低予算上等!コスト制約をマイナスではなく工夫を楽しむための要素にする

「予算が少ないからつまらない」という勘違い

映画に対するコメントでよく見るのが「もっとお金を掛けろよ」というものです。

まあ、つまらない(と自分が思った)映画に対する批判の一つでしょうが、じゃあ予算を増やせばその分面白くなるのか?というとはなはだ疑問です。

 

「人気のある人を使いたい」「その人は高い」という理由で予算が膨らむのは商業映画では一般的です。

内容が同じなら、人気者を起用した方が儲かりやすいのも事実です。

 

でも、無名の作家が作っている映像作品で、「予算の少なさからつまらなくなっているもの」、逆の言い方をすると「もっとお金さえ掛ければ面白くなるのに残念」と思ったことは、私は一度もありません。

面白い作品は低予算でも面白いし、つまらない作品はお金を掛けたところで面白くなるわけではないからです。

 

つまり、面白いかつまらないかは、予算とは関係ないんです。

もちろん、予算を増やせばプラスアルファとして、場面に迫力が出せたり、無茶な撮影スケジュールを組まなくて済んだり、製作期間を伸ばして、より多くの場面を作れるメリットはあります。

でも、繰り返しになりますが、一番重要な「面白いかどうか」は予算の大小には関係ないんです。

 

「もっとお金を掛けろよ」と批判する人は、予算を掛けただけの作品に対して、今度は「お金の無駄遣い」と批判することは容易に想像できます。

くれぐれも「初めて映画を作ろうと思うので、クラウドファンディングで200万円集めます」というような順番で行動しない事をおすすめします。

 

大丈夫です。

ほとんどお金を掛けずに映画を作っても、基本的な「作る楽しさ」は十分味わえますし、面白さも追求できます。

むしろ

  • 「面白さ」を出すためには何をすればいいのか
  • どういう手法が有効なのか

を超低予算映画で実験してみてください。

合成映像を多用した低予算映画の面白さ

私は基本的に低予算映画製作が好きです。

もし、10倍の予算を使えるとしたら、低予算映画を10本作る方を選択します。

そもそも低予算ならではの画面作りの工夫自体が面白いことを知っているからです。

 

近年では、パソコンを使って映像編集が出来ることで、同じような映像を作るための予算が昔に比べて半減していると感じています。

具体的には、画面に映り込ませたいものをキレイに合成できるので、実物大の大道具を使わなくてよくなったり、背景を合成する手法を多用することで、人物撮影のスケジュールが最大1/5程度まで短縮できることなどが理由です。

 

実際に、昔ながらの大掛かりな準備をして撮影すると、その時はある程度の達成感というか、高揚感は味わえるんですが、撮影した映像を見ると、大抵の場合、手間やお金を掛けた割には効果的でなかったりして残念な気分になります。

 

逆に、低予算作品の場合は、撮影自体が極めて小規模で、

  • こんな撮影でこの場面が成立するの?
  • こんな小さなミニチュアを合成してそれらしく見えるの?

という、たくさんの「?」を感じながらの製作になりますが、やり方次第で、笑ってしまうほど「それらしい映像」になっていきます。

その痛快さを是非、味わっていただきたいと思います。

 

具体的に言うと、映像合成が一番有効なのは「引きの映像」です。

シーンの初めなどに「ここはこういう場所です」ということを観客に印象付けるため、広く全体の状況が見えるような「引きの映像」を入れるのが一般的です。

大抵は、その映像を成り立たせるために、大掛かりな準備が必要になって、コストがかかります。

 

でも、とくに普段の日常ではない物語を作ろうとした場合は、その画面がないと、作品の世界観やワクワク感が生まれにくくなります。

そこで、「低予算映画ならでは」の「合成映像」によって、イメージに近い画面を作り出すんです。

 

例えばSF作品における「街の景色」の場合、100%ミニチュアセットを撮影しただけだと、いくら精巧に作っても、単に「よく出来たミニチュアだね」で終わってしまいます。

ミニチュアや特撮好きな人にとってはそれでも十分なんですが、そうではない人にとっては「ミニチュアセット」であることが明白過ぎると、冷めてしまって物語に没頭できなくなります。

 

そこで、道路を走る車、歩道を歩く人並みは実際の動く映像を使い、建物の2階から上だけミニチュアセットの映像を合成するような画面にすると、

  • 景色としてのリアリティ
  • ミニチュアならではの荒唐無稽さ

がミックス出来て、映画らしい楽しい場面になるはずです。

 

これは、技術的にはそれほど難しくはありません。

低予算の制約の中でも、こういうシンプルな合成技術を応用して、イメージ優先の映像を作りつつ、「面白さ」を求めていってはいかがでしょうか。

 

参考になれば幸いです。

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