バスに乗っている映像を作る
公共の場のシーンを出すには?
「商業映画」と「自主映画」、「インディーズ映画」の大きな違いの一つに、「公共の場のシーンがどれだけあるか」という点が上げられます。
公共の場で撮影をするというのは、実はとても困難です。
法律的にも、例えば道路で撮影をするということすら微妙なんですね。
観光客が記念写真をするのはOKなわけです。
その延長でちょっと、カメラの前で芝居をする撮影を禁止するというのは難しいと思います。
しかし、実際に本格的に撮影するとなると、通行の妨げになりますから、警察に許可を取らなければいけません。
でも、「警察に許可を取ったから撮影を自由に出来る」というわけじゃないんですね。
通行人から、「邪魔だ」と言われたら、警察の許可を取っているからと言って、撮影が出来るわけじゃありません。
本当に通行の邪魔になるのは論外だとして、クレームを付けてくるような人の大半は、自分に実害がなくても、正義感を持って苦情を申し立てる人たちです。争っても勝てる相手ではないんです。
そういった危険があるので、自主映画、インディーズ映画では、なるべく公共の場所のシーンは使わない傾向があります。
比較的自由に撮影ができる「森」、「公園」、「自分の部屋」、「車の中」といったシーンが必然的に多くなるんです。
逆に言うと、自主映画、インディーズ映画で撮りにくい、公共のシーンの映像が少し入ると、格段に映画としての体裁が整うというか、格が上がる印象があります。
例えば、主人公がどこかへ移動する時に、「自分で車を運転して移動する」というシーンは撮りやすいわけです。
ここで、もし、「路線バスの客席に主人公が座って外を眺めている」という映像が1カット入ると、途端にプロが作った商業映画の雰囲気が出ると思いませんか?
その撮影をバカ正直に行うためには、バスを借り切って、エキストラを仕込んだりしながら撮影する必要があります。
他の乗客がいる中で、「ゲリラ撮影」をするということも、物理的には可能ではありますが、法律上、いろいろ 問題がありますから、これはやらないほうがいい。
このシーンを安全に作るためのアイデアの一つとして、私がいつも提案している、「背景と人物を合成する」という手法が使えます。
必要なのは、
- バスの中の映像
- 外の景色の映像
- 人物
です。
バスの車内の映像は、バス会社に行って、事情を話して、停車中のバスの中で車内の写真を撮らせてもらえないか、問い合わせればいいでしょう。
「規定上、許可が出せない」という場合は、実物のバスや電車に乗れるような「交通博物館」があちこちにありますから、そういうところで車内の写真を撮ってくれば解決します。
車が走っている感じに見せるためには、窓の外の景色を合成する必要もあります。
これは、バスや背の高い車に乗った時に、窓の外の景色をビデオで撮影する必要があります。
他のお客さんの迷惑にならないようにするのはもちろんですが、できれば、他のスタッフと一緒にバスに乗って、盗撮と間違われないように、「窓の外の景色を撮ってるだけですよ」ということが分かるような状態で堂々と撮影しましょう。
この、
- 車内の映像
- 車窓の景色
の二つの映像をうまく合成することによって、「走っている車内」という背景映像が作れます。
そして、さらに、グリーンバックで撮影した登場人物を合成して、その座席に座っているシーンを作るわけです。
合成というのは、何層も重ねることができますから、手前の座席や他の乗客など、いくらでも映像を追加できます。
大抵の場合、「バスに乗って移動しているシーン」は1カットだけで十分です。
「たった1カットのためにそんな手間を掛けるの!?」
と思われるかも知れませんが、バスを借り切って、エキストラを集め、道路を走らせながら撮影するコストを考えてください。
それに比べれば、合成は比較にならないくらいの手間とコストです。
この手法を発展させると、例えば旅客機の機内のミニチュアセットを作って、人物を合成させることで、「飛行機で移動中」というようなシーンを作ることもできます。
なかなか、自主映画、インディーズ映画では登場させられないシーンです。
このように、シンプルな合成映像を使って、映像のバリエーションを増やす例をご紹介しました。
参考になれば幸いです。
ご自分でも映画を作ってみたい、という方は、是非、無料相談にご連絡ください。
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