手芸に学ぶ自主映画のマネタイズ・間違いやすい「どの価値を買ってもらうか」という視点

自主映画がカネになる訳がない?

この記事は、「創作活動は芸術的な行為なので、お金儲けに利用するのは言語道断だ」という考えの方にとっては、何の参考にもなりません。

 

私のスタンスは、はっきりしています。

趣味の創作活動ですから、お金儲けを優先して、自分が全く作りたくないものを作るのは望ましくありません。

しかし、自分が作りたくて作ったもので、多少なりとも収入になれば、さらに趣味の活動を続けやすくなります。

 

映画作りは、実は他の趣味に比べても、お金の掛からない安上がりな趣味ではありますが、もし、収入があれば、関係者に半分シャレでギャラを支払いながら活動できることにもなり得ます。

映画はそもそも演技の部分の「ごっこ遊び」の面白さが魅力で、自主映画は「映画作りごっこ」と言えますが、ギャラが発生すると「映画産業ごっこ」という新しい楽しさも加わります。

 

問題は、プロの作る商業映画ですら利益が出せずに、借金体質や会社の倒産が当たり前なのに、シロウトの作った映画が売れるのか、ということです。

はっきり言って、売れないと思います。

テレビで無料放送されたり、ネットで無料で見られるドラマが無数にあります。

作った作品を無料で公開したとしても、見てもらうことすらかなり難しいでしょう。

まして、お金を払って見るとすれば、題材などの要素の中に、よほど強い「見る動機」を含める必要があります。

「作品そのもの」は実は商品になりにくい

映画のような映像作品そのものを作って、何らかの収入を得るとすれば、現実的なのは「賞金稼ぎ」と「アマゾンビデオ」に絞られると思います。

私は両方試してみました。

 

「賞金稼ぎ」に関しては、地元の市で主催していた映画コンテストに応募して、グランプリの賞金を狙ったというものです。

残念ながら、グランプリ賞金の10万円は獲得できず、準グランプリの賞金、5万円のみ獲得に成功しました。

 

「アマゾンビデオ」に関しては、あまり普及はしていませんが、「アマゾンビデオダイレクト」という、ちょうど、「電子書籍・キンドルの動画版」というようなサービスで、審査に通った映像作品が、「アマゾンプライムビデオ」として公開されるというものがあります。

キンドル同様、購入された場合にも収入になりますし、プライム会員が無料視聴した場合は、視聴された時間に応じて、配当金がアマゾンから支払われます。

 

「アマゾンビデオダイレクト」は、近年、審査が厳しくなって、商業作品でも、クオリティを理由に登録作品が削除されたりしています。

私もいくつか登録して公開していましたが、順次、登録を取り消され、今は12分の短編作品が1本「日本国内向け」のみ残っている状態です。

登録した作品が、どこかで誰かに視聴されることで、わずかでも収入のレポートが届くというのは、なかなか面白いものではあります。

でも、公開作品の時間自体が短い上、配当金額が大きい「海外向け」ではなく「日本国内向け」限定で公開されているため、収入としては、月に100円~400円という金額なので、何の足しにもなりません。

 

テレビやネットでは見られないような、ちょっとレアな要素を含んだ、長編作品を作って公開すれば、あるいは、もう少し収益は出るかもしれません。

しかし、前述のように、テレビやネットのドラマは無数に公開されていますから、その中から選ばれるような作品である必要がある、という意味で、「作品そのもの」で勝負するのは、相当に難しいと言わざるを得ないでしょう。

 

そこで、私は、「完成したドラマ本編」をオマケ扱いにして、「メイキング部分」を商品にしようとしています。

実は「メイキング」というものは、安定した人気があるからです。

手芸の教則本・動画講座を参考にする

「メイキング部分」を商品にするというのは、例えば、メイキングの内容を電子書籍にして販売したり、動画講座にして販売したり、ということです。

 

「映画の作り方」というような動画講座も作れるでしょう。

実際に私も2つほど、Udemyというオンライン講座のプラットフォームから、動画講座を販売しています。

ただ、「映画の作り方」は、基本的にどの作品にも共通しているので、1つ教材を作ってしまったら、シリーズ化は難しいと思います。

 

そこで、私が参考になると考えているのが、「手芸講座」です。

私の妻がよく、手芸・洋裁の動画講座を受講しています。

 

手芸も、人気があるので愛好家はたくさんいますが、作品を販売しても収益が出ないことがよく話題になります。

手芸で割に合う収益を出すには、「作品販売」ではなく「作り方を教える」という部分を商品にするのが一般的です。

 

手芸の動画講座も人気があって、たくさん存在するのですが、特徴的なのは、内容が個別具体的なことです。

「洋裁入門」という一般論の講座の他に、個別に「ワンピースの作り方」、「スカートの作り方」という具合で、別々の講座があって、具体的な作業を見せるスタイルになっています。

さらに、例えば「スカート」と言っても色々と種類があるので、それぞれが別講座になり得ます。

つまり、違う形の服を作るたびに、この制作情報が講座に出来るということです。

 

映画も、違う作品を作るたび、スピンオフという形で情報を講座に変換出来れば、収入になると考えています。

作品ごとにメイキングを教材にする

具体的には、作品ごとに、参考になる技術的な解説をしつつ、作品完成までの工程を見せるスタイルです。

私の場合であれば、作品の中には大抵、いくつものミニチュア模型や小道具が出てきます。

その工作の工程もコンテンツに出来ます。

 

そして、特典映像・オマケとして、「完成作品」も講座の中で公開します。

仮に、完成作品が10分程度の短編だとしても、メイキングは1時間、2時間のコンテンツになり得ます。

 

映画を作る人の中には、「裏側は見せたくない、見せるべきではない」という人もいるでしょう。

でも、残念ながらと言うべきか、面白いことにと言うべきか、大抵の観客にとって、完成作品より、メイキングの方がエンターテイメントとして面白いのが事実です。

自分の主義を通すのも、もちろん選択肢の一つですが、私は、作りたい作品を一つでも多く楽しく作るためにも、裏側のメイキングを積極的に商品化しようと考えています。

 

ちなみに、実際の収益の金額は、作品そのものをアマゾンで販売しようとするのに比べて、教材販売のほうが数倍から数十倍多くなります。

私は、この2つを軸に、関係者やDIY映画倶楽部の会員が、作品のDVDを販売してくれたら利益の半分を渡すという、委託販売など、いくつかの収益化の仕組みを定着させたいと考えています。

 

「趣味の創作活動は、お金とは無縁であるべきだ」と考える人もいるとは思います。

でも、収益を関係者に還元しながら活動し続けた方が、はるかに楽しいとは思いませんか?

参考になれば幸いです。

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