コスパの手法

 

使い回し出来るものと出来ないもの

新しい映画の企画を考えたとします。

過去の作品とは異なるストーリー、登場人物ですが、同じ人が考える以上、場面は似通ってきます。

これは必ずしも、「発想が限られている」とマイナスに考えるのではなく、一つの作家性と捉えることもできます。

 

場面も記号の一つです。

一定数のイメージを持っていれば、その組み合わせで無数のストーリーが作れます。

 

例えば、はじめの作品で「あるトリック」を使ったとします。

それが物語の最大の見どころです。

このトリックは、基本的にもう使えません。

ここを流用してしまうと、面白味が半減するからです。

 

でも、はじめの作品で

「仲間同士が談笑している応接間」のセットを別の作品にそのまま流用して、

  • 悪事の密談をしている応接間
  • 脅迫電話の録音をしている応接間

などに使い回しても、作品の面白さに悪影響は出ません。

 

オリジナル作品を作ろうとすると、どうしても、前回使った場所とは別の場所で撮影しよう、と思うものです。

映像的に違うものを作りたいと思えば当然です。

 

ただ、少なくとも私の感覚では、作品に登場する場面の大半は、こだわり抜いたオリジナルの空間が必要ではなく、記号として「それらしい雰囲気が出る場所」であれば事足ります。

こだわった場面に凝りたいのであれば、それ以外は出来るだけ手軽に形にすることが、コンスタントに作品を完成させることの近道と考えます。

 

もちろん、作品ごとにデザインを変えた部屋のセットを用意して撮影することは、素晴らしいことです。

問題は、あなたにそんな余裕があるかどうか、という事です。

私にはとてもそんな余裕はありません。

 

例えば、京都太秦撮影所。

 

時代劇の撮影が出来るように、敷地の中には家があったり、橋があったりします。

そのセットは、基本的に流用しているんです。

作品に合わせて橋の種類を変えたり、建物を建て替えたりしているわけではありません。

恐らく注意深く観察すれば、全く違う作品で、同じ場所を「これでもか」というくらい、使い回している筈です。

 

でも、その作品の面白みに悪影響はありませんよね?

 

私たちの作るDIY映画も、スケールははるかに小さいですが、同じ工夫が出来ると思いませんか?

巨大撮影スタジオの感覚を味わう

撮影スタジオは、その敷地内だけで様々なシーンの撮影が自由に出来ます。

正に「映画工房」です。

 

それに対して、低予算のインディーズ映画は、スタジオのセットを使わず、野外ロケや実際の場所だけで撮影するのが普通です。

 

ところが、私の提唱するインチキ映画とも言える「グリーンバック映画」では、さらに低予算で製作できるにも関わらず、撮影所の感覚でシーンを作れます。

セットをミニチュアで作れるからです。

 

例えば、警察の取り調べ室。

この記号としてのセットは、1つ用意すれば使い回せます。

 

会社の仕事場。

これも、いくつかのパターン化された記号で表せそうです。

 

これらのミニチュアセットを作って、「背景映像」として撮影しておけば、それを組み合わせることで、新作映画の場面に使うことが出来ます。

 

実際には、新作を作るたびに、いくつかの新しいミニチュアセットを追加で作ることになるでしょう。

その結果、使えるセットがどんどん増えていくので、後になればなるほど、作品制作のコスパは良くなります。

もし、作家仲間でこのセットの映像を共有すれば、さらに効果的です。

 

よく作り込まれたミニチュアセットは、それだけで楽しいものです。

それをミニチュアと感じさせないように、シーンに登場させるグリーンバック映画は、ジオラマ工作、あるいはドールハウスの趣味と、映画制作の面白さを掛け合わせた魅力があります。

 

「あ、このシーンの背景はあの作品と同じだ」

という発見の楽しみもありますし、作り手にとっても

「照明や小道具の組み合わせを変えて、同じセットと気付かせないようにしてみよう」

という工夫の楽しみも生まれます。

 

この姿勢が「映画作りとしては邪道だ」と思うのであれば、無視していただいて構いません。

「映画の精神とか創作者としての矜持とかは良く分からないけど、遊びとして面白そう」

と思ってくれる方の参考になれば幸いです。

参考になったら記事をシェアしていただけると幸いです。

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DIY映画倶楽部のご案内

 

創作活動としての映画製作は最高に楽しいものです。

昔はネックだった撮影・編集環境も、現代では簡単に手に入ります。スマホをお持ちの時点で最低限の環境はすでに揃っているとも言えます。

  • 趣味がない人。新しい趣味で楽しみたい人
  • 自分の創作がしたい人
  • 映像作品に出演して目立ちたい人、目立つ必要がある人

にとっては最適の趣味であることに間違いありません。

 

ただ、実際の映画製作には多くの工程があり、全てのノウハウを一人で身に付けて実践しようとすると大きな労力と長い時間が必要になります。

 

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詳しくは以下の案内ページをご確認ください。


Stocking Film Studios: A High-Cost-Performance Method Made Possible by Special Effects Films

What Can Be Reused and What Cannot

Imagine planning a new film project. Even if it has a different story and characters than past works, the settings might end up looking similar—simply because the same creator thought of them.

This isn’t necessarily a limitation of your creativity. Instead, it can be considered part of your unique artistic style.

Settings are like visual symbols; a certain number of ideas can be combined in countless ways to create new stories.

For example, say your first film used a specific “trick” as its standout feature. That trick can’t realistically be reused since doing so would lessen its impact.

However, elements like a parlor set, initially used for a friendly chat scene between comrades, could easily be repurposed:

  • A parlor for secretive discussions of wrongdoing.
  • A parlor where a blackmail call is being recorded.

Such reuse wouldn’t diminish the film’s overall appeal.

Approaching Settings with Efficiency

As indie filmmakers, we often feel the need to avoid reusing past locations or sets to visually differentiate each project. However, most settings don’t need to be painstakingly original. All they need to do is “fit the atmosphere.”

While creating original, highly detailed sets for every project is ideal, the real question is: can your resources handle it? Personally, I know mine can’t.

Let’s take Kyoto’s Toei Uzumasa Studio as an example. It’s equipped with bridges, houses, and more for period dramas, but those sets are heavily reused across productions.

The key takeaway? Reused settings don’t detract from a film’s entertainment value. Indie filmmakers can adopt the same mindset, albeit on a smaller scale.

Experiencing a Grand Studio on a Smaller Budget

Professional studios provide the luxury of filming multiple scenes within their confined spaces, essentially becoming a “film workshop.”

On the other hand, low-budget indie films often rely on real-world locations and outdoor shoots.

But with what I call the “green-screen filmmaking approach,” you can enjoy the same creative freedom as a studio—on an even smaller budget—by using miniature sets.

  • A police interrogation room can become a reusable symbolic set.
  • An office workspace can be reduced to a few iconic patterns.

By filming these miniatures as “background footage,” you can integrate them into new scenes as needed. Over time, your library of reusable sets grows, further improving the cost-effectiveness of your projects. If shared among filmmaker friends, this effect amplifies.

Combining Models and Filmmaking Fun

Intricately designed miniature sets are enjoyable in themselves. A green-screen film brings together the charm of model-building or dollhouse hobbies with the creativity of filmmaking.

Reused backgrounds may also become a hidden gem for viewers to discover:

  • “Ah, this scene’s background is the same as in that other film!”

For creators, it invites playful challenges:

  • “Let’s rearrange the lighting or props so the same set isn’t easily noticeable.”

To some, this method may seem like “cheating” in filmmaking. But if you see it as an entertaining activity, I hope this article provides inspiration!

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