令和のロジャーコーマンを目指すには

ロジャー・コーマンってどんな人?

B級映画の帝王、ロジャー・コーマンをご存知でしょうか?

1960年代ぐらいから、ハリウッドで主に、低予算映画を量産して、一時代を築いたプロデューサーであり、監督、脚本家でもある人です。

時には、自分の作品に出演する俳優でもあります。

 

「低予算映画でチープな作品ばかりを作っている」という印象を持たれがちですが、実はちょっと違います。

予算の節約に徹底してこだわってはいるものの、作品によっては、しっかりと社会性を持たせて、ヨーロッパを始め、いろいろなところで映画賞受賞の実績もあります。

 

また、優れたスタッフ、出演者を大勢輩出したことから、制作現場は「ロジャー・コーマン学校」とも呼ばれます。

例えば、フランシス・フォード・コッポラ。

この監督も、ロジャー・コーマンの下で映画を学んだ、ということを公言しています。

自分の作品、「ゴッド・ファーザー」に、ロジャー・コーマンを出演者として登場させたりしています。

撮影時のスタジオには、ロジャー・コーマン学校の出身者である、そうそうたるハリウッドスターたちが見学に来て旧交を温めたようです。

 

シルベスター・スタローンも、メジャーになる前、ロジャー・コーマンの映画に参加しています。

その後、有名になってからも、ロジャー・コーマンのところで編集を学んだ編集者と組んで、「ランボー」を成功させたりしています。

ロジャー・コーマンが台頭した時代背景

ロジャー・コーマンが、低予算で短期間の間に映画を大量生産して、ビジネス的に成功した理由は、初期の頃、「ドライブイン・シアター」で大量の映画を必要としていた、という背景もあります。

 

ドライブイン・シアターは、車に乗ったままで見る、野外の映画館です。

観客は、一度見た映画を見には来ないので、できるだけ新作映画を上映し続ける必要があります。

そこで、最低限の面白さを持った映画を量産できる、ロジャー・コーマンが重宝されました。

 

ロジャー・コーマンの自伝を読むと、やはり、「物語を面白くさせるポイント」を、非常に的確に抑えている人だったようです。

シナリオの修正点や、仮編集で上がってきた映画の修正点などの、「修正指示」が非常に的確で、それによって映画が、商品としての価値を高めていたらしいことが分かります。

映画を見る文化の変遷

やがて、ドライブイン・シアターが流行らなくなって、普通の映画館にも人が行かない時代になりました。

日本のメーカーが、「家庭用ビデオデッキ」を作って、世界中に普及させたことによって、「家で映画を見る」という文化ができました。

 

そこで台頭してきたのが、「レンタルビデオ」。

そうすると、かつてのロジャー・コーマンのように、「アサイラム」というような、低予算で作品を作る映画制作配給会社が登場して、レンタルビデオ用の映画を低予算で量産するようになるわけです。

 

アサイラムの作品の多くは、いわゆるB級モンスター映画とか、ブロックバスターと言われるような映画です。

日本やヨーロッパでも一定の人気があって、ビデオ用に作られた映画であるにも関わらず、日本では劇場公開されることもあります。

 

ところが、現在では、その「レンタルビデオの市場」というものも、どんどん縮小しています。

レンタルビデオショップは次々と閉店しています。

DVD のような、「メディア」を店に行って借りてきて見る、というような時代ではないんです。

 

しかし、その代わりの環境が新たに生まれました。

スマホです。

 

いつも手元にあるスマホを使って、ドラマや映画を見る時間が、飛躍的に増えてきています。

今後、5Gが普及すると、ますます動画視聴のためにスマホを使う時間が増えるでしょう。

 

このように、見る人の環境に合わせてコンテンツを提供すれば、需要はあると思います。

コンテンツ作りのスピードが重視される時代

ただ、残念ながら、認識しなければいけないことがあります。

現代においては、一つ一つのコンテンツが、非常に軽く扱われます。

コンテンツの多くは、使い捨てということです。

「一度見たら終わり」という扱いをされることを覚悟する必要があります。

 

ですから、非常に良質な映画を1年かけて作っても、それを何度も見直して味わってくれる観客は、少なくなっていくと考えた方がいいと思います。

キーになるのは、「量産」です。

 

ロジャー・コーマンが、ドライブインシアターに次々と新作を送り出したように、スマホ向けの映画を短期間で量産できるか、がポイントになってきます。

量産のためのネタ

作家が、オリジナルの脚本を書いて、それを元に映画化するというのが理想の一つです。

量産のために、私が利用しようと思っている「元ネタ」は他にあります。

 

例えば、青空文庫。

これは、作者が死亡してから一定以上の時間が経った作品については、その権利が消滅します。

その作品を自由に利用していいことになっています。

 

ですから、夏目漱石、芥川龍之介というような作家の作品は、誰に許可を取る必要もなく、自分の作品として利用することができます。

改変して使用することも自由です。

 

最近では、江戸川乱歩とか谷崎潤一郎のような人気作家も追加されましたから、ネタ元としては、かなり充実しています。

 

それから、著作権がないということで言うと「古典落語」。

古典落語を元にして映画化するにしても

  • 江戸時代を舞台にする
  • 現代を舞台にする
  • SF仕立てにする

という可能性もあるでしょう。

 

同じように、昔話を使って新作の映画を作るということも十分可能です。

 

創作活動は、物語をゼロから作る楽しみ方も、もちろんありますが、映画作りにおいて「物語作り」は一要素でしかありません。

特に量産をする場合、オリジナルストーリーにこだわって、創作ペースが落ちるくらいであれば、合法的に「他人の作品」を利用して、映画を作ることは効果的と思います。

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