実はDIY映画と相性がいい?カルト映画・大金を回収しなくていいこそ尖った企画を実現できる
カルト映画の魅力とは
そもそも、カルト映画の定義をしなければ話が進みませんが、定義はそんなに厳密ではありません。
少なくともここでは、ふんわりしたイメージで捉えてください。
私のイメージする「カルト映画」というのは、題材やストーリー、演出などをオーソドックスにまとめようとせず、バランス的にちょっといびつな、それでいて風変わりな魅力を持った映画です。
カルト映画は時代と共に対象が変化します。
「スター・ウォーズ」や「ブレードランナー」なども、今でこそオーソドックスな大作映画の印象ですが、公開当時は、原始的なアナログ特撮満載の、巨大な自主製作映画という評価もあり、カルト映画の1つでした。
そう考えると、スケール的にも品質的にも、カルト映画の敷居は高く感じてしまうかもしれません。
ただ、これらは、カルト映画の中でも特別の「大作」です。
では、大作ではないカルト映画にはどういうものがあるか。
私の独断で、好きな作品を挙げてみます。
「アルタード・ステーツ」
「ドグラ・マグラ」
「陽炎座」
「ACRI」
「π」
「アルタード・ステーツ」はドラッグを使って人類の記憶を遡ろうとする科学者の話で、私は「映像版のサルバドール・ダリ」のように思えて好きな作品です。
「ドグラ・マグラ」は、日本三大奇書の一つが原作の、ミステリーともSFとも思える、奇妙な作品です。
「陽炎座」は、泉鏡花の原作を、不思議な味わいのまま映像にしたら、不思議な映画になったという雰囲気。
「ACRI」は日本映画では珍しい、未確認生物としての人魚を、SF的に描いた秀作。
「π」は世界を支配している数列を追い求める数学者の話。
どれも、ちょっと変わった題材であると言えます。
そして、共通しているのは、映像が美しくて魅力がある事。
どこか狂っている世界観と映像美の組み合わせが、不思議な魅力を倍増させているのが特徴と言えます。
観客から見たカルト映画
このように、一言で言えば「風変わりな映画」であるカルト映画ですから、万人受けする作品ではありません。
しかし、いわゆる「カルト的な人気」と言われるように、少数ながらファンを獲得するジャンルと言えます。
現代は「動画の時代」と言われるように、身近なところが動画であふれています。
その中には映画のようなコンテンツも含まれ、スマホを使って空き時間に手軽に作品を鑑賞できる分、「ありきたりな作品」には、もう飽きてしまっている可能性があります。
もちろん、自分の好きな俳優が出演している場合は、オーソドックスな内容で十分楽しめると思いますが、そうでない場合はどうでしょうか?
全く無名の出演者による、オーソドックスなインディーズ作品を、わざわざ時間を使って見る可能性は低いと思われます。
低予算の作品で、色々とマイナス点も多いにも関わらず、鑑賞する動機として、「一般作には無い、奇妙な魅力がある事」は有効に働くのではないでしょうか?
実は、作り手にとって、「カルト映画」を作る別のメリットがあります。
これは、発想自体が邪道で、観客に知られなくても良いことなので、こっそり伝えます。
カルト映画には特有の「ゆがみ」があります。
例えば前述の「陽炎座」などは、奇妙な演出として、通常は繋げないような映像の編集をしています。
一つ一つの映像は美しいのに、おかしな、不条理な繋ぎ方をすることで、不思議な世界が感じられるのが大きな魅力です。
私たちの作るDIY映画では、時に、全く違う理由から、不自然な編集になってしまうことがあります。
経験すればすぐに分りますが、実は、映像を自然に繋げて仕上げる事は、なかなか難しいことなんです。
そして、その不自然さは、「失敗」から生じているんですが、あえて奇妙な演出を混ぜると、あたかもその不自然さ全体が、「狙った演出」のように感じられる可能性があると思います。
もちろん、その「ゆがみ」を凌駕するだけの、題材の面白さや物語の奇妙さ、といった魅力が必要ですが、結果的に、プロのようにきれいにまとめる力が無いことが、プラスに働く「可能性」があります。
仮にそうだとすると、こんな作品を作れるのは、プロの映画人ではない、私たちのような映像愛好家の特権と言えるかもしれません。
そういう意味で、実はDIY映画とカルト映画は相性が良いのではないかと考えているのです。
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Are Cult Films Surprisingly Well-Suited for DIY Filmmaking? Bold Ideas Thrive When Money Isn’t the Goal
The Appeal of Cult Films
To begin, we must define “cult films,” though the definition need not be too rigid. Simply put, they are unconventional films with eccentric charm, deviating from mainstream norms in themes, storytelling, and style.
Cult films evolve with time. Major productions like Star Wars and Blade Runner might now seem like orthodox blockbusters, but they were initially seen as analog-heavy, enormous “indie” projects—quintessential cult films of their era.
Non-Mainstream Cult Films
Here’s a list of unique cult films I enjoy:
- Altered States
- Dogura Magura
- Kagero-za
- ACRI
- Pi
Each has its quirks, from exploring unusual topics like subconscious memories or mystical worldviews to unconventional storytelling. Yet all share stunning visuals that enhance their offbeat allure. The combination of beautiful imagery with an unsettling atmosphere amplifies their charm.
Cult Films and the Modern Viewer
Cult films may not appeal to everyone, but their distinctiveness helps cultivate dedicated fans. In today’s content-saturated world, “ordinary” stories risk being ignored, especially when audiences can easily access captivating videos on their smartphones.
Without well-known actors, indie projects must stand out through originality and peculiar appeal to capture interest.
DIY Filmmaking and the “Distortions” of Cult Films
An added (and secret) advantage for cult films lies in their intentional “distortions.” For example, films like Kagero-za use unusual editing techniques to enhance their surreal world.
DIY films may inadvertently include editing oddities due to skill limitations. However, framing these anomalies as intentional artistic choices could make the entire work feel deliberately eccentric, turning imperfections into strengths.
This synergy between DIY filmmaking and cult aesthetics highlights a unique privilege for amateur creators—freedom to embrace idiosyncrasy without the pressures of professional polish.
Conclusion
Cult films and DIY filmmaking are a natural match, offering endless possibilities for creators to thrive through distinctive, unapologetic storytelling.