特撮の神様の技「リアプロジェクション」

リアプロジェクションの手法(1)

特撮の神様、ウィリス・オブライエンが多用した、「リア・プロジェクション」による映像合成の手法です。

 

それまでは、怪物が登場する映画では、実物大の怪物模型を作って、カメラの前で動かしながら俳優と一緒に撮影していました。

実物大の怪物を使うことで、迫力は出ますが、動きがぎこちないのが弱点でした。

 

そこで、オブライエンは、最初に、恐竜などをストップモーションの技術によって生き生きと動いている映像を撮影しました。

その映像を透過性のあるスクリーンに裏から投射して、スクリーンの前で演技している俳優と一緒に、カメラで撮影することで、滑らかに動く巨大な怪物と俳優を合成させています。

 

サイレント映画の「ロストワールド」でも使用され、その次の名作「キング・コング」でも見事な効果を上げています。

特に、「キング・コング」の髑髏島に出てくる、探検隊が恐竜と最初に遭遇するシーンなどは、ミニチュアセットの素晴らしさもあって、理想的な異世界感を醸し出しています。

 

クロマキー合成特有の、手前の被写体の輪郭にノイズが出てしまう、という弱点が無いため、特に、モノクロ映画では効果を発揮しています。

最大の弱点は、膨大な時間が掛かる、「ミニチュアのストップモーション撮影」が終わらないと、人物の撮影が出来ないこと。

撮影待ちの俳優にも人件費が発生するため、結果的に、コストが高く付く特撮となってしまいましたが、この手法自体は、日本の角川映画などにも多く見られます。

  

リアプロジェクション(2)ダイナメーション

ウィリス・オブライエンの弟子に当たる、レイ・ハリーハウゼンは、ストップモーションの撮影の前に、俳優の撮影を済ませておく手法を考案しました。

これにより、膨大な時間が掛かるストップモーション撮影の間、俳優を待たせておく必要がなくなり、無駄なコストが削減できたと言われています。

ハリーハウゼンは、自分が考案したこの手法を「ダイナメーション」と名付けています。

 

俳優は、後から怪物が合成されることを想定した演技をしながら撮影されます。

その、俳優の映像を、透過性のあるスクリーンに、1コマ1コマ投射して、それに合わせて手前の模型を1コマ1コマ撮影する、という、気の遠くなるような作業を繰り返します。

 

1日10時間の撮影で、数秒分の映像しか撮影できないこともあったそうです。

 

極端に高度な職人技が必要な撮影方法のため、ハリーハウゼン以降は、主流の手法としては残りませんでした。

しかし、一連のハリーハウゼンの作品群や、弟子のジム・ダンフォースが手掛ける作品は、素晴らしい映像設計を楽しめます。

近年のCG全盛の映像も、イメージの元になっているのは、間違いなく、特撮の神様、ハリーハウゼンの生み出した映像です。

 

         

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