DIY映画のための演出入門:予算と時間を節約するため編集で合成する手法と低予算での映像作り

それぞれのスタッフの役割

「映画を作りたい」という人のうち、かなりの割合の人が「演出」に興味を持っていて、「演出をしてみたい」と思っているのではないでしょうか。

そもそも「演出」って何?という疑問もあるでしょう。

簡単に言うと、演出は監督が担当するパートです。

 

映画作りはいくつものパートに分かれています。厳密に説明はしきれませんが、イメージとして聞いてください。

 

大雑把に言うと、映画作りには「製作」と「演出」のパートがあります。

製作のトップは「プロデューサー」と呼ばれ、企画から段取りをして、条件内に作品を完成させ、完成した作品を活用する計画までの全体を考える役割です。

それに対して演出のトップは「監督・ディレクター・演出家」などと呼ばれます。

役割は、与えられた条件内で、どうすればその場面がより効果的になるかの判断をして、指示することです。

 

例えば、台本通りに台詞のやり取りをするシーンを撮影する際にも、どんな服を着ているのかとか、どういう態度でどれくらいのスピードで話すのか、など、台本には無いけれども誰かが決めないと形にならない要素がたくさんあるわけです。

それを具体的に決定して映像に落とし込むのが監督の役割です。

もちろん、担当する要素が多いので監督一人で指示は出来ません。監督の意向に沿った指示を助監督が出したりします。

 

ここで大事なことは、プロデューサーと監督は必ずしも目的が一致しているとは限らないということです。

プロデューサーの最低限の使命は、作品を完成させることです。

未完成に終わる危険は極力排除しなければいけない立場です。

一方で監督は、「出来るだけその場面を魅力的にしたい」と考えます。

これはミクロ的な視点が必要な作業なので、ついやり過ぎてしまう傾向にあり、特に技術が未熟なのに演出にこだわってしまうと、プロデューサーに与えられた条件内で予定通りに撮影が終えられなくなりがちです。

もちろん創作活動ですから、こだわりが魅力を生む大きな要素ではありますが、こだわり過ぎて未完成に終わり、作品が世に出ないという結果になることは本末転倒です。絶対に避けなければいけません。

 

ですから、プロデューサーは監督の意向を尊重しつつも、「これ以上のこだわりは支障が出る」というラインを意識して、プロジェクトをコントロールする必要があるんです。

場合によっては、残念ながら監督を交代させる決断をしなければいけないこともあります。

撮影時に施す演出は高くつく

演出は作品にとってはプラスアルファの要素です。

仮にプラスアルファ・ゼロで、超オーソドックスに撮影を進めて、映像的に何の新しさも面白味も無かったとしても、脚本の面白さはしっかりと伝わります。

「職人監督」と呼ばれる人はこういうタイプで、地味ですが私は優れた監督だと思います。

 

とは言うものの、やっぱり台本を映像化する際には、いくつかの場面で面白いアイデアが浮かんでしまうものです。

それを実現させるのが演出という作業の面白さです。

 

例えば「舞台」。

この場面にはこういう家具があって、とか、背景の景色にはこういうものが見えて、とか、大小さまざまな要素が思い浮かぶはずです。

通常、映画撮影では、カメラの前にそれを再現します。

5秒間の人物の手のアップは10分もあれば撮れますが、同じ5秒間でも、セットを作り込んだり、小道具大道具を設置したりすることで、何時間も準備に時間が掛かる場合もよくあります。

「それが映画と言うものだ」という人もいるでしょうが、そんな贅沢な昔ながらのやり方を再現していては、少なくとも低予算映画は一歩も前には進めないんです。

 

撮影時に準備に時間が掛かる演出はとても高くつくと、強く認識してください。

これが、演技の演出であれば、こだわっても大した事はないんです。

「もう少しこういう感情に見えるように工夫して」という具合にやり直しても、使う時間はたかが知れています。

時間が掛かって特に注意すべきは、「照明のこだわり」と「風景の作り込み」と憶えておいてください。

そして、風景の作り込みは、特撮の知識があるだけで、数十分の一のコストで同等の場面を作れる可能性があるんです。

編集時の演出は安上がり

「最近の映画は撮影後の映像処理で場面を作るから、現場が面白くない」という話をよく聞きます。

もちろんそれは事実でしょう。

作り込んだセットの中に爆薬を仕込んで、緊張感の中で撮影したことで得られる満足感と、爆発のエフェクトを後から加える前提で、セットもないグリーンバックの前で撮影することの満足感とでは大きく異なるはずです。

 

でもそれは、かなり贅沢な話です。

今は、商業映画でも儲かる産業ではありません。贅沢に予算を掛けられる状況ではないんです。

昔のように映画人口が多くないからです。

 

ましてや、趣味で映画を作るDIY映画は、余暇と小遣いの中で作品を仕上げて仲間同士が楽しみ、あわよくば小遣い稼ぎに繋げよう、というのが私の考えです。

似たような場面を作るために低コストで出来る方法があるのなら、その手法をどんどん活用したいと思います。

逆に言えば、「特撮」というインチキな手法を駆使すれば、商業映画に似た場面も自分たちで作れることを知って欲しいんです。

 

よく、「編集で合成とかするのは大変そう」と言われますが、プロデューサー視点で考えれば、撮影時にカメラの前にその状況を用意する方がはるかに大変です。高くつくんです。

 

私はその極端なサンプルを見せる意味もあって、全編グリーンバック撮影の作品作りにこだわっています。

最近ではハリウッド映画ですら、多くの場面で映像合成をする撮影が主流になりつつありますから、有効な手法であることには確信を持っています。

基準はコストと楽しさ

ただ、創作活動としての映画作りの目的はあくまでも「楽しいこと」です。

最も大きな楽しさは、作品を完成させて初めて手に入りますから、まずは完成のために、特に撮影現場での実力以上の演出的こだわりは控えましょうと提案はしますが、あまりにも無機質に淡々と撮影しても面白くないかもしれません。

例えば、演技面での演出など、コストが掛からないところでこだわって楽しむとか、「この場面だけは楽しさ優先で撮ろう」という部分を残すなどの工夫をして、完成までのモチベーションをコントロールすることも有効かもしれません。

 

いずれにしてもそれは監督ではなくプロデューサーの役目です。

DIY映画の場合、同一人物が「脚本」「プロデューサー」「監督」「編集」などを兼ねている事が多いので、結果的に中途半端な判断になることが多いのですが、今、自分がどの立場で判断しているのかを考える習慣は大事だと思います。

参考になれば幸いです。

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自分で原案を考え、脚本化したストーリーを元に一つ一つのシーンを撮影して形にしていく「自主映画制作」という趣味では、とても大きな満足感を味わえます。
仮に誰にも完成品を見せずに一人で鑑賞するとしても、えも言われぬ達成感、大げさに言えば作品の中とはいえ「世界を創造した万能感」に浸れるのが映画作りです。

さらに、他の人に作品を見せて高評価を得られたりすると、とても嬉しい気持ちになります。

特に現代は自分から情報を発信する手段がたくさんあります。
一般の人が自分で撮った写真や文章を大量に公開する時代です。
公開して得たい「承認欲求」は思いのほか強く、自分で作った映画はその最大級の満足を生み出す可能性があります。

ただ、難点を挙げるとすれば、「写真を1枚撮って画像加工アプリで仕上げれば完了」というような手軽さが「映画作り」には無いことです。
実際にはとても大きな満足感と引き換えに、そこそこめんどくさい作業を伴うのが映画作りです。
(そこがまた、面白いところでもあるんですが)

 

(This text was written using automatic translation.)

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