字幕の難しさと限界

このところ、amazon video directにショートムービーを登録して、主にアメリカでの再生時間を伸ばそうとしています。

このサービス、まだ、日本市場には浸透していないようで、個人が登録している動画が少なそうです。

その最も大きな理由は、Youtubeのように、「手軽にムービーをアップロードしてください」というスタンスではないところにありそうです。

まず、登録が面倒。

まあ、これはKindleの登録と、基本的には同様なので、電子書籍を出している人は登録完了するとは思います。

しかし、動画データの登録は、Youtubeのように、ただ編集済みのデータをアップすればいい、という訳ではありません。
たとえ、値段を「無料」と設定したとしても、商品としての仕様を整えないと、エラーが出てしまって、登録が完了しないのです。

特に難関なのが、「字幕」。

字幕データ自体は、メモ帳などで作成が出来ますが、シュートムービーなどの作品中に出てくる文字データ、セリフなどに、英語の字幕を入れる必要があるんです。

それで、コツコツとセリフやナレーションを英訳するわけです。
セリフとして不自然かどうかは、英語力が無いので判断を諦めていて、とにかく、「内容を伝える」ということに徹するしかありません。

まずそこで分かるのは、「セリフを全て字幕にするのは不可能」ということ。

表示時間が短か過ぎて、読みきれないんです。そこで、
日本語のセリフ
>セリフの要約(もしくは短く改変)
>英訳
という手順で、英文字幕を作っていくことになります。

何度か字幕を表示させた状態でチェックして、表示時間の確認を行なうんですが、どうしても分量の割に時間が短い、という箇所が多くなって、修飾的な言葉を省略したり、状況だけ分かるようにして違うセリフに変えたりして、簡潔な字幕を作らざるを得なくなります。

私は、この作業をしながら、「これからの新作は、なるべくセリフを少なくしよう」と考えています。それは、字幕制作が楽になる、というだけでなく、本来のセリフの省略や意訳によって、イメージが変わることを防ぐ、という意味もあります。

本職の字幕監修者は、「ここが腕の見せ所」と言いますが、事実として言えることは、「字幕では情報量がかなり減っている」ということです。

例えばアメリカ映画を字幕で観ると、視線のほとんどは字幕エリアに向けられて、映像は横目で見ているだけになることに加え、その字幕も、やむを得ず、かなりスカスカの内容になりがちだ、ということです。
DVDで吹き替え版にしながら、日本語字幕を出してみると、私のように英語力が無くてもそれを実感できます。

外国映画を日本語の吹き替え版で観る、ということに抵抗がある人はたくさんいます。

実を言えば、英語力が無い私でさえ、学生時代などは、「映画は字幕で観るもの。吹き替えで観るのは恥ずかしいこと」と思っていました。

しかし、洋画のテレビ放送で、吹き替え版を見たときのほうが画面の隅々まで堪能できて、俳優の演技が観られる、ということは感じていて、「自分が字幕で洋画を見ているのは、単なるカッコ付けなんじゃないのか?」と気付き始めました。

やがて、知り合った複数の役者さんから、「演技の参考にするなら、断然、吹き替え版を見るべきだと思う」という話を聞いて、安心して、堂々と吹き替え版を観るようになりました。

吹き替え版だと
・役者本人の声
を捨てることになります。

確かにこれは残念なことです。でも、字幕版だと
・撮影監督によって計算された映像を白い字幕で汚し
・俳優の細かな演技は視野の端でしか捉えられず
という、かなり大きなデメリットを抱えることになると思うのです。

そして、今回、自分で字幕を作って実感したとおり、
・セリフは字幕用に省略されている
というデメリットも加わります。

仮に、字幕が不要なくらい英語力を身に付けても、日本の映画館では「字幕が出る英語版」と「字幕が出ない吹き替え版」しか観られませんから、「字幕が出ない国で見る」ということをしない限り、ベストな状態で洋画は見られないのです。

結論としては、「吹き替え版はかなり良い」、「日本映画頑張れ」ということです。

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