創作ビジネスアイデア・インディーズ映画技術で実用的コンテンツを作る

創作ビジネスの難しさは需要と供給のいびつさにある

趣味としての創作は手放しに素晴らしいものです。
誰にも迷惑を掛けず、自分自身が活動によって満足感を得て、それを発表する機会を作れば、一部の人がそれを楽しんでくれて、場合によっては創作仲間になる。
理想的な活動です。

 

ただ、活動をより本格的に進めていくと、例えばより大きな資金が必要になったりして、「創作活動自体で収益を上げられないか?」と考えるようになります。
「自分で作った映画を料金を取って人に見せられないか」というのは、映画作りを始めた人であれば必ず考える事でしょう。

 

でも、夢を壊すようですが、これはかなり難しいと言わざるを得ません。
私も長年、自主映画作りをしていますが、他の作家さんが作った作品をお金を出して見ることはほとんどありません。かなりレベルの高い作品だとしてもです。

それは何故かというと理由は単純で、わざわざお金を出さなくても見られる、もっと面白い作品が世の中には溢れているからです。
例えばYouTubeとかamazonプライムビデオなどのサブスクサービス。
サブスクは無料ではありませんが、定額を支払っているので、個々の作品の鑑賞について、「お金を払って見ている」という感覚がありません。
そして、そこにはとても見きれないほどの膨大な作品があります。
仮に「プロ並み」の作品を作れたとしても、見られるには相当な苦労が必要なんです。
要は、「需要」よりも「供給」の方がはるかに多いので、売れないんです。

 

演劇や小説の創作講座の現場の声でも、「自分で作りたい人は多いが、その人自身に必ずしも他人の作品を鑑賞する習慣がない」と聞きます。
「小説を書いてみたい」と講座に来た人に対して「どういう小説がお好きなんですか?」と聞くと、「小説はあんまり読んだことが無いんです」という、不思議な状況が実際に増えているそうなんです。

 

ですから、「品質の良いものを作っていれば、そのうち誰かの目に止まり、売れるようになる」という、「供給」が不足していた時代の成功パターンは全然、通用しないんです。
これはどの分野にも言えることでしょう。

自主映画作りの「技術」は使えないか

物を売るためには、「需要」がある内容にする事が大前提です。
映画も「見てもらってなんぼ」という側面もありますから、「求められている内容」を意識することは重要です。
と言っても、「商売のためにやりたくもないことをやる」というわけではありません。

 

私の感じる自主映画作りの面白さの一面として、

  • 場面を映像として分解して設計する
  • 撮影・編集を加えることでドラマにする

とうものがあります。

要は、「バラバラに撮った映像をうまく組み合わせると、それらしい映画に見えて楽しい」ということです。
この楽しさは、作品の内容が変わっても同じように味わえるものです。
そして、ドラマを作る場合に、映像、特に自主映画の技術はとても有効になります。

例えば、演劇であれば、本番のステージで滞りなく演じないと内容が伝わりませんから、膨大な練習時間が必要ですし、役者の実力差も如実に出ます。
一方、映画であれば、極端に言えば、練習しながら本番撮影を進めて「上手く出来たところ」を繋げればそれなりのものが出来上がるので、制作の負担は激減するんです。

さらに、自主映画を作ってみると分かりますが、演技の経験がない人をそれらしく見せるための特殊な工夫がとても重要です。
例えば、長いセリフを覚えられない場合、映像の大半は「話している人」でなく「聞いている人」の顔を映すという設計にするなどです。
そうすると、顔が映っていないので、台本を読みながら声だけ演技すれば成り立つというわけです。

もちろんこれは邪道な工夫ではありますが、

  • 撮影期間などの条件内で作品を成り立たせるため
  • 見ている人にストレスを感じさせないため

にはとても有効な手法なんです。

「セリフは全部覚えてきてね」で済むプロの現場より、セリフが覚えられない、演技が出来ない役者さんでドラマを成り立たせている、自主映画の現場の経験の方が、撮る側の技術としては実用的であると感じます。

具体例・地域住民に対する啓発映画

見てもらう作品にする近道は、「需要」のある内容にすることです。

私は今、当番制で地元の自治会の役員をしているのですが、特に高齢者に対する情報提供の必要を感じています。
例えば、特殊詐欺の被害は深刻で、地元地域だけでも年間で数千万円がだまし取られているそうです。
「特殊詐欺に注意しましょう」という告知は当然されていますが、被害は減らないのでさまざまな角度から啓発する必要があります。

 

私が考えているのは、これらの問題をストーリー仕立てで伝える「啓発映画」の制作です。
こういう内容であれば、純粋なエンタメ作品と違って、作品完成後に活用できます。
地域の行政に働きかけて、公的に活用してもらう道もありそうです。
そういう、「見られる作品」になる前提であれば、そこで利益や満足感を得られる人から報酬をもらいつつ、映画製作が出来る「可能性」があるのではないでしょうか?

 

もう少し具体的に言えば、このような啓発映画を作る目的で「有料ワークショップ」や「有料撮影会」を開催することもやりやすいのではないか、という考えです。

手前味噌になりますが、私が普段使っている「升田式スーパープリヴィズ法」であれば、どんなシーンでも、人物の撮影は全てグリーンバックを設置した会議室の中だけで完結させられるので、今回提案した作品にはとても向いていると感じます。

1本の作品を公開して、参加者の方の満足も得られれば、第2弾・第3弾とリピーターとして参加してもらえる上、作品が防犯等の役に立つと思われます。

そこには「需要」が生まれる、つまり

  • もっと参加させて欲しい
  • もっと作品を活用させて欲しい

という状況になるということです。

当然そこで地元の人脈も広がりますし、更なる創作活動への可能性が高まると考えています。
私はこれを近々実践して実績を作ってみたいと思っていますので、何か参考になる情報があればまたお知らせいたします。

参考になれば幸いです。

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自分で原案を考え、脚本化したストーリーを元に一つ一つのシーンを撮影して形にしていく「自主映画制作」という趣味では、とても大きな満足感を味わえます。
仮に誰にも完成品を見せずに一人で鑑賞するとしても、えも言われぬ達成感、大げさに言えば作品の中とはいえ「世界を創造した万能感」に浸れるのが映画作りです。

さらに、他の人に作品を見せて高評価を得られたりすると、とても嬉しい気持ちになります。

特に現代は自分から情報を発信する手段がたくさんあります。
一般の人が自分で撮った写真や文章を大量に公開する時代です。
公開して得たい「承認欲求」は思いのほか強く、自分で作った映画はその最大級の満足を生み出す可能性があります。

ただ、難点を挙げるとすれば、「写真を1枚撮って画像加工アプリで仕上げれば完了」というような手軽さが「映画作り」には無いことです。
実際にはとても大きな満足感と引き換えに、そこそこめんどくさい作業を伴うのが映画作りです。
(そこがまた、面白いところでもあるんですが)

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