特撮技術の使いみち:スペクタクルのためだけでなくコスト削減のやめに

昔は、「特撮映画」と言うと、特撮がメインになった怪獣映画だとか、スペクタクル映画の事でした。

今は、特撮映画という言い方は、ほとんどしません。

なぜなら、ほぼ全ての映画に「特殊撮影の場面」が入っているからです。

 

特撮映画と、普通の映画の境目がないんです。

 

特撮技術を使う理由というのも、

「撮影できないようなスペクタクルシーンのために使う」

という昔のやり方だけではなくて、主に

「コスト削減のため」

に利用することが多い。

 

例えば、日本映画の「海賊と呼ばれた男」。

いくつかのシーンは、季節外れの海水浴場の駐車場で撮影されたそうです。

 

そこで、人物の撮影をして、周りにミニチュアの建物を合成した。

その合成する背景を変えることで、全く別のシーンも、そこで撮影していた、というようなエピソードが知られています。

「この監督は、駐車場さえあれば、どんな映画でも撮れるぞ」と現場で笑い話になったそうです。

 

「特撮シーンを作るために特撮技術を使う」のではなく、「普通のシーンを、低コストで作るために特撮の技術を使う」という、この発想が非常に重要です。

 

私は先日、地元の「産業まつり」というものに行ってきました。

出店している中小企業に対して、「動画コンテンツ制作」の営業をするのが目的だったんですが、「町のPR用の映画」の上映もあったので見てきました。

 

時間は30分ぐらい。

プロの俳優さんが出ていて、ロケ地は100%、地元を使っている、「ご当地映画」です。

話もよく出来ていて、その土地ならではの問題提起があったりとか、なかなか面白い映画でした。

 

普通、「映画作り」と言うと、創作活動の一環で、突き詰めて言えば、「その作家の自己満足」のために作っていることがほとんどです。

小説も同じ。

 

しかし、特に「映像」というのは、「多くの人に短時間で色々なことを伝えやすい」という特徴があります。

ですから、ご当地映画のようなものを作って、例えば、町おこしに利用するとか、観光のPRをするとか、そういう経済的な目的を、その映画に持たせることができるんですね。

 

ただ、「映画作り」と言うと、どうしても「昔ながらの作り方」になるのが一般的です。

 

・シナリオに合わせて撮影場所を決める

・その撮影場所で1シーンずつロケをする

・全てのシーンを撮影し終えて編集

 

これは王道です。

ただ、そのやり方をすると、非常に大掛かりになってしまう。

 

当然、町おこし映画、地元PR映画ですから、「それほどの大金は掛けられない」という状況で、本格的なやり方をすると、どうしても予算的な問題というものが出てきます。

 

可能性として、「もっと特撮技術を使ったらどうなるか」と言うことを検討して欲しいんです。

 

私は以前、「仮にどこかの町おこしの映画を作るとした場合」ということで、コストの計算をしたことがあります。

 

「スタッフ・キャストを引き連れて、その現地に行って泊まりがけで撮影をする」というのと全く同じ内容の映画を、「人物はグリーンバック撮影をして背景と合成する」というような、特撮技術を駆使して作った場合、撮影コストの差は16倍と出ました。

 

もちろん、合成映像ですから、実際にその場所で撮った映像とは違います。

迫力がない場合もあるでしょう。

合成が多少、不自然に見える部分もあるかもしれない。

 

ところが逆に、「その現場では撮れないような映像」も、合成映像を使えば撮れる。

 

例えば、その観光地として滝があるとします。

その滝の横で芝居をしているシーン。

絵的には良いんですけれども、滝の音がうるさくて、実際の芝居のセリフは綺麗に録音できないはずです。

 

そのセリフだけ、「アフレコ」になって、ちょっと不自然になってしまうかもしれない。

でも、初めからそのシーンの人物が合成であれば、人の撮影は静かなところでできますから、セリフをクリアに録音できます。

背景の映像の滝の音を、いい具合にミキシングすることもできます。

 

芝居としては、余裕を持って納得できるまで、何度もやり直しができる。

山の中は、あっという間に日が陰ります。

芝居もそこそこに、慌てて必要な分量の撮影を進めることがほとんどです。

 

滝の下では、「よく晴れた日の短時間の間だけ、虹が見える」ということもあります。

それを背景に芝居のやり取りが撮れれば最高ですが、現実には相当の現場統率力がある監督がいて、臨機応変に対処できるほどの、技術力が高いスタッフとキャストがいても、実現は難しいでしょう。

 

「背景の撮影」だけであれば、監督がカメラを持って、一人で済ませることができます。

しかも、おそらく1日ですべて撮り終わります。

滝に虹が出る景色も、背景としてであれば、必要な分量を、撮影できるでしょう。

 

「合成映像」という条件付きながら、「本物の虹の出る滝のシーン」を形にすることが出来るんです。

 

人物のグリーンバック撮影も、その効率の良さを考えると、ショートムービーであれば1日か2日で撮りきれる可能性が高いです。

 

数日かけて、スタッフ・キャストが現地の宿を使って、撮影をすると、撮影現場にそれだけの人を集めて留めるだけで、

・食事代

・宿泊費

・交通費

が掛かります。

 

しかも、当日に雨でも降れば、撮影は中止の上、経費だけは掛かります。

 

合成を多用した映画は、王道のやり方に比べ、はるかに安く完成させられます。

出来上がった映画は、合成映像ですから「偽物感」はあるかもしれない。

 

でも、「その町をPRする」とか、「観光の名所を使いながら、ミステリー仕立てのストーリーで楽しませる」と言ったような目的は、この映画でも十分に果たせると思いませんか?

そうであれば、撮影コストが1/10以下になる可能性のある、「特撮技術」を使った映画の撮り方は、十分に検討に値するのではないかと思います。

 

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