失敗が信用の元になる事もある

たまった雑誌の処分をしていて、捨てる前に「公募ガイド」の記事を読み返したり、切り抜いたりしていたのですが、自費出版の案内広告を見て思い出したことがあります。
「公募ガイド」にも多くの広告を出している、ある出版社が、あるとき、原稿を募集していました。「公募ガイド」で原稿募集をしているのは別に珍しくないのですが、そのときの「売り」として「入選しなくても、応募者全員に対して編集者がアドバイスを返してくれる」と書かれていたのです。

私は今でも時々、小説書きの真似事をします。
小説というのは、どんなに拙いものでも、それなりに自分の情熱を注ぎ込んで書いているものなので、完成すると愛着があります。そして、応募というのは、基本的に一つの作品を重複して別のところに送らない、というのが、ルールというかマナーになっています。せっかく書き上げた作品ですから、自分なりにもっともふさわしいと思うところに応募したいわけです。
しかし、この「入選しなくても、応募者全員に対して編集者がアドバイスを返してくれる」という条件が魅力で、私はこの募集に応じたわけです。
・プロの編集者から見ると、自分の作品はどう見えるのか。
・なにか、有益なアドバイスがもらえるのではないか。
大学入試と違って、基本的に公募は入選しない限り、何の連絡も無いことが多いですから、「確かに読んで、評価してます」という証しが見たかったのかもしれません。

結果から言うと、この出版社からは何の音沙汰もありませんでした。
その後、この会社からよく出している自費出版の契約内容に問題があって、ちょっとした裁判沙汰になったこともあって、私の中では「信用できない出版社」という刷り込みがされました。
もしかしたら、単なる手違いや、たった一人の社員のミスが原因で、たまたま私一人にだけアドバイスが返信されなかったのかも知れません。しかし、私にとっては会社全体が「信用できない出版社」となってしまうのです。

一方で、逆のこともありました。
魚を飼ったり、輸送したりするときに「エアポンプ」を使って、水中に泡を出す装置があります。ポータブルのエアポンプは通常、乾電池で動かしますが、電池を使わず、ペットボトルに取り付けて使う装置、というのを、ホームセンターの中のペットショップで見つけたのです。
何に使うかというと、川で小魚を捕まえて、自宅の水槽に持ってくるまでに、死んでしまわないように、魚を入れたバケツなどに、エアを送り続けるのです。
これは、ペットボトルに取り付けてポンピングすることによって空気圧を高め、それを少しずつ放出することで長時間、泡を出す、というものです。電池式のポンプも持っているのですが、それより静かで、定期的にポンピングさえすれば、電池がなくなることを気にしなくていい、というのが魅力に思えたのです。
これを早速取り寄せたところ、ペットボトルの中に圧縮空気が全く作れず、使えませんでした。
不良品だったのです。
高いものではなかったのですが、一度も使っていないので、メールで交換の問い合わせをしました。すると翌日すぐに丁寧な謝罪の返信がありました。
・出荷した後に初期不良があったことが分かったが、全ては回収し切れていないこと
・他の品物も回収したいので、どこの店で購入したか教えて欲しい、ということ
・すぐに正常な品物を送るので、不良品を処分して欲しい、ということ

ほどなくして、新しい品物が届きました。
その結果、私は、購入してからすぐにはその商品を使えなかったにも関わらず、その会社を「誠実な対応をする、信用できる会社」と思っているのです。

いささか、単純な頭の持ち主だと思う方もいるかもしれませんが、結構な割合で、このように信用・不信用は決定されていくのではないでしょうか?
面白いのは、エアポンプのメーカーは、不良品を出荷する、というミスから端を発しているにも関わらず、少なくとも私からは信用を増している点です。
そう考えると、日々の生活でも、私などは失敗することだらけですが、良いフォローを心がければ、そう悲観しなくても「良い状況」に持っていけるのかもしれません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です